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MIB 1st contact  作者: 光輝
■第6話 インセクトイド編 (4P)
22/42

2.荒らされた飼育部

太陽が真上に差し掛かった頃。


お昼を知らせるベルに、エレナは待ってましたと言わんばかりに昼食の入った紙袋を取り出した。

今日は海老アボカドのサラダサンドだ。

今朝、パンが弾けんばかりの大海老の背綿をとっていたのを思い出す。慣れた手つきでスライスされたトマトにオニオン……手作りのクリーミードレッシングに思わずヨダレがでた。


ミシェルにも半分わけてあげようと席を立ったまさにその時、両手を切に組んだクラスメイトが、追いすがるように懇願する。


「エレナさん、写真部兼オカルト研究部に依頼がありますのっ!」


エレナは驚き、クラスメイトの桜蘭(おうらん)を見た。

桜蘭はおっとりとした中国系のクラスメイトだが、今日はなんとも切羽詰った面持ちでエレナを見つめている。


「飼育室が、何者かに荒らされていたのです……それはひどい有様で……」

綺麗な瞳に涙が光り、雲のようにふんわりとした黒髪がさらりと揺れる。


「飼育室が?」とエレナ。

飼育室は校舎脇にある、廃部になった馬術部の馬房を改築したものだ。

頑丈なレンガ作りが特徴で、白と赤のペンキがなかなかにおしゃれな外見だが、中は小動物だの野菜だのの保管庫でもある。金目のものなんて当然無く、あっても園芸部が育てたささやかな野菜くらいだろう。


(飼育部を荒らしたところで、一体誰が得するんだろ?)


「ええと、桜蘭。そういうのは先生に相談した方が……」

言いかけたエレナの言葉を、桜蘭が食い気味に言いかぶせる。

「いーえっ、先公なんざ当てになりませんッ……ゴハンさんいわく、エレナさんは数々の謎を解明した、きってのオカルトマスター!

