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転生少女は愛されている  作者: 海雪
第2章 魔王襲来
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模擬戦



 模擬戦が始まってから、委員長たちが保健室から帰って来た。身体の方は大丈夫なのだろうかと思っていたが問題ないようだ。



 顔色もよく足取りが軽いようなので、休んで体力を取り戻したらしい。委員長の様子を見ていると、次の対戦相手として詩音が呼ばれた。




「それでは次に………雨宮さん。」



「呼ばれました。行って来ますね、玲夏さん」



「いってらっしゃい」




 軽い気持ちで詩音を見送った。今回行う予定の模擬戦では、勝っても負けてもいいらしい。なんでも、ランダムに呼ばれた生徒の中には戦闘が苦手な人もいた為だ。



 詩音は相手の前に立ち木刀を構えた。目の前にいるのは女子生徒、こちらも杖を持って同様に構えていた。



「どうぞ、始めてください」 




 その言葉を合図に動き出す二人、早速とばかりに女子生徒は魔法を使い出した。




炎球(ファイアーボール)




 打ち出した魔法は詩音へと向かっていく、が詩音も魔法を相殺する為に、水属性の魔法を使った。



水球(ウォーターボール)



 同質量の魔法がそれぞれ当たって弾けた。そのせいで周囲には霧が発生し、二人の周囲を白く包んでいた。



 この状態の中では視界を遮り、そう簡単には動けないだろう。だが霧が少しずつ晴れていく事で周りの生徒たちは理解した。



 詩音は女子生徒の背後に立ち、木刀を首筋に軽く当てていた。それを見たエリー先生は絶賛していた。あの霧の中、どうやって背後を取ったかその理由が分かったみたいだ。




「お見事です。反響定位(エコロケーション)を使ったんですね!」 




 魔法には大まかに分けて四種類ある、攻撃、防御、補助、回復の合計で四種だ。



 詩音が使った魔法は補助に位置する探知魔法、反響定位(エコロケーション)であった。この魔法は周囲の物音から状況を判断する為の魔法だ。



 詩音は笑顔でこちらに駆け寄って来る。まるで(じゃ)れてくる子猫の様だった。




「玲夏さん。勝ちました!」



「うん、すごいよ。それにしてもよくあの魔法を覚えてたね?大抵の人は習得しないし、覚えようともしないけど………」



「この反響定位(エコロケーション)という魔法は簡単に出来ましたよ」



「嘘でしょ?」



「数日で習得出来ましたよ、この魔法」



「………」




 もしかしたら詩音は知らないのかも知れない、というのも探知魔法は難しいとされていた。他の魔法よりも習得難易度が高く、それでいて扱いが難しい魔法だった。



 魔法は距離が離れるたびに効果が弱まる上に、離れた場所から魔法を発動させるには、それ相応の魔力が必要だ。



 大抵の場合は自身の周囲に、魔法を展開することが常識になっている。



 つまり広範囲、高威力の魔法を使うには、膨大な魔力が必要不可欠であった。



 その法則通りであれば、周囲を調べる探知魔法の習得は困難に近いと思われがちだが。この魔法の一番の問題は使えるかどうかだ。



 というのも、それ専用の魔法は使いどころが少ない。そのせいで汎用しやすい攻撃か防御の魔法を覚える事が多く、いざ補助の魔法を覚えても活躍の場面がなかったりする。




「次は誰ですかね〜、玲夏さんとか?」



「あはは、そうかもね」




 もうすでに何組か終わっている、残りの生徒も少ないので私が選ばれる可能性もあった。




「そうですね、エリスさんと宝仙さんにしましょうか?」



 呼ばれた生徒は、一日中上の空だったエリスと病み上がりの委員長たちだ。それぞれ前へと歩いて行った。




「エリスさん大丈夫ですか?」



「大丈夫です」



 彼女は素っ気なく返事を返した。見ている限りでは一日中、委員長を見ては上の空だった。少し心配だが何事も無ければ良いと思う。



 模擬戦でエリスが使う魔道具、持っていたのは刃があらかじめ潰されていた戦斧だった。



 それを見た者たちは困惑していた。

 



「エリスさん。森人族(エルフ)ですよね?どこからどう見ても」



「そうだったはずだけど………」




 森人族(エルフ)は筋力が低い、魔法を使う際は杖か弓を主体に戦闘を行なっている。



 戦斧を使うには彼らでは荷が重すぎた。振り回すだけでも圧倒的に筋力が足りない上に、様々な魔法を使うには相性が悪すぎた。



 次にエリー先生は、もう一人の方に顔を向けて体調が良いか確認した。




「宝仙さん。具合が悪いのであれば辞退しても構いませんよ、どうします?」



「体調の方は問題ありません。やれます」



「分かりました」




 委員長が手に持つのは、滅多にお目にかかる事が出来ない本型の魔道具である魔導書だった。



 その本に使用されている素材は、見ただけでも高級品だと分かってしまうほどだ。



 所々にあしらった精錬石、表紙である革も、どこか古めかしい感じがするが。どこもほつれているところはなかった。




「魔導書ですか、すごい珍しいですね。まさか学園の生徒の中に魔導書を使う人がいるなんて!」




 詩音が言う通りに珍しい、持っている生徒は学園中を探したとしてもほとんどいないだろう。魔導書自体が、とても貴重な為に出回っていなかったのだ。




「それでは二人とも位置について」




 その言葉に二人は武器を構えた。エリスは戦斧を肩から下ろして両手で握り締め、委員長は本を開き両足でしっかりと立っていた。




「始め」




 その言葉を合図に始まった。


 



 

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