episode:83
数日後…従者達全員が街へと到着した。
ゲンコウ湿地の手前から街まで快適に馬車が移動出来るように予め道を整備し、大きめの野営地を2箇所作っておいたので元々の予定より大分早く到着する事が出来たようだ。
パーティーに貴族の方達を招待するのにどちらにしても必要な事なので早めにやっておいたのだ。
従者のみんなは街の城壁を見て唖然としていたが、屋敷に到着し驚く事を諦めたようだ。お城ではないので外壁と言った方がいいのだろうか…いや、もう城壁でいいだろう。
前の家には掃除だけ週に一度派遣して貰う事にした。
誰かを置いていくことも考えたのだが、誰を残すかと考えると選べなかった。最初に僕の従者になった人達だ…やっぱり付いてきてほしかった。
勿論グリコも街に移動済みだ。
新しくグリコ用に作った小屋もサイズも丁度良く気に入ってくれた。
そしてグリコが気になる事を言っていた。
屋敷を誰かに監視されているような気がする…気配はないがそんな気がすると。帝国…からの監視か、聖国が聖女の事に気付いたか。
何れにしても僕達はもうあの屋敷にはいない。
少ししたら僕が別の街に引っ越した事も分かるだろうが、僕の街への侵入は中々に難しい。城壁には至る所に罠が仕掛けられている。
勿論門から侵入したとしても、屋敷の外壁にも黄色のボールや青色のボールが付与されており。侵入しようとすると撃退用の罠が発動するようになっている。
真面目に屋敷の玄関から入ろうとする刺客はいないだろう。
今は広い街に僕の家族しかいない。
だが、半月後には移民や職人が僕の街に到着する予定だ。
今は特に忙しい時期ではなく、職人達もすぐに手配が出来たようだ。
移民は、人族だけでなく、獣人などの亜人も含まれるそうだ。
生活の苦しい村や、仕事がなくどうしようもないもの。
やむ終えない事情で奴隷となったものまで様々だ。
奴隷は勿論犯罪を犯していない者だけだ。
そこはきちんと精査して貰っている。元々は奴隷は入っていなかった、しかし僕が条件を付けて含めて貰ったのだ。
きちんと働いていたが生活が苦しく奴隷となった者や、村などを襲われ奴隷となった者。善か悪かを見抜く魔道具を使い問題のない者を移民者として解放して貰った。勿論これは僕のワガママなのでお金は全て僕が払った。
僕は救世主ではない。
解放した者は奴隷ではなくなるが、借金を返済するまでは街から出れず、悪事を働いた場合街に2度と入れなくなる契約魔法をかけさせてもらう。
僕の街では農地で出来た物はしっかりと同じ価格で平等に買い取るし、十分な生活が出来るように土地も貸し与える。
これはソフィアに聞いたのだが、魔力を込めて耕された土は作物の成長を促し、品質も良くなるとの事だ。
お膳立てし過ぎだと思われるかも知れないが…
日本で生活してた僕からするとちゃんとした生活が出来ない自体に陥る人がいる。そうなる状況が怖いのだ。
僕の街に来てくれた人達が苦しそうな顔をする。
想像するだけでゾッとする。
基本は農業をして貰う予定でいるが、前にしていた仕事や経験に合わせて仕事を提供しようと思っている。
この街には職人や警備、薬師や治癒師など不足している職業も多い。
移民の中に経験者が居ればいいなと考えているがなかなか上手くもいかないだろう。
来てくれる職人の中には、この街はこれから仕事が沢山あるので残ってくれる者もいるだろう。少しずつ街らしくしていけばいいので焦らずに行こうと思う。
衣類や雑貨などは王都で沢山仕入れた物を配布予定だが、徐々に生産もしていこうと思っている。
技術指導を出来る者を探したりとやる事が多い。
街を作る方が楽だった気がする…
落ち着いたらダンジョン都市へと向かう予定だったがまだ先になりそうだ。
「眉間に皺がよってるわよルイフ」
「考える事が多すぎてさ…もっと従者も必要になるし、一応兵も必要になると思うんだけど…警備が数人しかいないし」
「ルイフは、そんな事考えなくていいわよ。やりたいようにやりなさい。私がそこは手配しておくから大丈夫よ。移民の中からも使えそうな人材が居れば採用しておくわね」
「ありがとう、ララ」
「もっとみんなを頼りなさい、慣れないながらもルイフのために頑張ってるのよ」
そうだ…みんなまだ僕と歳が変わらない、それに経験もないのに。
頑張ってくれているのだ。僕が焦ったり悩んだりしていたらそれこそみんなも不安になるだろう。切り替えよう。
僕は頬をパンパンっと叩き気持ちを引き締めた。