是が非でも、その観察眼で犯人をつきとめていただきたいのですわ」


ぐいぐい来られてエレナも後ずさる。昔から桜蘭(おうらん)はおっとりとした見た目と裏腹に、結構押しが強いのだ。


「まかしとけ!」

そう返したのは、後ろからエレナに腕をまわしたゴハンだった。

エレナがその筋肉質な腕を叩いて、じろりとゴハンを横目見る。

「ちょっと、誰がオカルトマスターよ。どんどん話が大きくなってるじゃないの」


ゴハンは「ちょっと」と手をメンゴに桜蘭を待たせ、そのまま階段横のスペースに出た。

あたりをみて、まるでスパイのように耳打ちをする。

「エレナちゃん、犯人はたぶんエイリアンだ」


「へぇ~、飼育室の人参やピーマンを荒らすエイリアンね~、そりゃ大事件だわ……ってそんなのいるわけないでしょ」

エレナはゴハンの腕をふりほどき、向き合って腰に手をやる。やって、ゴハンの真面目な顔にまばたきひとつ。

しばらく間があった。エレナは眩し気に目をしばたたかせ、ちょっと目を見開く。

「……えっ、本当に?」と。


「ああ。まあ、可能性だけど。今回は飼育室で済んでるけど、ケガ人が出ると事だな。ちょっと見に行こうぜ」

準備万端のゴハンに、エレナが泡を食って頷き返す。

「わ……わかった! 準備するからちょっと待ってて!」

言ってすぐさま教室に戻り、桜蘭から飼育室の鍵を受け取る。


「エレナさん、飼育部の調査依頼を、受けていただけるのですか?」


「ええ。桜蘭、あとは私達にまかせて!」

エレナは緊張を振り切るように、カッコつけてどんと胸をたたいてみせた。


……・……


お昼休みで賑わう中庭遠く、ゴハンとエレナは密やかに飼育室の扉を開けた。


木製の扉は名残惜しそうな軋み音をあけ、その中をあらわにする。

床材が蒸れたようなにおいに混ざって、ほこりのような粉っぽい臭いが充満していた。


エレナはちょっと呼吸をためらった。

「……派手に荒らしたものね」と、足元に気をつけながら一瞥する。


窓は割られ、棚はすべてなぎ倒されていた。

足元に転がる野菜はいくつも踏み潰され、壁には巨大な爪あとが残っている。その爪あとは熊のそれより大きく、壁のコンクリートを深くえぐっていた。


ゴハンが人参を拾い、エレナを見た。

「だな。レンズではどんなかんじ?」


エレナはレンズをかかげ飼育室を視る。

おだやかにゆらめく虹色の先……巨大な爪あとがうごめいてみえた。


「うーん、なんか爪あとが小刻みに動いているような……? 煙が震えてるってかんじ」


「じゃあ、エイリアン確定だな」

ゴハンは言って、手元の人参をエレナにパスする。

人参を受け取ったエレナは、とたんおっかなびっくりな声をあげ、火傷でもしたかのように地面に放り捨てた。


人参は、見たこともない不気味な歯型がついていた。

それも細かな針のような歯で、硬い人参をコンニャクのように易々と噛みちぎったような跡を残している。


その人参を見やったエレナは、ふと小さな血痕と鳥の羽が散らばっている事に気付き、総毛だった。

嫌な予感にふとゴハンと視線がかち合う。


ゴハンが応えるように頷いた。

「ハムスターとかの小屋が空だね。血の痕跡があるから、肉食かも?」

軽く言うゴハンに、エレナが「やっぱり!」と両肩を抱きかかえ身震いする。


「かわいそう、ハムスターもインコもみんな、エイリアンに食べられちゃったの……?」

言って、ふと顔を上げた。「肉食って……まさか、人間も食べちゃう系?」


ゴハンは肩をすくめてみせた。

「化学薬品漬けのヒトを好んで食うエイリアンはみたことないよ。こりゃ放課後はエイリアン探索デート確定」


それにエレナはしっかり頷いたのだった。



……・……




「ナマステー。前世はトッテモ素敵な預言者イーシャ・アルデバランでス。こにちわ、キッズ共」


昼からの異文化交流の授業は、インド人の交換留学生イーシャ・アルデバランが教鞭をふる。

イーシャは盲目で常に目を閉じているのだが、どういうわけかまるで目が見えるかのように学園生活を謳歌している変わった女性だ。


彼女はこのセリオン学園をはじめ、様々な学校で国際交流の素晴らしさを広め……てくれたらいいのだが、

エキゾチックな美人だが輪をかけてぶっ飛んでいて、故に日々の授業もぶっ飛んでしまっているのが現状である。


クラスメイトの視線がイーシャに向く。

教卓には檻に入った巨大ネズミが1匹。猫ほどの大きさだが、なんとも可愛らしいネズミだ。


挿絵(By みてみん)


そんな可愛いネズミの襟首を掴み上げたイーシャが笑顔を向ける。

「これは食用ネズミでス。食うんだヨ。だから見かけたラ、ヨコセよ! 異文化コミュニケーション!」


女生徒たちの悲鳴と男子生徒のドン引きのどよめきが響く中、イーシャは鬼教官のように教壇に大きく両手をついた。

「……ト、イウことデ! 来月マデの宿題ハ、ネズミの捕獲でース!」


一同の驚愕の大絶叫と同時、終業のベルが鳴り響く。

イーシャは「シャオラッ! インシャラー!」とガッツポーズを決め、食用ネズミの檻を片手にとっとと教室を出て行ってしまった。


エレナも仰天ままそれを見送った。お昼を食べ損ねた空腹が一気に消え失せる。

クジラや馬を食べる国もある事を知っていたエレナだが、さすがにネズミは想像もしてなかった。

(あんな可愛いネズミを食べるだなんて、色んな国の文化があるのね……おいしいのかなぁ)



