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転生少女は愛されている  作者: 海雪
第3章 交流戦
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複合魔法



「複合魔法………ですか?」



「固有魔法についてはどれくらい知ってる?」



「あ、えっと、確か固有魔法はその人が独自に編み出したオリジナル魔法ですよね? 昔ならばともかく、現在のところ使い手は皆無だと聞いています」



「その認識で間違っていないよ」




 "固有魔法"は異能に近い魔法であり、オリジナルと言われている通り使い手は少ない。習得自体が難しかったり、様々な問題がある影響で、その人物しか使えなかったりする。



 新たな魔法を開発されても、次の世代に引き継がれない、多くの人達に習得されて珍しくなくなった。などの理由により、固有魔法は時代を経るにつれて廃れていったのだ。



 今から委員長に教えていく複合魔法は、習得難度が高い。とも言えるが、習得出来た人物が未だに居ないので、難度の高さについては保証出来ない。もしかしたら、何らかの条件が必要かもしれなかった。だが、委員長ならば習得が可能かもしれない。




「委員長の首筋………」



「ッ⁉︎」



「委員長の種族は鉱人族(ドワーフ)と………もしかしてだけど、龍人族?」



「ど、どうしてそれを⁉︎」




 誰にも知られないようにしてきたのか、もう一つの種族を言い当てられて驚いている。龍人族は額や頭の側面に、龍角と呼ばれる角を持っている種族だ。更に臀部には、龍を思わせる立派な尻尾が付いていた。



 委員長の身体を一見しただけであれば、龍人族どころか、鉱人族(ドワーフ)であるかも疑わしい。そんな彼女には他の人にはない特徴があった。




「どうして私が龍人族だと分かったんですか? 」



「"逆鱗"龍人族の最大とも言える、彼らにしかない特徴が委員長にあった」




 自身の正体を示す特徴を、委員長は即座に隠す。手を首筋において悲痛な表情を彼女は見せた。それだけで、よほど知られたくなかったのだろうことが分かる。首筋の部分は髪で隠れていて、逆鱗があるとは今まで気づかなかった。




「複合魔法を習得する為にも、二つ以上の魔法を行使することは出来る?」



「………………えっ? はい?」



「ん? どうしたの?」



「………え、えっと、私のこと………嫌いになったりしませんか? もう話したくないとか?」



「いや、別に?」



「あっ、はい………えっ?」




 何故か委員長は戸惑っていた。納得出来ないと言いたげな表情と態度を私達に見せるが、それは自分の秘密にしていたことがバレたからではなく。



 秘密を知ったことで、委員長と私達で距離をおかれるのではないかと思ったのでは?と、私は考えている。予想とは違う反応が返ってきた影響で、委員長は額に手を当てて考え込んでいた。




「委員長が何を考えているのかは、私の予想でしかないから良くは分からない。けど、委員長は嫌な人でも悪人でもないことは私が知ってる」



「小鳥遊さん………」



「実際のところ、二つの種族の特徴を持っていてもどうでもいい………むしろ、私からしてみれば幸運だった」



「………幸運?」



「親の種族がそれぞれ違う場合、魔法の同時行使、相反する属性を使えると聞いたことがある。つまり…」



「つ、つまり………」



「複合魔法を習得出来るかもしれない!」




 もしも複合魔法を習得するならば、適性のある人物が好ましい。今まで教えた者達の中で習得出来た試しがなく、他の人に教えるのを諦めかけていた。だが遂に、複合魔法を習得出来る存在が私の目の前に現れたのだ。



 魔法を教えて欲しいと言ってきた委員長、それほど期待はしていなかったので、向いてないと分かれば途中で教えるのを止める予定だった。どんなに強力で最強とも言われる魔法でも、発動出来ない、使えないでは宝の持ち腐れなのだ。



 ようやく複合魔法を教えられると、一人だけで内心喜んでいた。すると、背後から詩音とエリスが話し合う声が聞こえてくる。ひそひそと、私に聞こえないように話し込んでいるが内容は筒抜けだった。




「玲夏さんって、どこか研究者気質の癖が有りますよね?」



「ああ、危ない薬品とか混ぜて、とんでもない物とか作ってそうだよな。ありゃ絶対にマッドサイエンティストの素質があるぜ………」



「………」



「「すいませんでした」」




 内容を私が聞いていたのに気付いて、二人はすぐに謝り出した。まだ此処に居る三人には言ったことは無かったが、実際に私は、危ない薬品を精製したことがある。詩音とエリスが言っていたことを否定出来ないので、とりあえず聞かなかったことにした。




「小鳥遊さん………複合魔法って何ですか?」



「えっと、確か詩音には説明したよね?」



「はい」



「詳しい説明は後で、見たことがないなら見た方が早いよね。なら………」




 手の平に魔力を集め魔法を発動させる。いきなり炎が燃え盛ると同時に、通常色の赤と橙から青い炎へと変わった。詩音はともかく、複合魔法を知らない二人は驚きで固まっている。




「これ綺麗だな、この魔法が複合魔法か?」



「青い炎………これって普通じゃないですよね?」




 ようやく意識を取り戻したエリスと委員長は、それぞれ感想を言い合っている。委員長が指摘した通り、複合魔法は普通の魔法とは違う。一体何が違うのかと言うと………




「委員長、触ってみて」



「えっ⁉︎」




 魔法に見惚れていた委員長に、青い炎を触るように私は促す。とんでもない発言に驚き、先程とは打って変わった表情をした委員長は、私の事を変人でも見るような目つきに変わった。



 予想通りの反応だが、それはそれで傷付くのでやめて欲しい。仕方ないといった雰囲気で、委員長は恐る恐る自身の手を青い炎へと近づけていく。




「あれ? 熱くありません………少し冷んやりしていますよ、これ」



「えっ、マジか」



「そうなんですか? なら私も」




 委員長はあり得ないと疑問の表情を浮かべ、燃え盛る青い炎に手をかざす。魔法の火でも火傷を負う可能性があるので普通は勧められないのだが、見た感じでは全く問題なさそうだ。



 問題ないと委員長が判断した結果なのか、触るどころか近付こうとしなかった二人が寄ってきた。三人とも、青い炎へと手をかざしているので、私から見ればまるで………




「なんだか、焚き火しているみたい………」



「だな、青い炎で焚き火はしたことないな」



「これはこれで新鮮ですね」




 本来の目的を忘れ掛けたが、複合魔法の特徴である性質の掛け合わせによって、他人に影響を及ぼさないようにすることが出来る。私の持つ青い炎は、どんなに強固な鋼鉄でさえも溶かす。が、今は触っても無害な炎へと変わっていた。



 性質の合成は、魔法を組み合わせて発動させる合成魔法でも出来ない。それこそが複合魔法と合成魔法の大きな違いであり、最大の特徴であった。もし委員長が習得したならば………




「ん?」



「………どうかしました? 玲夏さん?」



「………………いや、なんでもない」



 



 


 



 




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