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転生少女は愛されている  作者: 海雪
第3章 交流戦
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異変



 その後、教室に戻る途中の廊下にて、シア先輩から告げられた一言を考えていると………詩音が心配そうな表情をして聞いてきた。




「大丈夫ですか? 玲夏さん。先程シア先輩が言っていたことを………」



「まぁ、ちょっとね」




 昼食を終えて生徒会室を出る前、先輩達から尋ねられた言葉に違和感を感じて考えていたのだ。先輩達からは『何かを受け取っていたりしませんか?』とか『生徒たちの間で流行っている物はありませんか?』などなどの事を聞かれた。



 とは言っても、私は多くの生徒と交流したことはない。関わりがあるのは詩音やエリス、委員長とクラスメイト達だ。先輩等を除けばほとんど居ない。



 クラスメイト達に尋ねたり、委員長ならば何かを知っているかも知れないが、流行りの物があるならとっくに私は知っているだろう。何せ、教室に居るだけで彼らが知り得る情報が勝手に入ってくるのだ。



 さすがに、内密にしたい情報があるならクラス内でも話せないだろう。一言でも話せばすぐに周りに伝わってしまう。それについてはクラスの誰もが理解していることだ。




「………私も何かを知っている訳ではありませんが、最近の先生たち、様子がおかしいと思うんです」



「ん? 様子がおかしい?」



「はい。交流戦で忙しいと思っていたんですが、時折り………何かを探す素振りをしている感じでした」




 シア先輩やミュレット先輩だけでなく、先生達まで様子がおかしい。詩音の言う通り、確かに最近の印象を受けた感じでは忙しそうというより焦っている印象を受ける。てっきり交流戦で忙しいと思っていたが、考えて見ればおかしい点が幾つかあった。



 つい最近では、毎日のように職員会議が開かれているのを思い出す。もしも、会議の話しが交流戦についてではなく、そのことに関してなら毎日開催されてもおかしくない。放課後になればエリー先生から、用事がある場合は明日の朝にするように伝えられていた。



 何故か職員室の立ち入りまでも禁止するほどの徹底ぶりだ。私は今更ながらおかしいと気付いた。職員室にそれほど通う訳でも、用事がある訳でもない為に無視していたが、早く気づくべきだったと思い直す。



 探したり受け取ったということなら、学園に入ってきた何かが"危険物"として問題視されているのだろう。その正体不明の物品がいまも、学園内に潜んでいるとは思いたくない。だが、いつもの様に職員会議が開かれれば、生徒や先生たちを脅かす存在は去っていないと考えられる。



 そういうことなら………




「………玲夏さん、学園長に事情を聞きに?」



「絶対に喋らないよ。こういうときは尚更、私には伝えないようにする人だから………」




 秘密にする程のことは絶対に喋らない。誰に対しても、それこそ親族であっても秘密を漏らさない主義なのだ。大変な状況には変わりないのかもしれない。だが、正体不明の存在を突き止めるまでは油断をしない人物、それが学園長という人だった。



 危険になるのを考慮して黙っている。前の時は、問題ないと判断された結果に過ぎないのだ。事情をよく知っていそうな人物と言えば、私が知る限り一人しかいない。



 それは………





















「なるほど、そういうことですか………」



「委員長………魔力が乱れてる」



「す、すいません」




 放課後、詩音を含めて委員長やエリスと修行を行なっている。今は魔力制御の練習中で、委員長はかれこれ一時間くらい魔力をコントロールしていた。大抵の者達は一時間もしないうちに疲れ果ててしまうはずだが、魔力量が多いおかげで委員長は疲れたような気配を未だに見せていない。



 もちろん、彼女が此処に居るのはそれだけではなかった。先輩達のことや先生達に関する情報をある程度は知っているはず。委員長ならば、最近のことについては私よりも詳しいだろう。何せ、困っている生徒の相談に乗っているくらいだ。様々な事情については誰よりも知っているはずだと私は思っている。




「小鳥遊さんの言う通りですね。最近は、休んでいる生徒が少しずつ出ています。毎日のように出てくるんですよ。それも、症状が普通ではないくらいに……とは言っても、今はまだ少ないですから問題はないとも言えますね」



「生徒が休んでいる? 確かに………」



「具合が悪そうだったよな。えっと………確か……」



「草鹿さん」



「そうだよ! そいつ!」




 エリスが覚えてなさそうだったので草鹿さんの名を口に出すと、納得して頷いている。昼食後に教室へと戻った私達を待っていたのは、見るからに具合の悪そうな表情をした草鹿さんだった。



 本人は問題ないと言っていたが、周囲に居た生徒達はそうは思わない。具合が悪いだけでなく、どこか目が虚で元気がないのだ。その為、授業が始まるとすぐに教室へとやって来た先生から、今日は早退するようにと言われて彼女は帰っていった。




「小鳥遊さん達は、食堂の方には行きました?」



「ん? 行ってないけど?」



「実は………食堂に行った人が数人ほど、病院に運ばれたんですよ」



「「えっ⁉︎」」




 食堂には行ってないと何気なく返事をするが、委員長からとんでもないことを言われた。病院に運ばれた人達が居たとは全く知らない。ついさっき言われて知った事実に、学園内で騒ぎにならなかったとは到底思えない、などと考えていると………




「知らないのも当然です。その時の食堂、昼食が終わって教室に戻る生徒しかいませんから、ほとんど人が居ませんでした。それに………先生や職員の人も、あらかじめ予想していたみたいですから、騒ぎにならなかったのも想定の範囲内だと」



「そうなんだ………他には?」




 委員長は首を横に振って、もう自分は知らないと態度で表す。生徒が倒れたのも驚きだが、先生達の行動の的確さにも驚きを隠せない。もしかしたら………私が思っている以上のことが、学園内で起ころうとしているのかもしれなかった。




「あの、小鳥遊さん………大変な状況だと思うのですが………そろそろ魔法を教えてもらえると」



「約束だからね、ちゃんと教えるから」



「ありがとうございます!」




 今回の件については、あまり首を突っ込まない方が良いだろう。なんだか思った以上に大変そうな気がする。学園内で問題が蔓延っているのは分かるが、手出しをして痛い目に遭うのは本末転倒だ。とりあえず今は私が行うべきことをやっていく。



 魔法を教えるのは前々からの約束、詩音やエリスとは別に、委員長にはとある課題を出していた。それは魔力制御を最低でも、一時間以上は維持することだ。



 既に課題の目標には到達している。教えても問題ないと判断し、次の工程に移ることにした。




「複合魔法って知ってる?」



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