茜と過ごす昼休み 4 ≪一方その頃①≫
晶と茜が学校で昼食を摂っている頃、真澄と美空は学校を出て駅前のファーストフード店にいた。
お昼時だからか、店内は人で混雑していた。
真澄はチーズバーガーとコーラ、美空はハンバーガーのセットをそれぞれ頼み窓際の席を陣取っている。
美空はセットのポテトを摘みながら窓の外を眺めていた。
駅前は平日にもかかわらず人通りが多い。主にサラリーマンやOLが通りを行き来している。
「ねぇ、真澄」
「ん~?」
真澄は自分のスマホを弄りながら生返事をする。視線はスマホに向けれられたままだ。
美空はその態度に特に気にすることはない。2人にとってこのやり取りは日常茶飯事なのだろう。
「…柏君の事、どう思う?」
「え?」
美空のいきなりの質問に、真澄もスマホから視線をあげた。
「いきなり何よ?」
突拍子のない話に真澄も少し困惑する。
「いやぁ、真澄は柏君と会ってみてどうだったのかなって思ってさ」
「そうね……」
真澄にとっては晶は想像通りの人物だった。この場合の想像通りとは、真澄が朝に出くわした時、一瞬抱いたイメージである。
奇しくもそれは、茜が持ったイメージ『強さとやさしさ』であった。
だから彼には惹かれてしまう。そこらの並の男とは感じるものが違った。
それはきっと美空にも共感できるだろう。
「今日初めて会ったわけだからまだ分からないわよ」
―――嘘だ…
彼の魅力は十分伝わった。嫌というほどに。でなければ、自分のスマホのお気に入りに彼の写真を保存したりするだろうか。
「…そっかぁ」
一方の美空は、真澄の答えに特に何も言う事はなかった。
美空ならそう言うと思っていたからである。
でも心の中では……と少し疑念を抱いてはいる。
「あたしは……結構イイと思ったけどね」
それは正直な気持ちだ。
敢えて『イイ』と表現したのは、好感を持てると直には言わずニュアンスで伝えようとしたのだろう。
まだ美空は自分の中の気持ちが分かっていなかった。
だから言葉を濁したのだ。
真澄は無論美空の秘めたる気持ちを感じ取っている。
だから、敢えてこんな提案をしてみた。
「今度の日曜日に柏君と3人で遊んでみる?」
「ええ!?」
「何驚いてるのよ?」
「だって…いきなりすぎない?」
「どこがよ? 普通に遊ぶだけじゃない」
「そうだけどさ…」
「まぁ無理にとは言わないけど…。そうね、なら私と柏君と2人だけで遊ぼうかしら」
ふふ。と不敵な笑みを浮かべる。
そんな真澄を見て美空が慌てふためく。
「駄目駄目ー! 独り占めなんてズルいよ!」
思ったとおりの反応をされて、真澄は吹き出す。
――本当に分かりやすい子。
「なら、美空も参加ね。私から柏君に打診しておくわ」
美空だけじゃない。真澄もまた、楽しみだった。
―――さて、どこに遊びに行こうかしらね…
真澄は飲み忘れていたコーラを手に取り、今度の休みのプランを考え始めた。




