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第145話 魔法でなくても気配は消せる

「それで、その若返った別人みたいなコータローさんが何をしにここへいらっしゃったのですか?」


 ルキアは判って言っている。戦時に黒幕である自分の元に来たのだ。暗殺が目的か、それとも話し合いでなんとかしようとでも思ったのか、どちらだろうかというところか。


「勿論戦争を止めに来たんだよ」


「戦争を止める?」


「そうさ、それ以外の目的はない」


「それで私の所へ。なぜですか?」


「今更隠さなくってもいいんじゃないか。俺がここに来た時点で観念してくれると有難いんだが」


「そうですね。でも確証があって来られた訳ではない、と見ているのですが」


 確かに確証はない。ただゼノンの言質は取っている。


「確証はないがゼノンはあんたが黒幕だと認めていたぜ」


 ルキアは『あのバカ兄貴が』という表情を浮かべる。不肖の弟子ならぬ不肖の兄というところだ。


「そうですか。それを鵜呑みにして来られたという事ですね」


 ルキアはまだ少し抵抗しそうだったが、割と素直に認めた。


「確かに私が兄に命じて今回の戦争は起こしました。あと子爵もね。子爵は結構舞うから私のいいなりでしたから」


「なんでそんなことになったんた?何か弱みでも握っているとか」


「まあ、そんなところです。内容は聞かないでくださいね」


 ロクな話ではないだろうから聞く気はない。子爵もゼノンもルキアが操っていることが確認できれば十分だ。


「それはいいさ。で、戦争は泊めてくれる気が有るのか?」


「なぜ止めなければならないのですか?」


「そんなことは単純な話だ、戦争になると人が大勢死ぬ。それが俺には耐えられない」


「平和ボケした日本から来たコータローさんらしい考え方ですね」


 ルキアには日本のことは話しをしていないのでゼノンから聞いたのだろう。確かに俺が居た頃の日本は平和ボケしていたのかも知れない。


 紛争は戦力を持たなくても話し合いで解決でるとか夢物語を平然と言う者が居た時代だった。


 相手が本当に攻めて来てからしか目が覚めない人もいるのだろう、と俺は思っていた。


「俺はそれほど平和ボケしている訳じゃないぜ。ただ回避できる戦争は回避したいってだけだ。そもそも何で戦争なんて始めてしまったんだ?」


「お話ししてもいいですが、もう始まってしまいますよ?」


 確かに既に戦闘が始まっていても可笑しくない時間だ。もし今すぐにルキアが戦争を止めるよう指示を出しても間に合わないかも知れない。


「時間がない、一旦始めないように指示してくれないか?」


「コータローさんのいう事を聞く理由がありませんよ」


「そこを何とか」


「無理ですね」


「そう言わずに」


「駄々っ子のような事を言わないでください。私が止めるとでも?」


「動かないでください」


 その時ジョシュアはルキアの背後に居た。 







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