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転生少女は愛されている  作者: 海雪
第2章 魔王襲来
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魔草薬学



「あたしに魔法を教えてくれないか?」




 エリスと委員長が頼んでくるが私よりも学園長に聞いた方がいいだろう。私の祖父である上に魔法については数多く知っている、なにせ賢者と呼ばれているのだから。



「あー、私よりも学園長に聞いた方がいいんじゃ?」



「確かにそうだが、小鳥遊に頼みたいんだ。ダメか?」



「うっ⁉︎」




 何故か上目使いで懇願してきたエリスに、私はなにも言えなかった。少し可愛いと思ってしまったが、それよりも魔法については解決する可能性があるので問題ないと思っていた。



 だが確実に出来るという方法ではないし、私が人に教えてあげる事はなかった。彼女からしてみれば藁にも(すが)る思いでお願いしてきたのだろう。



 考えた結果、エリスに対して私は口を開いた。




「………分かった。私で良ければ教えるよ」



「えっ?………い、良いのか?魔法を教えてもらっても?」




 了承の返事として私は頷いた、彼女は徐々に満面な笑顔にしていき嬉しそうにする。委員長と共に喜びあっているのは良いが………




「良し!小鳥遊が堕ちたぞ!」



「えぇ!堕ちましたね!」



「おい」




 この二人は何故か誤解を生みそうだった。気が付くと、そろそろ授業が始まりそうだったので二人の事を無視し準備を始めた。


















 残りの魔法に関する授業は、魔草薬学と魔生物学の二つだけだ。今回受ける予定の授業は、魔草薬学の方だが教室で行われる訳じゃなかった。




「綺麗な庭園ですね〜」



「そうだね」




 私たちがいる所は、綺麗な花々が咲き乱れる庭園だった。色鮮やかな花に蝶や蜂が止まっては蜜を集め、滅多に見る事はない噴水が設置されている。そんな庭園の中央にある建物、今回はあそこで授業が行われるのだろう。



 近づいていくと全貌があらわになる、ガラス張りで出来た温室だった。透明なガラスによって外側からも中が見えている、室内にはさまざまな植物で溢れていた。これらは教材として授業等で使うのだろう。



 普通の植物も存在しているが、何故かそれに混ざって奇怪な形状をしている植物もあった。多分それらは魔法植物だろう。



 魔草薬学の授業では、薬の調合も行っているので危険性がある物が多いはずだ。なので出来る限り魔力を吸った植物や、危なそうな物は触らない方が良かった。



 授業が始まるチャイムが鳴ると同時に、生徒全員が席に座っているが先生は来なかった。もしかしたら、授業の準備に時間が掛かっている可能性があると思ったら、先生が遅れてやって来た。




「すいません遅れてしまいました………ふぅ、あらためまして。わたしが魔草薬学の授業を担当させていただきます、サナーレ・ウィーローサと申します。皆さん、よろしくお願いします」




 自己紹介を始めた先生は森人族(エルフ)としての特徴的な形状をした耳を持っていた。優しそうで穏やかな印象を与える人物で、エリー先生とは違った魅力のある女性の先生だ。



 周りの男子生徒は興奮して、先生の事について話し合っている。その際の話し合いの内容が私の耳へと入って来た。




「なぁ?知ってるか、あの先生は養護教諭も務めているんだよ。大変だよな………」



「マジかよ!魔草薬学の授業も受けもっているんだろ?大変だな………」



「あと、魔法省から直々に選ばれて来たらしい。相当なエリートだな!美人だし!」



「だな!」




 養護教諭も務めているのかと驚いた。どの仕事も大変だが養護教諭の仕事量は思った以上にある、さらに魔草薬学で必要な薬草の世話もしているはずだ。



 そう思っていると先生は、生徒たちを見廻してから言った。




「何か質問はありますか〜」




 先生の言葉に生徒たちは顔を見合わせて考えている。すると、早速とばかりに一人の生徒が立ち上がりながら質問をし出した。




「………先生って、一体何歳ですか?」



「………」



「すいません。なんでもありません」




 質問開始から数秒で席に座り直す生徒。その言葉を放った直後から、先生の笑顔が固まったままになっていた。少し時間が経ってからも先生は質問をした生徒に無言の圧力をかけていた。



 さすがに居た堪れなくなってきたのか、他に質問があった生徒が立ち上がった。




「せ、先生は趣味の方はありますか?」



「………ありますよ」




 次の質問を聞いても変わらないその笑顔に、まだ怒っているのだろうかと思ったが。少しずつ先程とは違った顔を見せた先生はとんでもない事を言った。




「わたし、実は毒草を育てるのが趣味で〜」



「「「あぁ………この人絶対にヤバイ」」」




 その趣味に生徒たちは引いていた。いくら薬の調合に必要だとしても、毒草には充分に気を付けなければならないとされている。触っただけで症状が現れることがあるからだ。



 それだけでなく、毒草や魔法植物の中には魔法省に届け出が必要になってくる物がある。管理するだけでなく、なんらかの問題を抱えても対処出来るようにする為だ。



 さまざまな魔法植物の知識を持って育てられる人は少ない上に、枯らしてしまったり問題を起こしてしまう者たちがいるからだ。




「先生って確か………魔法省から来たんだよね?」



「そうらしい、しかも学園の何処かに別の庭園があるらしいんだ。もしかしたら先生はそこで毒草とかを育てているのかもな?」




 生徒たちはそれぞれ噂話しをしている。私は他にも庭園がある事を知らないが、ここ以外にもあったのかと納得した。



 確かに生徒が立ち入らないように、ここの場所ではない所で育てられていてもおかしくはないだろう。もしも生徒に何かあれば責任問題に発展しかねない為だ。



 私は詩音の方を向いて聞いてみた。




「別の庭園があるらしいって、詩音やエリスは何か知ってる?私は聞いた事がないんだけど?………」



「いえ、初耳ですよ?」



「あたしもだな、知らないんだけど?」




 どうやら二人も知らないらしい、てっきり私だけ知らないと思っていた。すぐにもう一つの庭園の場所が分かるはずだったが生徒たちには秘密にしてあるのだろう。



 すぐ近くにいた委員長が私たちに話しかけてきた。なにか庭園に関して少しでも知っていると思ったが、それ以上の事を聞いてしまった。




「庭園の事なら、七不思議の一つにされていますね………何故か?」



「えっ?どういう事?」



「詳しい事情については分かりませんが、この学園には庭園は一つだけらしいですから。ある一人の生徒が、誰も知らない庭園に入った事が原因だと聞きました」




 何故かその言葉に背筋が凍る感覚に襲われる。てっきりサナーレ先生が別の庭園も管理しているのだと思っていた………




「………どうやら、サナーレ先生も庭園に関しては知らないと言ってましたよ。先生が就任するずっと前から隠された庭園の噂はありましたから」





  



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