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第148話 ちょっと話が変わって来た

「神崎美幸?ちょっと聞き覚えが無いんだが」


 嘘を吐いても仕方ないし、繕ってもどうしようもないので俺は正直に言った。


「そうですか。覚えておられないのであれば、これ以上お話しすることは有りません」


 ルキアはそう言い放つと手で俺を追い払う仕草を見せた。


「あっ」


 その仕草は覚えがあった。少し昔の話だ。前の職場で関りがあった他事務所の従業員にそんな手振りで俺を追い払う女が居た。


 俺の誘いを面倒そうに手振りだけで断る女だったが俺も本気で誘っていた訳ではなかった。神崎美幸という名前だったのか、実は全く覚えてはいない。


「思い出した、あんたタツノコンサルの事務員さんか」


「やっと思い出したんですか」


 神崎美幸(当時はそんな名前だとは知らなかった)が居た事務所はコンサルタント会社で図面を貰いによく訪れていた。


 彼女とは直接は仕事上の関りがなかったので、ただ顔を合わせるだけだった。


 「今度飲みに行こうよ」程度のことは社交辞令として話した気はするが当然一度も行ったことは無い。そもそも俺は飲めなかったので誰とも飲みになんか行かなかったのだ。


「あんたも転生して来ていたんだな。懐かしい、元気だったか?」


 ほとんど覚えてはいないが、俺は一応そう言った。多分俺の様に向こうの姿のまま転生して来たのではないと思えた。顔が全く見覚えがなかったからだ。


「そうです。私はこっちにストラトス家の長女として転生してきました。転生前のことを思い出したのは実はあなたの顔を見てからなのです」


 俺の存在がきっかけで、それまでは自分が転生者とは気が付いてなかったってことか。


「そうなんだな。あんたが俺の元知り合いだとは判ったけど、それが今の状況とどう繋がるんだ」


 問題はそこだ。俺の元知り合いの転生者だったとして、それが戦争につながるとは到底思えない。


「説明が必要ですか?」


「ああ、説明してくれないと全然判らない」


 ルキアは、やれやれという表情を浮かべて話始めた。


「幸太郎さん、あなたは私の居た事務所に週に一回程度来られていましたよね」


「そうでな、大体その位は行ってたかな」


 前職の時の数年前の話なので本当のところはよく覚えていなかった。自慢ではないが終始仕事には力が入っていなかったのだ。









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