渡り廊下で空を見上げたイーシャは、空を飛ぶ鳥たちに穏やかな笑みをみせる。

相変わらずイーシャの瞳は閉じられたままだ。


光を失った瞳が何をとらえているのかは、きっと誰にもわからない。



……・……


平日とはいえ、遊園地モルガーニャランドは相変わらずの大盛況だ。


観覧車から降りたジュリアとサムソンは、少し離れのオープンカフェで一息つく。

喉も潤ったころ、サムソンがふとスマホの着信を見た。

「……ぁあ、理事長からだ。少し待ってて」


その背を笑顔で見送ったジュリアの笑顔が、ふいに消える。

ジュリアは椅子に立てかけてあったギターを手に、人込みを縫うように一直線にベンチへと向かった。



背を向けて座る男に、ジュリアは背のギターを向ける。

男はまったく動じず、タバコを灰皿に押し付けた。そして、立ち上がってジュリアを大きく見下ろす。


ジュリアはやや驚いた。

その男は間近、まるで女性のような妖艶さをまとっていたからだ。

白のネクタイ以外は革手袋まで黒づくめで、悪魔の王子のような洗練された立ち振る舞いに、ジュリアはギターを握り直す。


周囲の目がちらつくも、2人はまったく動じない。

ジュリアは冷静に男に告げた。


「今朝からずっと人の後をつけて……。一体何のつもり」


この男は、これまでの人間とはどこか違う。それがジュリアの直感だった。

相当な場数を踏んでいるのは想像に難くない。だから2人きりになるまで様子を見たし、先手を打つまねもしなかったのだ。


「オレの気配に気づくあたり、腕はあるようだな。恋人ごっこを邪魔するつもりはねえし、君とやりあう気も毛頭ねえよ」

男は見た目を裏切る低い声で、軽く両手を広げそう告げた。ジュリアはギターを降ろさない。


「目的は何」

「ボディガードとして雇われただけだ、院長サムソンに危険が無いか見てろってな。マスコミだって蹴散らしてやってんだから感謝しろ」


その言葉にジュリアが気取られぬよう澄まし込み、怪訝にギターを降ろす。

イルミナ生命工学研究所は大企業とあって、機密情報保持でボディガードを派遣するのは珍しくなかったからだ。

「大きなお世話よ。先生は私が守るもの。……貴方、名前は」


男は踵を返し、肩越しにちらりとジュリアを見た。

黒金(クロガネ)だ。見つかったなら仕方ねえ」

黒金そう言って軽く両手をお手上げし、静かに人込みに消えていく。

ジュリアは静かに、その背を見送るしかできなかった……のも、つかの間だった。


黒金はちょっと離れたトラックでチュロスを購入し、もりもりと食べ始めたのだ。

チュロスを葉巻のように咥えビールを開けたところで、はたと視線が合う。視線をツイとそらされたジュリアは、苛立ちまま歩み寄り、指先を親の仇のように突きつけた。


「……こういう時はとっとと消えるのが定石でしょ。何のんきにチュロスを食べてるのよ」


黒金はやっつけにチュロスを噛みちぎった。チュロスをここまでまずそうに食べる人間を、ジュリアは見たことがない。

「うっせえな、平日に学校フケてこんな遠くまで飛ばすって誰が予想できるってんだ? 交通費も雑費も経費でおとさなきゃ気が済まねえ」

そうビールを煽り、領収書を慣れた手つきで封筒におさめる。


ジュリアは煮え切らぬまま、その場をあとにしたのだった。



……・……



電話を終えたサムソンが小走りで戻ると、ジュリアはひとり噴水を見ていた。

光る水面が瞳に反射し、宝石のように煌めいている。


「お待たせ。どうしたの? 浮かない顔してる」

