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転生少女は愛されている  作者: 海雪
第3章 交流戦
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遺伝



 彼女の姿に詩音は息を呑み込んだ。



 いきなり声を掛けられたからという事もあるが、その姿にも影響されていた。風呂上がりの為か色気を醸し出し、独特な雰囲気を漂わせている。熱湯による体温の上昇で白い素肌、頬はほんのりとピンク色に染まっていた。



 髪に残った水滴が胸元へと滴り落ちて、思わず視線は谷間へと引き寄せられる。キャミソールにショートパンツの部屋着らしき格好、ただでさえ同性であるにも関わらず魅力的に見えてしまっていた。詩音は彼女の姿にゴクリと息を呑み込む。




「どうしたの?」



「あっ! いえ、なんでもありませんよ。ふふっ……」



「ならいいけど、さっき、リヴィアの声がしたと思ったんだけど………」



「………」




 先程まで会話をしていた人物の名が出た瞬間に、詩音の表情はピシリと固まった。石像と化し目を丸くしている。思考すらも止まっているのか、どうすればいいのかわからないのだろう。少しずつ今の状況を理解して、視線を彷徨わせ、必死に言葉を紡ごうと詩音は考えていた。だがそれは杞憂だった。




「………そんなことはないよね!リヴィアと詩音が話しをする仲とは思えないし、親に連絡してたの?」



「あ、えっと、そうです! 親に少し連絡を」




 リヴィアとの関係や、先程の内容をどのように話すかを考えてみたが、どのように話せばいいか詩音には分からない。それに先程の内容は未だに解決出来ていないのだ。ぬか喜びさせるのもどうかと思った詩音は、勘違いしてそう思ってくれるならと、そう返事を返す。




「それにリヴィアで思い出したんだけど………」



「ん? やっぱり心配なんですか?」



「いや、私が居ないから、クローゼットを開けて下着の匂いを嗅いだりしてると思うと………」



「羨まっ………それは最低ですね」




 彼女の話しに頷き同意している。その後もリヴィアに関することを知って、詩音は羨ましいと小さく口ずさみながら近づいていった。




「詩音………近い!」



「すいません、ところで玲夏さん。その………言いたくないのであればいいのですが、ご両親とは………」



「あぁ、なんで髪の色を引き継いでいないか?ごめん、それは私にも分からない」




 詩音が聞いたのは遺伝について、両親の二人は黒髪と金髪だ。本来であれば遺伝の影響が強く出る為に、彼女のように白髪やヘテロクロミアで生まれる可能性はとても珍しい。親子同士だと一見するだけでは分からないのだ。



 人によっては失礼に当たると思い、詩音は恐る恐る尋ねてみたが、気にしている様子は微塵もなかった。



 実際には詩音だけでなく、エリスや委員長も聞きたい質問になるだろう。彼女は自身の白髪を弄りながら口を開いた。




「父さんや母さんが、両親と聞いて驚いた人は多いよ。なにせ、黒髪でも金髪でもない上に白髪、遺伝の影響は大きいのに、両親から引き継いでいるのはこの瞳だけ」


 


 顔を近づけ異なる瞳を見せている。元々ヘテロクロミアだと、魔眼持ちだと知っている詩音は今更驚くことはない。それでも目を離せずに惹き寄せられたのは、綺麗だと思ったからだろう。




「まぁ、気にしないで良いよ。昔から、両親の二人は病的なまでに私の面倒を見ていたから。この髪と瞳のせいで虐められるんじゃないかって………」



「確かに、両親から見れば可愛い娘ですしね」



「重過ぎるけどね。さて、そろそろリビングに………」




 リビングに戻ろうとすると扉が開いて、委員長と小鳥遊母が出て来る。少し困った表情の委員長と、ニコニコとしている母親に、二人は首を傾げていた。一体どうしたのかと思っていると………




「あら、玲夏ちゃん。お風呂上がりなの?ちょうど良かったわ。私達も入ろうと思ってたところなの、詩音ちゃんはどうするの?」



「後で頂きます」



「そう? なら滴ちゃん。早速入りにいきましょう」



「えぇ、そうですね………」




 引き吊り困った表情で返した委員長を、そのまま浴場に連行していく母親に言葉が出ない。その場に残された二人は、お互いの顔を見合わせて思う。どう見ても逃げないように、委員長の手を捕まえていた。





















 翌日



 美味しい食事に舌鼓を打っていると、朝食の最中に母さんが突如言い出した。




「交流戦に出るんでしょ?」



「あぁ、おじいちゃん………」




 思い出したくない記憶を思い起こされた。既に両親を含めて知り合いには伝えたのだろう。一カ月以上も後になる話しのことなのにだ。




「楽しみだな、その時はお弁当を持って行こうか!」



「そうね! 玲夏ちゃんの好物を詰めて行きましょう! そうした方がいいわ!」




 両親や三人は、未だに先のことなのに交流戦で盛り上がっている。双子の妹も同様に、私が出場することに対して喜んでいた。今からでも楽しみなことには違いないのかもしれないが、私はセイラさんから条件を提示されているのだ。もしも優勝しなければ、一日中オモチャとして弄ばれる。



 様々な衣装を着替えるのに抵抗はない。だが次から次へと衣装を着替えさせられ、最後は精神的に疲れるのだ。




「そういえば、玲夏さんは交流戦についてあまり知らないんですよね?」



「うん?そうだが。大抵は本を読んでいるし、TV(テレビ)を見てもお笑い番組ばかりだからな」



「特に玲夏ちゃんは、魔法に興味はあるけど、対人戦には全く興味を示さないから」




 後から知ったが、交流戦はTV(テレビ)で放送されていて、その時の名は長くて覚えずらかった。放送されていた当時は別の番組を見ていたし、大抵は部屋に引きこもって本を読み漁っているくらい。



 両親と三人の会話はそのまま続いていく、話せば話す程に昔の記憶を掘り起こされ、恥ずかしくなっていった。私の過去が載っているアルバムを、引っ張り出してきてすらいないのにだ。そして、父さんと母さんは何かを同時に思い出したのか「「あっ!」」と、息の合ったタイミングで立ち上がる。




「ちょっと待って、アルバムを持って来るから!」




 ダァンッ!!



 アルバムという言葉に、私はテーブルに額を打ち付ける。まるで、私の心を見透かしているみたいに両親はアルバムを引っ張り出してきた。アルバムに載っている数々の写真を見て、さらに盛り上がりわいわいと楽しんでいる。



 朝食を終えて、私達は学園都市へと帰る為に駅前に移動した。双子の妹達は此処にいないが、既に別れの挨拶は済ませてある。私は学園に入学する以前と、似たような光景を思い出した。




「それじゃあ、また、交流戦で………」



「ああ、頑張れよ!」



「会いに行くからね?」




 両親に別れを済ませその場を去って行く。私と詩音、エリス、委員長は、時間通り列車に乗ることが出来た。窓際からは、二人が手を振っている姿が見える。また明日からは学園での日常が始まる。






















「まさか、あの子と同じ存在が二人もいるなんてね?」



「ああ、もう既に運命は始まったのかもな………」




 汽笛を鳴らし走り去っていく列車を見ながら、二人はこの先の未来を考えていた。



 







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