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転生少女は愛されている  作者: 海雪
第2章 魔王襲来
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魔生物学



「………」



「なあ、小鳥遊。そろそろ魔法を教えてくれよ〜」



「そうですよ小鳥遊さん。私にも教えて下さいよ、約束しましたよね?」



「………とりあえず、エリス、委員長、私の頬をつつくのは止めろ………」




 彼女たちは魔法を教えてくれといわんばかりに頬をつついてくる。後から知ったがエリスだけでなく、委員長にも教えなければいけないらしかった。



 まだ数日しか経っていないにも関わらず、教えてくれない事に対して催促して来た結果がこれだった。




「分かった。教えてあげるから少し待ってて、今は授業中だから!」



「………仕方ないな」



「そうですね」




 現在、行われている授業は魔生物学である。メガネを掛けた優しそうな顔つきをした男性の先生、トレヴァー先生だ。



 床に何らかのインクを使い魔法陣らしき物が描かれていた。そのすぐ近くで生徒一人に、先生は何かを教えている。今回は召喚魔法による使い魔、召喚獣との契約それが授業内容だった。



 魔法陣に魔力を送る事で、魔物を召喚しては自動的に契約を行なっていく。これといって難しい事はない上に、一人一人に先生が直々に教えているので時間が掛かっていた。



 私たちは、出番が回って来るまで待機している。暇つぶしに話していると、ちょうど頃合いだと思ったのか。エリスと委員長がこちらを見てから先生の所に行ってくると言った。




「それじゃあ、行ってくるからな」



「私も行ってきます」




 二人は立ち上がり魔法陣が描かれている所まで歩いていく。最後に残っていたのは話しを終始聞いていた詩音だけだった。彼女は召喚獣との契約に行かなくていいのだろうかと思って聞いてみた。




「詩音は行かなくていいの?」



「私は後でいいですよ、まだ終わっていない人達がいますから。それこそ玲夏さんは行かなくていいんですか?」



「………あんまり気が乗らないんだよね。もうすでに三体の召喚獣と契約してるし」



「えっ⁉︎ すごいじゃないですか!三体も契約している人は少ないんですよ! 」




 魔物を召喚獣にする事が出来る方法には、幾つかあった。一つは魔法陣による召喚、今回の授業で行なっている方法がこれだった。だが、この魔法陣によって召喚される魔物、召喚獣は一体だけと聞いていた。



 なので私もすでに召喚を出来ないという訳じゃなかった。それが二つ目の方法、野生に生息している魔物と契約を行うことが召喚獣を増やす方法だった。




「ん〜、契約している召喚獣はワイバーンですか?」



「違うよ?」



「それじゃあ〜、契約してるのは精霊とか?」



「秘密かな、アハハ!」




 詩音が言った今の二種は比較的に契約しやすく頼りになる召喚獣だ。ワイバーンは野生からではなく、卵を孵し刷り込みさせる事で契約する召喚獣だった。



 さらにワイバーンは亜竜と呼ばれる種で、本物である龍よりも小さく弱いが。炎を吐ける上に複数人を乗せて飛行できる存在だった。どこかの騎士団や軍に入隊すれば、ワイバーンの卵がもらえ一生を相棒として過ごすようになっていた。



 それに対して精霊は、眼に見えない事が多い為に希少とされ、契約さえ出来れば精霊魔法を使えるようになっている。中級ほどの精霊であれば契約し魔力を渡す事で、誰でも眼に見える状態になると聞いた。



 ただ精霊と契約出来るのは、眼で見て存在を認識した上で話しをすること。精霊魔法は、私たちが使っている属性魔法と似たような物だ。違っているのは魔力を精霊に渡しお願いする形で魔法を発動させる事と、苦手な属性でも少ない魔力で魔法を発動出来るという特性があった。



 私が使役している召喚獣は、そのどちらにも当て嵌まらなかった。強力な召喚獣には変わらないが、自ら進んで契約しようという人物はいないだろう。なにせそれぞれ個性的で性格に難があるほどの召喚獣だった。



 詩音と話しをしているとあっという間に召喚が終わったのか、私たち以外は召喚獣がすぐ側にいた。先生も私たちの番だと言いたげにこちらをジッと見ていた。




「お二人で最後なので、一緒に説明させてもらいますよ」




 先生の目の前に行くとやはり最後だったみたいで、詩音と共に説明を聞く事になった。




「魔法陣の前に立ち、魔力を注いで下さい。徐々に輝き始めるので、途中で供給を止めないように気をつけて下さい」



「………分かりました。玲夏さんから始めますか?」



「いや、詩音から先に始めて良いよ。私は後でいいから」




 私が言った言葉通りに詩音は、魔法陣の前に立ち魔力を流し始めた。徐々に輝き出したのを見ていると、少しずつ光が大きくなり始めた。



 魔法陣の輝きによる、一瞬の閃光の後に呼ばれた召喚獣は一匹の犬に似た魔物だった。フサッとした毛並みに、額に宝石を身に着けた生き物に、私は心当たりがあった。




「おい! 見ろよ、カーバンクルだ!」




 一人の生徒が上げた声を皮切りに、周りで談笑していた生徒たちが注目し始めた。



 詩音が呼び出した魔物は、カーバンクルという名の生物だった。希少な存在であり、野生に生息している魔物の中では絶滅危惧種とされている。



 額にある宝石が特徴的である為に、知らない者はいない程の魔物だ。しかもその宝石は魔力が宿っていて、精錬石として使えるので乱獲された種でもあった。




「玲夏さん。見て下さい! 可愛いですよこの子!」




 私のすぐ側に近寄ってくる詩音は、召喚したばかりのカーバンクルを両手で抱えていた。彼女が言った通り、柔らかそうな毛並みにつぶらな瞳が可愛いかった。




「抱っこしてみますか?」



「えっ?良いの?」



「はい!良いですよ!」




 渡されたカーバンクルを抱っこしてみた。毛並みはフサフサと柔らかい、見た目も可愛く、多くの者達からすれば羨ましい限りのはずだ。そのまま抱っこしていると………




「………きゅ!」



「………」



「流行っているんですかね?それ………」




 私に抱っこされていたカーバンクルは、頬をつつくように肉球を押し付けてきた。最初にされてきたので私の事が嫌いなのかと思ったら、逃げ出す素振りを見せず何度も肉球を押し付けてきている。




「ごめん………返すよ」




 詩音の両手へと収まったカーバンクルは、こちらを名残り惜しそうに見ている。私はそちらを見ないように視線を逸らし気付かない事にした。




「いや〜! 驚きましたよ〜! まさかカーバンクルを召喚してしまうなんて」



「先生………」




 気づけば周りの生徒たちは落ち着いていた。先生が落ち着かせた結果だろう。そうでなければ詩音の元へと駆け寄り、触らせて欲しいと言ってくる生徒たちが出て来るはずだ。




「それでは、小鳥遊さんでしたか? まだ終わってないですよね? 」



「はい」




 まだ行なっていなかった私は魔法陣の前に立ち、魔力を送り始める。その結果、魔法陣が輝き終えた後に呼び出された存在を確認した私は………

 

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