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転生少女は愛されている  作者: 海雪
第3章 交流戦
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職員会議



 放課後、恒例と化した職員会議で集まった面々の顔は、重々しい雰囲気を漂わせていた。この場に居る全員が頭を抱えるほどの問題が学園内で起きている。解決策を未だに見つけていないせいか、誰一人口にすることなく沈黙を貫いていた。



 一年から三年の担任、各学科を担当している教師、食堂や購買、学園内にある各施設の代表となっている職員などが、この職員会議に出席している。




「まず、学園内で起きている問題じゃが………」




 学園長が口を開くのと同時に、秘書であるセイラは机の上にとある代物を置く。全員が身を乗り出すように置かれた物を凝視した。透明な袋に入った"白い粉"それを見た瞬間に誰もが、学園内に今もなお蔓延っている原因がそれだと理解したようだ。



 苦い顔をした者や、溜息を吐き出し頭を抱えだす者まで反応は様々だった。彼らを悩ませる原因が分かったとしても、その元凶となるモノが未だに取り除かれていない。判明しているのは彼女が取り出した代物だけだった。




「学園長………今後の対策は如何しましょう?」



「これに関してはサナーレ先生に一任しておる、結果については解析待ちじゃな。その間は怪しい人物を探ることぐらいじゃが………」




 教員の一人、鉱人族(ドワーフ)と思われる人物が学園長に尋ねた。それに対する答えは、自分達が打てる手はない。どうすることも出来ない現状では安易に行動するのも憚れる。



 対策を打とうと会議を開いているが、打開策は見つからず。出来ることと言ったら現状を維持する為に情報を規制することだけだった。教員の中には、今もなお忙しく動いている者がいる。職員会議には出ることなく、サナーレ先生の様に解析したり調査に出ていたりと様々だ。



 交流戦が近いのも影響しているのだろう。生徒の中には、出場できずとも楽しみにしている者が数多くいた。変な噂が流れて中止になるのは、三年のみならず多くの生徒から不満を買うことに繋がる。




「そうですか、なら病院の方へと運ばれた生徒は………」



「聖光教が運営する病院からは問題ないと連絡を受けています。聖女様が容体を診ていますから大丈夫でしょう」




 事情を知るセイラからの言葉に、教員達は先程とは違い安心した表情で和んでいる。よほど病院に運ばれて行った生徒が心配だったのが分かる。だが、すぐさま自分達の表情を戻して喜びあうのを我慢した。問題は解決していないのだから、安心するのはまだ早いと………



 それに生徒が運ばれた先は聖光教が運営する病院、そこには回復魔法が得意な聖女が所属している。異常事態の連絡を受けた彼女は病院へと向かい、倒れた生徒の容体を診ていた。




「運ばれた生徒は確か獣人族のみでしたな」



「原因はコレだとしても、症状は一体………」




 生徒の容体は問題ない。ならば症状は何かと気になった一人がセイラへと視線を向ける。生徒の体調が良好状態であればあるほど良い。だがそれと同時に、危険な薬品を摂取してしまったのならば後遺症が残る可能性がある。



 今は良くても、症状の度合いによっては今後の心配を考慮しなければならない。そのことを気になった教員達を安心させるようにセイラは言った。




「症状は昏睡です。今のところ分かっているのはそれだけですね。念の為に数日の間は入院となりますが、聖女である彼女は………」



「交流戦には行けそうにないのぅ。聖女が居なければ、もしもの時には大変なことになりそうじゃ」



「聖女様の回復魔法は貴重ですから、魔法省としては外せない人物です。一応ほかの学園と魔法省に連絡を入れましたが、問題が起こっているのはこの学園だけです」



「交流戦はこのまま開催されるのでしょうか?」



「事態が収束出来ずに大事になれば難しいでしょうな」



「何故こんな時に、まさか(バンッ!!)………」



「「「ッ⁉︎」」」




 いきなり会議室の扉が開き全員を驚かせる。何事かと扉の方へと視線を向けると、仁王立ちで鋭い目つきをした女子生徒が居た。彼女は何かを引き摺るようにして室内の中央、学園長の前へと進んでくる。



 数十人の教員達を前にしても怯むことなくやって来た女子生徒は、腕に力を込めて引き摺ってきたモノを投げ飛ばす。転がる様にして放り出されたのは学園の制服を着た男子生徒だ。



 だが、男子生徒を見た教師達の反応は違った。通常ならば此処は何人かが身を乗り出し、生徒の名を叫ぶところだと思われるが、一言も喋ることなく眉間に皺を寄せて黙っている。




「風紀委員長………この者は一体………」



「それよりも前に先生達、この男に見覚えは?」



「………いや、全くない。こいつは誰なんだ?」




 風紀委員長と呼ばれた女子生徒がその場の全員に尋ねるが、見覚えがない為か首を傾げている上に反応は薄い。格好を見れば学園の生徒だと一目瞭然、だと言うのに教師達は知らないらしく、何者なのかと必死に考え込んでいる。



 本来であれば、その男子生徒のことを一人くらい知っている教師が居たとしてもおかしくない。この異常事態の中で現れた存在に全員が注目し始める。



 学園の生徒ではないと判明した以上、男子は尋問を受ける様にして数人に囲まれている。風紀委員長の女子生徒が逃げ出さない様にとしっかりと見張っていた。




「お主に問う。この学園に何をしようと企んでおるんじゃ?」




 睨みをきかせて脅し同然で学園長は問いかける。本人は至って冷静を保ち質問を投げかけているに過ぎないが、あまりの迫力に教員達は息を呑む。相当腹に据えかねているのが分かったと理解し、口を挟まずに成り行きを見守っている。



 それでも質問を投げかけられた方の男子は顔を逸らし黙っていた。そのことに対しらちがあかないと悟った学園長は、長くなりそうだと溜息を吐いた。







 



 









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