サムソンはそう言ってジュリアの髪を指先であそばせ、噴水のブロックに腰を落とす。


伏せた睫毛、ジュリアはスネるように口先を尖らせた。

「だって、遅かったわ……妙なボディガードもうろついてるし」

サムソンはちょっと気まずげに頬をかいた。

「ごめんね……せっかくのデートなのに」


ジュリアは、ちょっとすねてみたかった。

しかし急ぎ足で戻ってきて、甘えるように見上げるサムソンにいじわるな気持ちも全部ふっとんでしまったのだ。

ジュリアは思わずはにかんで、2人見合って笑ったのだった。


サムソンはそっとジュリアのブレスレットを指でなぞる。

「この間エレナちゃん達と作ったんだって? 似合ってるよ。友達ができて本当よかった。

たくさん友達をつくって、ケンカしたり、仲直りしたり、……たくさん経験してほしいな。僕にとってジュリアの幸せは、何よりの幸せだよ」


「先生……」

ときめくジュリアの耳にふと、行き交う人の声が刺さる。

〔わあ、あの人かっこよくない?〕

〔でも子どもいるじゃん、小さくて可愛いね〕

〔年の離れた妹でしょ、いいなーハンサムなお兄さん〕


年頃の女性たちの声が、心に重く沈んでいく。

いつかあんな女性が、この優しい手を奪ってしまうかもしれない。そう思っただけでジュリアは胸が張り裂けそうだった。


サムソンはさりげなく、女性達を背にジュリアに跪いた。

「ジュリア、可愛い可愛い僕のお姫様。僕と一緒にデートの続きをしよう?」

言って、まるで秘密基地に向かう少年のように、無邪気に笑ってみせる。

あっけに足が止まる女性達を背に、ジュリアはサムソンの頭に抱き着いた。


(早く大人になりたい。もっと背が高ければいいのに! そうしたらきっと、胸を張って……隣にいられるのに)


小さな靴が地面を離れる。ひょいとお姫さま抱っこにまばたきひとつ。

噴水のきらめき遠く、風が髪を流す。

「それじゃあ、お城まで出発」


大好きな声が耳元で優しく響く。

ずっとこの時が続けばいいのにと思う反面、どこか仄暗い不安があった。

胸の奥でくすぶるそれは、ジュリアにもわからない。


……・……


茜色の夕日が落ち、旧校舎がすっかり夜闇に包まれるころ。


エレナは写真部にひとり、昼間食べそびれた海老アボカドのサラダサンドに舌鼓をうっていた。

時間がたっていたとは思えぬほど、しっとりプリプリの海老とクリーミーなアボカドは極上の旨さだ。


(う~ん、おいしい! もうすぐゴハン来るかな?)


肌を撫でるような静寂に、MIB達と出遭った日を思い出す。

あの日も、夜の学園だった。エレナはまさか自分が外星来訪者の管理に協力するなんて、夢にも思ってもいなかったのだ。


そしてふと、ジュリアの言葉を思い出す。


〔あの2人……異様だったわ。まるでエイリアンみたいだった。あのエイリアンもどきも変じゃない?

あんなに大きい存在がなぜ、どうしてあの時、あの学園内にいたのか……おかしいと思わない?〕


それでもパンの言葉が胸をうつ。

〔君にわかってもらえるよう、努力する。もちろん、すぐに信頼を得るのは難しいこともわかっている。だからこれからも、どうか見ていてほしい。少しでも嫌な事があったら、どんな些細な事でも伝えてほしい〕と。


エレナは口の中のサンドを噛みもって、手元を見た。お弁当の紙袋は、パンが買ってきたものだ。

女の子らしい花柄のついた可愛い紙袋を、パンがどんな気持で買ったのか……それを想像すると、エレナはどこか胸が温かくなったのだった。


(そうよ、わからないから、知らないから怖いんだ……。出会ったばかりだもの)


