第9章 絶対防御の章 第146話 口は災いの元
「私自身を人質に、ということですか」
「悪いな、まあそういうことだ。で直ぐにでも止めてくれないか」
「無理ですね」
「痛い目に遭いたい、とでも?」
「勿論痛い目には遭いたくはありません。ですがあなたたちの言いなりになるつもりもありませんよ」
ルキアは動じていない。俺が彼女を害さないと思っているのか。まあ、確かに人の命をすくいに来ているのに首謀者とはいえその命を奪う事は矛盾しているか。
「じゃあ、どうすれば止めてくれる?」
「何か交換条件でもあると仰います?」
「条件次第ってことか?」
「いえ、そんなことは一言も言ってはいませんが」
「揶揄っているのか?」
ルキアはジョシュアから首にナイフを当てられているまま、そんな口をきく。度胸が据わっていることは間違いない。
「でもコータロー様、あなたにできることなどあるのですか?」
確かに俺は交換条件を出せる立場にはない。どんな約束もできないし、約束しても反故にしてしまうだけだ。
「俺に出来ることなど特には無いな。逆に常務んを出してくれれば、その交渉は出来ると思うぞ」
「あやふやな話ですね。それを信用して私に戦争を止めろと?」
「そうだ。何より人が大勢死ぬことをお前も積極的に望んでいる訳でもあるまい」
「まあ、大勢死ねばいいのに、とまでは思っている訳ではありませんが、私にかかわりのない人たちが大勢死んでも特別な思いもありませんよ」
「人として、それでいいのか?」
「問題あります?」
この女は何を考えているのだろう。
「お前のせいで人が死ぬのに何も感じないのか?」
「感じないといけませんか?」
「何か色々と欠如しているということか」
俺はその言葉がルキアを怒らせてしまうかも知れない事も考えずに、つい口に出してしまった。




