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転生少女は愛されている  作者: 海雪
第3章 交流戦
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禍時の小径 ⑨



 前線にて、ドラゴンゾンビを相手にしていた冒険者達を連れて後衛の陣地に戻ってきた。リヴィアが後衛に居た者達を守っているはずなので、全く心配してなかったのだが………




「「「えっ?」」」




 私達の目の前には、憔悴しきったリヴィアがうつ伏せに倒れていた。メイド服姿の女性が居れば困惑するのも分かる。困った表情でお互いの顔を見合わせていた冒険者達は全員、私に視線を移す。事情を知っている者というより、知り合いが担当するのは納得出来る。正直どうすれば良いか分からない。



 仕方なく私は近づいていき、リヴィアの身体を起こす。彼女はゆっくりと目を開けて、私が抱きかかえているのを確認したのちに口を開く。




「………ご主人様、私、リヴィアは頑張りました。数千のスケルトン達を相手に魔力を使い果たし、既に身体は動きません。なので、最後に一つだけお願いを………」



「玲夏さん、これは演技です」



「………」




 詩音から直々に演技だと聞かされ、抱き抱えたリヴィアを離した。そのまま頭を打った彼女は「痛っ!」と、声を上げて悶えている。最初の状況から嫌な予感がしていたのは事実、無視するのも良かったが、周りの者達は流石にほっとく訳にはいかなかっただろう。



 視線で何とかしてくれと訴えてきたぐらいだから、詩音が割り込んでくれなかったらリヴィアの願いを聞かされていたはず。面倒事を避けられて、内心ホッとしていると………




「詩音様⁉︎ あとちょっとでご主人様と、あ〜んな事やこ〜んな事が出来ていたんですよ! 邪魔しないで下さい!」



「何を要求しようと思ってたの?………いや、ちょっと待って、言わなくて良い」




 邪魔されて言いたいことを言えなかったせいか、リヴィアは詩音に文句を言っている。私に何を要求しようとしてたのか気になった。だが、途中で最悪の未来を想像してしまった為、聞くのを辞めて言わないように念押しする。




「リヴィアさん、今はそんな状況ではないですよね? 玲夏さんにしっかりと説明して下さい!」



「うっ、そ、そうですね。確かに私が説明をすると言いました。すいません」



「話し合いは終わった? それじゃあ、詩音が説明して………」



「はい!」



「はい!………じゃないですよ!! 詩音様! 私が説明を担当すると決まっていましたよね⁉︎ それは何処に行ったんですか⁉︎」




 説明をしたいリヴィアは、詩音にその手柄を横取りされたせいか猛抗議している。誰でもいいから詳しく説明して欲しいと思う。とは言っても、周りを見渡せば大変な状況になっていたのは分かった。



 砕かれ、折れた骨があちこちに散乱し、粉々になった骨は灰として草花の上に雪のように積もっている。



 ドラゴンゾンビはずっと空中で旋回していたので、地上に降りて戦闘を行った訳ではないのは確かだ。



 後衛の陣地で何があってこうなったのかは分からないが、ドラゴンゾンビの攻撃によって、後衛の陣地がこのように荒れるとは到底思えない。惨状になる程の出来事が起こり、骨が砕かれたりしたと予想出来る。



 もしも攻撃が着弾すれば、刃すら簡単に弾く硬度の骨が粉々にならず、ぽっかりと地面には穴が開いてしまうはずだった。何度も確認して探している。だがそれらしいものは見当たらない。




「小鳥遊さん⁉︎ 無事だったんですね!」



「………ニア先生」




 目が合うと同時に駆け寄って来たニア先生は、私が無事かどうか聞いてくる。身体のあちらこちらを確認して、怪我等をしていないか重点的に見ていた。なにせ別行動をした際、一人だけその場を離れて前線に出ていたのだ。こうして心配してくれるのは嬉しい。




「あの、ニア先生………私は無事ですから心配しないで下さい。スカートの中まで見るつもりですか?」



「………そうですね、心配し過ぎました。小鳥遊さんは"序列第二位"ですもんね」



「「「ッ⁉︎」」」



「「あっ」」




 私が序列第二位だと分かったことで、冒険者達の間で騒めき出す。その気配で、ニア先生は他の人が居るのを知ったみたいだ。言ってはいけない事を口走り、大変な状況を招いたとおろおろしている。



 もう遅いが………



 勘違いでそのように聞こえたとしてもおかしくはない。普通は信じられないだろう。冒険者達は全員、円陣を組むように集まって話し込んでいた。この後、私が序列第二位だと知ってどうするのか待っていると、一人の人物が代表として出て来る。




「サインください!」



「………」




 今のを信じたのか、サイン用の色紙とペンを差し出してきた。サイン自体の書き方を知らないので、私はやんわりと断る。




「えっと、それはちょっと、それよりも今のを信じたんですか?」



「まぁ、あれだけの魔法を見せられたら」



「そうですか………それよりニア先生、他の人達はどうしたんですか? 先程から見当たらないんですが………」



「あっ! そうですね! 此方に皆さん休んでいます。付いて来てください」




 誘導される形で冒険者達はニア先生に付いて行く。



 この場を去っていく者達の姿を見送った後、詩音達の方に振り向いて、何があったのかを説明してもらう。詩音とリヴィアはそれぞれお互いの顔を見合わせて、どちらが説明を担当するか目で話し合っていた。




「まずは、ドラゴンゾンビが眷属を召喚? した件ですが………」



「詩音様、それよりも私の活躍を話して………」



「リヴィア、黙れ」



「はい………」




 とりあえず、関係なさそうな話しをするリヴィアを黙らせる。どんな活躍をしたかよりも気になったのは眷属の件、詩音が言ったことが本当なら更に厄介だ。



 ただでさえ人手が少ないのに加えて、戦闘を増やしてしまっては大変な状況に追い込まれる場合がある。



 最悪、死人が出る可能性がある戦いになるかもしれない。今から逃げれば迷宮から無事に帰ることになるだろう。穏便に出来ればの話しになるが………ドラゴンゾンビを倒さないまま放置すれば、迷宮に入ることが出来ない上に最悪の場合、眷属で溢れて外に出て来る事があるかもしれない。




「詩音、リヴィア、ドラゴンゾンビを倒す作戦会議をしよう。全員を呼んで!」



 




 


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