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転生少女は愛されている  作者: 海雪
第3章 交流戦
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爆発



 二手に分かれた後も、リヴィアは魔法を継続していた。ドラゴンゾンビの行動を阻害している彼女を、なんとかその場に残った全員で守っている。魔力が無制限ではない以上、長い間魔法を発動させておくのは時間の問題だった。



 僅かに少しずつだが、魔法によって与えている影響の範囲が狭張っている。その度に、勢いづくようにスケルトン達がリヴィアの周りへと殺到していた。



 拘束している存在さえどうにかしてしまえば、後はどうとでもなると分かっているのだろう。主であるドラゴンゾンビを解放し、安全圏に避難させようとスケルトン達は必死になって、剣などの持っている武器を振り回す。




「えいっ!」 「やぁっ!」 「とおっ!」




 敵であるスケルトン達が近付く前に、守りに徹していた仲間達は球体状の物体を投げつける。触れる寸前に光り輝き、スケルトンの身体を包み込んでいく。



 強烈とまではいかない優しい光が収まり、その光の中から再び姿を現したスケルトン達にこれといった変化は見られない。だがこの場に居た者達は、先程投げつけた球体状の物体について詳しい説明を受けていた。



 戸惑う事もなく効果が現れたかを確認する前に、全員は剣や杖を構え魔法を発動させていく。炎、岩、氷などの様々な属性が付いた魔法の雨が、スケルトン達の頭上に降り注いだ。



 "物理的な攻撃"鉄で出来た剣でさえも簡単に弾く、そんな硬さを持ったドラゴンゾンビの骨を元に、作成されたスケルトンに並大抵の魔法では太刀打ち出来ない。そんなことは目に見えているのだが………



 予想とは違い、バキバキと音を立ててスケルトンの身体を構成していた骨は崩壊していく。魔法が降り注ぎ終わる頃には、白い骨が粉々になり地面を埋め尽くしていた。いとも簡単にスケルトンを倒すことが出来て、全員は跳び上がり喜んでいる。




「ふぅー、備えあれば憂いなし、とはこの事でありますなぁ」




 額の汗を拭いながら、そう言ったのは山下君だ。球体状の物体、通称"閃光弾"とも言うべきアイテムを用意していたのは彼だった。今回の迷宮"禍時の小径"へと来る前にアンデッドが苦手だと、エリスが言っていたのを忘れずに、山下君は対策用の魔道具をこれでもかと大量に持ち込んでいたのだ。



 それに加えて、アンデッド系統の魔物が出現することさえ分かれば、何を持って来れば良いのか想像に難くない。だからこそ本人の持ち得る、今まで作製された魔導具が全員の手に行き渡っている。




「此処まで効くとは凄いですね。確か、光属性の魔力が詰められているんでしたよね? これなら聖水要らずでは?」



「いやいや、材料費が高いのでありますよ。なので普段使いはあまり適さないのであります」



「そうなんですね。中々、完成度の高い作品だと思いますけど? ………」




 色々な問題がある魔導具だと言うが、完成度が高いと褒める委員長に周りの者達も同様に頷く。先程の魔導具によって、スケルトンとの戦闘が非常に楽になっている。守りに徹していたとしてもスケルトンの戦闘力の高さでは、長い時間を持ち堪えるには厳しかったのだ。今も尚、戦闘を継続できているのはこの魔導具のおかげであった。




「メイドさん。大丈夫ですか?」



「えぇ、大丈夫ですがあの駄龍、魔力を大量に隠し持っていますよ。そうでなければ次々眷属を召喚するのは厳しいはずです」




 リヴィアの異変を感じたニア先生は声を掛ける。彼女の顔は真剣そのもの、いつもの余裕がある表情とは打って変わり、必死になってドラゴンゾンビを地面に縫い付けるのに集中しているように見えた。本人はその原因を誰よりも理解している。




「あの駄龍は、第二種永久機関を基に大量の魔力をその身に蓄えていると考えられます」



「えっと、つまり………」



「眷属を召喚するだけでなく、私の魔法にも抵抗しているんです。迷宮内だからこそ、魔力の回復速度が尋常じゃないとは思っていましたが………それにしては効率が良すぎますしね。直ぐに分かりました」



「確か聞いた話だと、ドラゴンゾンビの行動は全て魔力が必要でしたよね?」



「そうですよ。通常通りならば手脚や尻尾を斬り落とし、魔力を大量に使わせれば倒せるんですが………」



「このドラゴンゾンビには通用しないと?」



「間違いなく、従来の方法では無理があります」




 その話を聞いたニア先生は顔を(しか)めて、今後の行く末に不安を募らせた。





















 私達は、生み出されたスケルトン達を全て薙ぎ払い倒した。詩音の持つ刀で斬り刻まれ、エリスの大剣で粉砕される。冒険者の二人は、堅実にスケルトンを魔法や武器で倒していった。



 既にドラゴンゾンビとの距離はもう目と鼻の先で、確実に此方の攻撃を避けられないだろう。そう思っていたのだが、ドラゴンゾンビの様子がおかしい。



 魔法による行動の阻害で動けない。その原因を払拭出来ない為か、身を縮こませて防御の姿勢になっている。エリスが持つデストルクシオンの一撃に耐えようとしている様に見えた。が、どう考えてもそんな事をしようとは思えない。



 何故そのような行動を取ったのか、魔眼を使用してドラゴンゾンビが内包する魔力量を確認する。



 すると………




「まさかっ⁉︎ 自爆する気じゃ⁉︎」



「じ、自爆ですか⁉︎」



「一体どうやって⁉︎」




 周囲に漂う魔力を大量に集めているのが分かる。尋常じゃない速度で魔力量が膨れ上がり、今にも爆発しそうだ。動かず眷属を補充しないのは、この為に魔力を温存していたからだろう。このままでは、此処に居る者だけでなく、迷宮自体に多大な被害を与えることになる。



 大爆発すると聞いた面々は慌て出して、すぐにこの場所から逃げようと言うが、時間的にそれは厳しい。



 こうなったら手段は一つだけ、ドラゴンゾンビが大爆発を起こす前に確実に倒す。




「エリス………」



「あぁ」




 大剣"デストルクシオン"を構え魔力を流していく。



 ただエリスの魔力残量では、完全にドラゴンゾンビを消し飛ばすには足りない。爆発を阻止して消滅させる為に、私はエリスに近づいた。



 自分自身の持っている魔力をデストルクシオンに流す。私を見ていた三人も何をしようとしているのかを察して、同様の行動を取る。魔力の充填を終えたデストルクシオンを掲げ、エリスは気合いを入れて振り下ろした。




「いっけぇぇぇええええ!!!」

 


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