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転生少女は愛されている  作者: 海雪
第3章 交流戦
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知らされた事実



「大丈夫、複合魔法は私しか使えないから」




 今のところは、私しか使えない完全オリジナルの魔法である。扱いが難しい魔法でもあるが故に、広範囲と共に、高威力が出易くなっている魔法だ。だが、それだけの魔法を習得した者はいない。



 現在のところ、知りあいの何人かに教えた事のあった魔法で、誰もが匙を投げ出した習得が困難すぎる魔法だった。




「他の人はいないんですか? つまり玲夏さんしか習得出来ていない、オリジナルの魔法って事になりますよね? 凄いです………」



「今のところは、ね? 何人か、習得出来る人に目星をつけていて教えたいけど」



「………もしかして、学園長ですか? 」



「私が教えていないと思う? 」



「あぁ………」




 詩音は今の返事で理解したみたいだ。学園内では知らない者はいない程の実力者にして、かの有名な賢者とまで呼ばれた人物でさえも習得出来ていなかった。



 魔法の熟練度はそうとう高く、行使出来る魔法の総数は千を超える程なのにも関わらずにだ。



 何の条件を満たせば行使出来るのかは分かっていない。だからこそ、複合魔法の情報が流出してしまっても問題ないのだ。習得出来ないのであれば知らない、分からないも同然だと言えた。




「大抵の人は、それだけ強力な魔法は秘密にするものですけど………」



「まぁ、普通はそうだとしても、私の場合は教えた方が良いと思ってるから。永遠なんてないに等しいし、書物に残せば誰かが覚えてくれるはずだから」



「習得出来ないなら、ですか? 」



「魔法省にも登録されているよ? 」



「えっ⁉︎ それは本当ですか⁉︎ 見た事はおろか、聞いた事すらありません!」



「本当、確かなはずだよ」




 私の祖父である学園長が、直々に手を回した以上はしっかりと記録に残っていると思う。適切な場所へと記録を移した方が良いと学園長自身は言っていた。



 魔法省の管理する記録書庫(インデックス)内に、複合魔法などの資料が納められているのだ。何処にあるのかは分からないが、態々(わざわざ)探しに行く程でもないだろう。



 まだ聞きたいことがあるのか、何かに気付いた詩音は口を開きかけたが………




「あっ! そういえば先程、何人か目星をつけていると(ピコン!)………どうしました?」




 詩音が話しをしている途中で、端末からメールが届いた。緊急の用事でなければ良いと思い内容を確認すると、書かれた文面には学園長室に来て欲しいと書かれていた。



 それも私だけでなく、詩音と共に一緒に来て欲しいという内容だった。とりあえず立ち上がりながら、話しを遮った事を謝る。




「話しを遮って悪いけど、学園長室に来て欲しいってさ、詩音も一緒に………」



「私もですか?」




 詩音の疑問に頷き返した後、私達は目的の場所へと移動した。




















 学園長室に呼ばれ、何時ものように豪華なソファーへと腰を落ち着ける。変わらない面子の二人、この部屋の主である学園長と秘書のセイラさんが向かいの席に座っていた。




「それで、話しって何?」



「呼んだのは二つ程あるんじゃが、先ずはこれじゃな!」




 早速とばかりに机の上に置かれた物に疑問を浮かべる。机の上にあるのは、何処からどう見ても生徒手帳にしか見えない。何故それがあるのかが分からないが、はっきりしている事は一つだけある。



 それは本来であれば、私に配られるはずだった生徒手帳だ。



 教室内で、それも担任を務めるエリー先生から直接手渡されるはずだった物だ。此処にある理由は何らかの秘密がある為に、だからこそ学園長室にまで呼んだのだろう。




「どうしてコレがあるの? 本来なら、エリー先生が教室で配るはずじゃ………」



「まぁ、予定ではそうなんじゃがな。それだとちと問題があってのぅー、この中身にその答えがあるんじゃよ」




 問題があると言ったが、それは教室内でという意味だろう。そうでなければ此処に呼んでまで渡すはずがなかった。生徒手帳を早速手に取り、書かれた内容に私は目を見開いて驚いてしまう。




「………魔法省公認、序列第二位」




 生徒手帳には何の疑いようもなく、そのように書かれていた。一桁だけの数字で、他の番号は邪魔だと言わんばかりに徹底的に排除されていたのだ。



 生徒たちに渡されている手帳は、学園からではなく魔法省が作成していた。ライセンスの発行と、序列の番号を管理していた為だ。約一カ月遅れで生徒たちに配布されたのは、迷宮に入る直前であり、序列入りさせる為だった。




