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彼と彼女たち  作者:
第1章
22/37

茜と過ごす昼休み 1

 やはり迷った。


 俺は金田さんを連れて食堂を探しているのだが、やはり勝手が分からず彷徨っている。

 時間は刻一刻と過ぎていく。このままではただ無駄にするだけだ。


「食堂……ないねぇ」


 俺と一緒にキョロキョロと廻りを見渡している金田さんが呟いた。

 山勘で一階に行けばあるだろうと思っていたが、それは間違いだったようだ。


 …どうする?

 このままだと埒が明かないし、もう切り換えて校外に出た方がいいかもしれない。

 何より金田さんを巻き添えにしてしまうのは申し訳ない。


 もう諦めよう、と金田さんに言おうかと思ったときだ。廊下の端から見知った顔を見つけた。


「あ! 栞姉ちゃん」


「え?」


 隣にいた金田さんが何事かと振り向く。


「金田さん、ちょっと待ってて」


「あ、うん」


 いまいち状況をのみ込めない金田さんをその場に置いて、俺は栞姉ちゃんのもとへ駆け寄る。



「栞姉ちゃん」


「…ん? あれ、晶じゃない。どうしたの?」


 栞姉ちゃんは一人だった。右手にはビニール袋を提げている。何かの買い物の帰りだろうか?


「ちょっと教えてほしいんだけど、この学校って食堂ある?」


「食堂? あるけど、今日は休みよ?」


「え? マジ?」


「今日は入学式だけだからね。食堂は空いてないよ」


 そうなのか……

 参ったなぁ。やっぱ外に出るしかないけど、時間が足りないなぁ。


 どうしようかとその場で悩んでいると俺を見かねて、栞姉ちゃんは言った。


「でも、売店ならやってるから軽食なら買えるけど?」


「本当に?」


「うん。あたしも今買ってきたトコ」


 なるほど。栞姉ちゃんのビニール袋は売店で買ってきたものか。

 この際、売店で軽食でも問題ないだろう。

 ただ、場所が分からないので、栞姉ちゃんにしっかり確認しておく。



 栞姉ちゃんに礼を言って、金田さんの元に戻る。

 手持ち無沙汰な彼女はとても暇そうにしていた。その姿を見るとちょっと申し訳ない気持ちになる。


「ゴメン! 待たせちゃって」


「いや、大丈夫だけど…、さっきの人誰?」


 見てたのか。いや、見られて困ることはないけど。


「俺の姉ちゃんだよ」


「あ、柏君ってお姉ちゃんいたんだ」


「ああ。さっきのはひとつ上の姉ちゃんなんだけど、もう一人三年にもいるんだ」


「同じ学校にお姉ちゃんが二人もいるんだね」


 金田さんが意外そうな顔をする。

 まぁ、普通はなかなかないよな。俺もそう思う。


 話が変な方向に行きそうになったので、さっき聞いた売店のことを話すことにする。


「金田さんはお昼売店の軽食でもいいかな?」


「うん、大丈夫」


「よし、じゃあ俺についてきて」




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