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盲目少女は転生者  作者: シルクティー


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第十二話

「エレオノーラ様、次の授業は男子禁制ですので、一緒に参りましょう。」

「あ、はい。ありがとうございます。」

「チッ」


数コマの授業が終わり、次は令嬢のみが選択できるマナー講義。


リリアナ様に手を引かれ、殿下の気配が遠のいていく。


「エレオノーラにその選択科目は一切必要のないものなのに。リリアナ嬢は本当に敵だね。」

「あら、嫌ですわ。確かにエレオノーラ様をお誘いしたのは私ですが、決めたのはエレオノーラ様ですのよ。それに、いつも殿下に独り占めされるのは癪ですわ。」


何やらヴィとリリアナ様が言い争っている。


ヴィはいいとして、リリアナ様たちにどうしてここまで好意を持たれているのかは正直謎でしかない。


「まぁまぁ。仲良くしてくだい。それに、ヴィの隣に胸を張って立つためにも、マナーは完璧にしたいのです。」

「エレはもう完璧だから気にしなくていいのに。」


仲裁に入ったが、ヴィはやっぱり納得していない。


だが、私とて、気兼ねなく女子トークできる時間が欲しかったりするのだ。


「では、そろそろ時間ですので失礼致しますわ。」

「さ、エレオノーラ様、行きましょう」

「楽しみですね。」


粘る殿下に対して、令嬢陣は強硬手段で私を連れていってくれる。


「ヴィ、また後で。」


とりあえずヴィに向かって言っておく。


「こうして女子だけでいるのも、不思議な感じですね。唯一わたくし達がエレオノーラ様の独占を許される時間ですわ。」

「殿下は引っ付きすぎなんです。」

「そうです!私たちだってエレオノーラ様とお出かけしたいです。」


意外と女子陣はヴィに対してたまっているものがあったようだ。


「お出かけ・・・。楽しそうですね。今度ヴィに頼んでみましょうか。」


そう、言ってはみるが、許可が降りる気は全くしない。


それは他のみんなも同じようで、「絶対に殿下の邪魔が入る」と呟いている。


そんな話をしながらついた教室には、すでに多くの生徒が集まっているらしく、賑やかだった。


「まあ、エレオノーラ様!」

「エレオノーラ様もこの授業をとっていらっしゃったんですね!」

「よろしくお願いいたします!」


教室にはいれば、令嬢達が私たちの周りによってくる。


だが、一斉に喋られ過ぎて、誰が誰だか判別ができない。

さらには、あまり関わりのない方も周りに入るらしい。


「まぁ、皆様。どういうおつもりですの?ここが学園だとしても一種の社交場ですのよ。学園に入った途端ルールもわからなくなったんですの?」


そう、学園の中だとしても、社交界と同じルールが適用されているので、下のものから上のものに声をかけるのはアウトだ。親しい関係であれば何の問題もないが、あいにく、悲しいことに、私にはリリアナ、レイナ、エリス、シーナ以外の友達はいない。


「さあ、エレオノーラ様、お席はこちらのようですよ。」

「皆様もお座りになったらどうです?そろそろ授業が始まりますよ?」


私よりも先にリリアナ様が牽制をしてしまうため、出番がない。

だが、あまり他人にガツンというのは得意じゃないのでありがたい。


「リリアナ様、ありがとうございます。レイナ様も、案内してくれてありがとうございます。」

「いえいえ、お気になさらず。わたくしの得意分野ですので。」

「エレオノーラ様のエスコート役はお任せください!」


この講義では、私の右側にエリス様。エリス様の後ろにリリアナ様。私の後ろにレイナ様が座っている。


席について先生が来るまで4人で話に花を咲かせる。


「あっ、あの・・・。お隣失礼致します。」


左隣の生徒が少し遠慮気味に座ったのがわかったが、私は内心戸惑っていた。


「その声は、ミア様ですね。ミア様もこの授業をとっていらしたのですね。お隣ですので、どうぞよろしくお願いいたします。」


隣に座ったのはヒロインだった。


「よろしくお願いいたします・・・!!様なんて!ミアで、大丈夫です!」

「じゃあ、ミアさんでもいいかしら?」

「はい!」


ちょうどそのタイミングで先生が来たので、ヒロインとの会話は一旦終了。


早速授業内容に入っていくが、やはりヴィの言うとおり、すでに王太子妃教育で習っていることだったため、復習の時間に当てる。


「では、今から実践で行ってみましょうか。」


前後のテーブルごとでグループ分けをされ、実践マナーに移る。


私たちのグループは、言わずもがなのメンバーである。

いつものメンバーに、ミアさん、そして、別クラスの子爵令嬢が1人。


「す、すみません・・・」


ミアさんはあまり得意ではないのか、緊張しているのか、はたまたその両方か。

うまくできずに、オロオロしていた。


でもまあ、緊張もするだろう。何たって自分以外は全員生粋のご令嬢。しかも6人中4人が高位貴族。さらには王太子の婚約者までいる始末。

私がヒロインの立場なら絶対にカップを落として割っているレベルだ。


「ミアさん、あまり緊張なさらなくて大丈夫です。今は授業です。本番ではないですので。」


優しくを心がけながら、一言かけてあげる。


「ミアさんのその気持ちわかります。私も初めてエレオノーラ様とお茶をさせていただいた時なんかはもう緊張でカップを落としそうになってしまいましたもの。」

「エレオノーラ様という最高のお手本が目の前にいるのだから、頑張りましょう。」

「お茶の作法なら、きっと私よりリリアナ様の方が上手よ?」

「これはまた、エレオノーラ様はご謙遜を。」


みんながヒロインの緊張をほぐしてあげようと次々と声をかける。


「マナーは少し苦手ですが、このグループにはお手本になる方しかいないので、勉強するにはこれ以上ない環境です。」


明るい声でそう言われ、本当にいい子なんだなと感じる。

しかし対照的に、ゲームのヒロインと重なるところがあって不安にも思う。


そこからは、少し談笑も交えながら、楽しく授業を受けた。


この授業内で意外と彼女のことを知ることができた。


そこでも、いくつかのゲームとの違いを見つけた。

一つは、ヒロインがシュリード男爵に拾われた時期。

ゲームでは11歳の頃には男爵に拾われるはずだったが、実際は学園入学の半年前に養子になることが決まったらしい。


二つ目は、彼女の学力。

養子になった時期がそんなに遅かったのに、よくこの学園のAクラスに入学できたものだ。

貴族生まれの人でも難しいのに。


そして三つ目、彼女にはすでに思い人がいるらしい。

話を聞く限り、幼馴染とのことだったので、おそらく平民の方。


最後に四つ目。彼女はシュリード男爵家が嫌いらしい。

言葉の端々に男爵に対しての棘を感じた。

”父”とは呼ばずに、”養父”と呼んでいるあたり、心は開いていないのだろう。


「ミアさんって思っていたより気さくな方なのですね。」


ゲームの守ってあげたくなるような雰囲気ではなく、話してみて感じたのは、芯がしっかりしている印象。


そして、ところどころで私とヴィの関係を推しているような言葉を言うので、もしかしたらゲームとは違うエンドロールを迎えられるのではと小さな期待が胸の中に生まれる。


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