その時だった。

すっかり闇に包まれた写真部の扉が開かれる。


「ゴハンは急用で来れなくなった」

現れたパンはそう言って鞄を置き、慣れた手つきでバット程のナイフのシース(鞘)を腰元に取り付ける。

銃に黒い筒(サプレッサー。消音器)を装着し、白い手袋をはめた。いつもの黒スーツ姿ではないが、完全な仕事モードだ。


「えー! ゴハンったら、自分が引き受けたのにー」

エレナが紙袋をたたみもって、ぶつくさとタクティカルライトを取り出す。


パンは軽く頷き、両腕を組んだ。

「任務中の馬鹿が、一般女性を妊娠させたらしい。本部から言づけられ、ゴハンが会議に出張(でば)ったというわけだ」

珍しいパンの苛立ちに、エレナはなんとも言えない顔で頷いた。


「今日は職員会議もないが、まだ少し時間がある。教員たちが捌け次第、対象の捜索を開始しよう」

パンはそう言って、木造椅子に腰を落とす。長いナイフを抜き、刃こぼれがないかチェックし始めた。


ちょっと出鼻をくじかれたエレナも椅子に座りなおす。


「……ねぇパン、訊きたい事があるんだけど」

その言葉にパンがちらと視線を向ける。エレナは続けた。

「初めて遭った日も、夜の静かな学園だったわね」


パンが軽く頷き返す。エレナはやや確信を突くように、パンの目をみた。


「パン。あの巨大エイリアンは、どうやって学園に忍び込んだのかしら?」


エレナの疑いかかるような言葉に、パンの動きがはたと止まった。止まって、ナイフをシースに挿し込む。そして、エレナに体を向き直した。目と目がしっかり合う。妙な間だ。

ちょっと喋ったほうがいいかなと思って口を開こうとした瞬間、パンが先を言った。


「……あれは本部から転送した有機体、いわば人工エイリアンだ。

ジュリアをおびき出すために我々が本部から転送したが、意図せずエレナがひっかかったというわけだ」


「へぇ、そうだったのー。本部の人工エイリアンだったのね……」エレナは感心に頷き、ふとした。

「……んん?? 〔国家機密を目撃したけど、見逃してやるかわりに仕事を手伝え〕って話じゃなかったっけ!?」


仰天するエレナにパンがうんうん頷く。まるでニュースのコメンテイターのようだ。

エレナは片眉を下げ、ちょっと中腰に立ち上がった。

「じゃあ何……? あなたたちはジュリアホイホイに巻き込んじゃった被害者の私を、脅しただけでなく、さらに巻き込んだの!?」


その言葉にパンがなんとも言えない複雑な顔で、手を前にやった。待て、のそれだ。

「落ち着けエレナ。確かに現状はそう言わざるをえないが、諸々の事情が重なった結果だ」

パンにしては珍しく、歯切れの悪い応えだ。


「諸々の事情……?」と、伺うようにエレナ。

それにパンが頷く。エレナは訝し気に、ちょっと冷静に先を促した。

「……パンの言う、諸々の事情って何?」と。


それにパンが臆することなく淡々と受け答えた。

「巻き込んだのは、報告書でこちらに不備があると評価が下がるから止む終えず。転がり込んだのは、出張滞在費が節約できるからだ」


「素直ッ……!!」

エレナは顔に手をやって仰け反った。もうちょっとそれらしい事実が用意されていると思っていたからだ。

「……でも、巻き込んでごめんなさい、で済む話だよね?」エレナが手を腰に当て物申す。

「それを脅して巻き込んで転がり込んだんだ。へ~!」


「突発的とはいえ合理的な判断だったが……確かに、エレナからしたら不利な提案ともいえる」


困るパンを見てちょっと面白くなってきたエレナは、まだまだ続ける。

今度は声を低くし、カッコつけたポーズをしてみた。

「それに私達は巻き込んでない……君がエイリアンの夜食になりたかったのなら話は別だ……っとか! 言ったよね!」


大げさなモノマネに思わずパンが小さくふきだす。ふきだしてお腹を押さえて震えた。……笑っているのだ。

少年のような可愛い笑顔を、セミロングの髪が一瞬に隠す。


「もう、パンってば!」

初めて見たパンの素の笑顔とスッキリしたことも相まって、エレナはすっかり嬉しくなったのだった。


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