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転生少女は愛されている  作者: 海雪
第3章 交流戦
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開戦



 私達は空を見上げている。既に戦闘の準備を終えて、ドラゴンゾンビが墜ちて来るまで待機している状態の為、今は何も出来ない。




「リヴィアさん………大丈夫ですかね?」



「心配してるの? 大丈夫、リヴィアは強いから」




 詩音からしてみれば、一人で任務を達成しようとするのは危険だと思っているのだろう。相手はドラゴンゾンビだ、無理もない。彼女は、蝙蝠のような翼を広げて空へと飛んでいった。凄まじい速度で上昇していくところを見ると、ドラゴンゾンビが逃げ出しても追いつくことが出来るだろう。



 それに、リヴィアが戦闘を行う場面を直接見てはいないが、身体の内に秘める魔力量は相当だった。悪魔の持つ翼は、龍と同じで飛行の補助を行う。戦闘をしてもそう簡単に魔力切れを起こすことはないはず。




「いえ、それは心配していません。リヴィアさんの魔法や戦闘は、ある程度観ましたから………」



「ん? それじゃあ一体何を……… 」



「部外者と言う訳じゃないですけど、他の人にリヴィアさんが悪魔だと教えちゃって良いんですか?」



「あぁ、それね」




 後ろへと詩音は振り向いた。彼女が向ける視線の先に居たのは彼ら、ドラゴンゾンビと死闘を繰り広げようとした冒険者達だ。今回の作戦では既に、リヴィアの種族は悪魔だと教えてある。




「大丈夫だと思うけど、もし秘密をバラせば………」



「ば、バラせば………」



「私が見ていないところで何かしてくるかも?」



「「「それは怖い!」」」




 悪魔である彼女が何をするのか分からない。人知れずこっそりと消しに来るかも………従順な悪魔が主人の言うことを聞いている(あいだ)は問題ないだろう。その様に判断しているので、冒険者達が周りに言い触らしたりはしないだろう。



 不利益を(こうむ)る行為は悪魔の怒りを買うと思っているはず。リヴィアは(私が悪魔であることは内緒ですが、もしも秘密を話せば………)と言いながら、魔力を大量に放出して脅していた。その時はあまりの怖さに全員が、必死になりながら首を縦に振って話すまいと彼女に誓っている。



 気付く頃には、商店街の人達といつの間にか仲良くなっているし、裏では本当に何をしているのか分からない。私に対して悪魔の本性を晒さずに隠しているかもしれないが、根は良い方なのだろう。そうでなければとっくに悪評が目立ち、暮らし辛い生活をしていたはず。




「それにしてもずっと前から飛んでいるよな、あのドラゴンゾンビは………」




 誰かが呟いた一言に、周りでその言葉を聞いた者達は納得している。相当な時間が経っている為、魔力切れで地上に降りてもおかしくないが、未だにドラゴンゾンビは上空に居るので対処出来ていない。




「もしかして………時間稼ぎの為に私達は残ったけど、逃げても問題なかったんじゃ………」




 一人の女性が放った一言で雰囲気が変わる。降りて来ない上に何もして来ない。禍時の小径から一人残らず逃げ出したとしても、ドラゴンゾンビが迷宮から出て来なければ良かったのでは?と思うのも無理はない。



 最初の時はドラゴンゾンビの襲撃があり、逃げ出した者達の為に残った。命に関わる戦いを行った冒険者達は後で気付いたのだ。今は放って置いても問題ない無害な魔物だと、そう思った者がほとんどらしく表情は暗い。




「まさか、皆さんが居なければ今回の作戦は上手くいきませんよ!」



「えっ? でも………」



「詩音の言う通りです。ドラゴンゾンビの持つ異能は頭数が必要で、今は人手が足りないんです。もしもドラゴンゾンビが迷宮に立て篭もられたら………」




 迷宮を奪還し倒すこと自体が更に難しくなる。異能によってスケルトンを大量生産されたら敵わない。現在のところ、ドラゴンゾンビが異能を発動させないのは、飛行を行い魔力を消費し続けているからだろう。



 地上に降りれば魔力を回復次第、異能を発動させスケルトンの兵隊軍団を完成させることも出来るはずだ。それに、迷宮で漂っている魔力は濃い。自身の召喚獣が多少強化される場合が多々あるので、たちまちのうちに魔力を回復するだろうことは想像出来る。



 飛び続けて魔力を消費しているので今のところは大丈夫だが、最悪の場合は私達では対処出来ない可能性が高くなっていた。地上に私達が居るので、あちらも対処が出来ずにいるはずだ。




「来たぞ!!」




 空を見上げていた一人が声を上げる。何かに押し潰される様にして墜ちて来るドラゴンゾンビの姿が見えた。そのまま、ドスンッと音を立てて辺りに衝撃を撒き散らし地震を起こす。



 地響きが収まる頃には全員が、各々の武器を構えて反撃に備える。衝撃と共に巻き起こった土煙りによって、ドラゴンゾンビの姿は掻き消されていた。いきなり攻撃された場合には対応出来ない。私達が警戒していると、空からリヴィアがゆっくりと降りて来た。




「ご主人様!」



「リヴィア………」



「ご命令通り、駄龍を堕としました」



「ありがとう………私じゃ無理だったから助かるよ」



「グギァァァァァァアアアアアア!!!」



「「「ッ⁉︎」」」




 威嚇として咆哮を上げて、翼をはためかせて土煙りを晴らしたドラゴンゾンビは、上空へと飛び立としたところでリヴィアに阻止される。




 ズシンッ!!



深海領域(アビス)




 魔法によって、ドラゴンゾンビは地面へと叩き付けられる状態になった。見えない何かに押し潰されているようで、全く動けないのだろう。くぐもった声を出して、必死に起き上がろうとしているが無駄に終わっている。




「今のは重力魔法ですか?」



「いや、合成魔法だと思う。重力と言うよりかは自分自身の領域を形造る、結界魔法に似た魔法………」



「さすがです! ご主人様! ドラゴンゾンビに対して使ったのは魔法の一部ですが、相手が無機質でなければ破裂させることも出来ますよ。それに………私の魔法は前段階でしかありません」




 リヴィアが使う魔法は強力で非常に厄介だ。相手には何もさせず、圧勝することくらい容易いだろう。私の持つ魔眼であれば無効化出来るが、人によっては対処が困難だ。



 そうこうしている間にドラゴンゾンビは眷属を生み出していく。地に縛られている為か、自分自身じゃどうにもならないと判断して、咆哮を上げながら身体の一部を切り離していった。



 魔法の範囲外に出たせいで、スケルトン達は影響を受けていないが既に遅い。準備を終えたエリスの手元には、大量の魔力を流されて待機しているデストルクシオンがある。




「エリス!!」



「ああ! 砕け、デストルクシオン!!!」



 



 




 







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