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転生少女は愛されている  作者: 海雪
第2章 魔王襲来
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殱滅戦



 学園都市・北門



 さまざまな武装をしている者達で入り乱れる戦場では、魔物を倒そうと必死になっているが、未だに勢いを殺すことなく進行を許している。

 


 各門には現在、冒険者と呼ばれる人たちが戦っている。本来であれば迷宮を中心に活動し、そこから取れる珍しい鉱石や素材などを求めに迷宮に潜るが、今は街が危険に晒されている為に地上にて戦っていた。



 この学園都市には迷宮は数少ない、その影響で冒険者自体がほとんどいない。さらに四方から魔物が攻めているので、戦力が割かれていた。



 今もなお魔物たちを相手に戦い、対応してはいるが劣勢を強いられている。




「ふんっ! ………はぁっ! くそ、援軍はまだか?」



「………ハァ、ハァ………んっ? あれって………まさか」




 空を見上げた一人が何かに気づき始める。それを皮切りに、他の人たちも同様に空を見上げ原因を探り気づいた。



 先程まで、雨一つ降り出そうとは思えない位に良い天気だったにも関わらず。今は暗く、どんよりとした雨雲へと変わり果てていたのだ。




天候操作(コントロールウェザー)




 さらに雨雲の中では雷が奔り、大粒の雨が地面へと強く打ち付けている。次第に雷鳴が響く音に魔物は空を見上げていた。



 そして戦っていた者達は、いま起こっている事象から城壁にまで退避し始めていたのだ。なにせこれから起こるであろう事が分かっていた為だった。




「………賢者様が来てくれたぞ!」



「早く退避しろ! 巻き込まれる前に!」




 城壁に戻るように促す声に、地上で魔物と戦っていた者達はこの後の光景を想像し戻っていく。最後の一人が退避し終えた時点で雷鳴は、激しさをさらに増していった。




「墜ちろ、雷龍」




 その言葉を合図に龍と化した雷が大地へと落ちた。青白い巨大な雷の龍は耳をつん裂く咆哮を上げ、魔物たちを呑み込んでいった。



 魔物たちの雄叫びどころか、悲鳴すら許さずに生命を奪っていく。あまりの轟音に多くの者たちは目と耳を塞ぎ、収まるまで必死に耐えている。



 そして、いつの間にか轟音が治まった事を確認した一人が顔を上げて、地上にいた魔物たちの様子を見た。そこでは雷龍によって一掃された魔物たちの姿が目に映った。



 魔物の身体からは、ぷすぷすという焼け焦げたような音と匂いを発していたのが分かる。ところどころが炭と化し、先程の雷龍に当たれば生命はなかっただろうと改めて思い直された。




「あれが千雷の賢者の持つ力………」





















 眼下に広がる光景を見ている二人組、その内の一人が行なった所業に彼女は舌を巻いていた。




「これで北門は大丈夫じゃな、残っている魔物はいなさそうじゃ! セイラよ、とりあえず探知を頼む!」



「分かりました。魔力探知(マナデストレーション)




 彼女は自身の魔導具である杖に、魔力を送り魔法を発動した。瞳を見開いた彼女は周囲を探り始め、生き残った魔物がいないかを確認していく。



 魔力探知(マナデストレーション)は魔力を見る為の魔法である。人類は強大な魔力を感じる事は出来ても、見る事自体は出来なかった。その為の唯一の方法として、魔力を見る魔法が創り出された。



 この魔法は視界を切り替えて魔力を見る。その際にどれぐらいの魔力を内包しているか、姿形を見てから魔物か判断する場合が多かった。




「………問題ありませんね、先程の魔法によって片付いたと思われますが。次はどうされますか?」



「そうか、残っている魔物がいないのであれば問題ないじゃろ?次の場所に向かおうと言いたいところじゃが………」



「小鳥遊様………ですね? 確かにあの方が居れば何も問題ないですね」



「………そうじゃ、あの子は儂よりもずっと強いからな、東の方は心配せずとも良いじゃろ?それに儂らがすべきことは………」



「………先ずは此処ですね」




 学園長は頷き肯定した後、次の行動に移した。二人の目的は北門にいる者たちの安否と、怪我の治療だった。





















 学園都市・南門



 既に対応していた為か、城壁は光輝き何かに守られている印象に見えた。城壁のその上にいた巨人族の男、コランは真下に見える魔物たちと戦っている軍人たちを観ていた。



 戦況から問題ないと察した彼は肩の荷を下ろした。同様に、すぐ側で戦況を見守っていた猫人族の女性、ミランダは口を開いた。




「どうやら此処は問題ないですね、隊長!」



「ああ、問題ないな………他の門についてはどうだ?連絡は入っているか?」




 彼女は聞かれた答えとして資料を差し出し、補足の説明をし出した。




「………それぞれの門では問題ありません、北門はすでに魔物の掃討が終わっているみたいですよ。西門ではアヴァロン、円卓に所属している数名が対応しているみたいです………………残っているのは、東門ですが………」




 未だに連絡が来ていないのだろう、彼女は言葉を詰まらせて黙ってしまった。現状で考えられるのは二つ、一つはまだ戦闘が終わっておらず人手が足りていないか、もう一つは最悪の事態に陥ってしまっている可能性の二つだった。



 その二つの内、後者である可能性が高いと思った彼女は口に出そうとしたが。だが彼女の言いたい事を否定するかのように、彼は首を横に振った。




「………問題ない、連絡は来なくても分かる。あの人であればやってくれると、それよりも交代だ。いくぞ!」



「はい!」




 地上に降り立った二人は、残っていた魔物を次々と撃ち倒していった。

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