「おめでとうございます! 小鳥遊様!」



「おめでとう。良かったのぅ、玲夏ちゃん!」




 学園長とセイラさんの二人は拍手喝采で、自分の事のように喜んでいる。まるでサプライズが成功したみたいな感じで沸き立っていた。




「玲夏さん! おめでとうございます。序列第二位だなんて凄い快挙ですよ! 」




 詩音も二人と同様に喜んでいるみたいだが、私はその事に躊躇(ためら)い戸惑っていた。すんなりと理解しているのであるならば分かるが、大抵は驚くはずだ。もしくは、前々からある程度は予測していたのだろう。



 学園長室にいる、私以外の三人は祝福してくれるが、分からない事が幾つかあった。先ず一つ目が、既に何年も前から第二位が就任していた点だ。もしも私であれば、連絡の一つでも来なければおかしかった。




「どうかしたかのぅ? 喜ぶところじゃぞ?」



「分からない事があって、私のところには連絡が来てない」



「それは小鳥遊様がまだ、ライセンス等を発行出来るだけの歳には満たなかったからですね」



「えっ? まぁ、セイラさんの言う通りですけど、数年前から噂が出回っていますよ。それに、既に第二位は就任しているはずじゃ………」




 セイラさんの言う通りだが、序列第二位という席には数年前に誰かが座っているはずだ。なにせ知らされる前からずっと誰かが活躍しているはずで、そうでなければ身に覚えのない情報が多くありすぎた。




「それに、私とは思えない人物像の情報は何?」



「「「………」」」




 私の言葉に全員が黙ってしまった。それに対して詩音は訳も分からずに困惑した表情であり、学園長とセイラさんはお互いの顔を見合わせている。



 一瞬の間に心の探り合いでもしていたのか、二人はその後に私の方へと顔を戻した。どちらも無表情といえる顔で、説明するのが嫌そうだ。その内の学園長が説明を担当したのか、口を動かして………




「ワシャナンモシランヨ」



「嘘つけ!!」




 説明を受けられる、と思ったら片言で知らないときた。私から目を合わせないように視線を逸らし、追求されたくないと言っているようだ。仕方なくもう一人の方へ視線を向けると、露骨に顔を別の場所に向けた。



 セイラさんも同様に聞かれたくないようで、額から冷や汗が出ている。残ったのは詩音だけであるが、話すよりも説明を受けたい一人であることは間違いなかった。




「詩音は何か知ってる? 」



「すいません。第二位については何も、ですが強力な召喚獣や、炎と氷属性の魔法はあっていますよね!」



「確かにそうだけど………大抵は違うよ?」



「えっ?」




 聞いた事のある序列第二位の情報であれば、詩音の言ったそれらは合っている。だが、それ以外の情報と人物像とが合っていなかったのだ。



 少し考え込んでいた詩音は、私に対して召喚獣等の事を確認しだした。




「玲夏さんの召喚獣は強いですよね? 」



「そうだけど、よっぽどの事がない限りは呼んだりはしないよ? だってアトラは無茶苦茶に暴れ回るし、ミューダはバカデカすぎるし………本気を出したら地形なんか数秒で変わるよ」



「あぁ、確かにそうですね」



「それに召喚獣を呼んだのは、去年の間に一回だけぐらい。大抵の人は知らないはず」




 強力な召喚獣を使役しているなんて情報は、よほどの事がない限りは出回らない。見ていたのであれば、馬鹿みたいにでかい蛇を見たと言うはずなのだ。




「炎と氷属性の魔法は? 」



「私は氷属性がメインだから、それに老若男女問わず語られているのも事実上おかしい」




 序列第二位について考えれば考える程に分からなくなる。まるで何人もいて、私の情報を元に行動しているような感じがしているのだ。



 相変わらず、何かを知っていそうな二人はだんまりを決め込んでいる。それ以上はどうやっても聞き出せないだろう。




 コンっ!コンっ!コンっ!




 もう終わったと思い立ち上がりかけると、突如部屋に響いたノックの音に、私を含めた全員が扉の方を見る。一体誰が来たのか不思議に思っていると、学園長が良いタイミングだと言い出した。




「良いタイミングじゃな、次の話しを進められるからのぅ」



「次の? 」




 一度疑問に思ったが、話しは二つ程あったと思い出す。ゆっくりと部屋の扉が開かれ、中へ入ってきた者たちを見て驚いた。



 


 







 



 




   

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