茜と過ごす昼休み 1
やはり迷った。
俺は金田さんを連れて食堂を探しているのだが、やはり勝手が分からず彷徨っている。
時間は刻一刻と過ぎていく。このままではただ無駄にするだけだ。
「食堂……ないねぇ」
俺と一緒にキョロキョロと廻りを見渡している金田さんが呟いた。
山勘で一階に行けばあるだろうと思っていたが、それは間違いだったようだ。
…どうする?
このままだと埒が明かないし、もう切り換えて校外に出た方がいいかもしれない。
何より金田さんを巻き添えにしてしまうのは申し訳ない。
もう諦めよう、と金田さんに言おうかと思ったときだ。廊下の端から見知った顔を見つけた。
「あ! 栞姉ちゃん」
「え?」
隣にいた金田さんが何事かと振り向く。
「金田さん、ちょっと待ってて」
「あ、うん」
いまいち状況をのみ込めない金田さんをその場に置いて、俺は栞姉ちゃんのもとへ駆け寄る。
「栞姉ちゃん」
「…ん? あれ、晶じゃない。どうしたの?」
栞姉ちゃんは一人だった。右手にはビニール袋を提げている。何かの買い物の帰りだろうか?
「ちょっと教えてほしいんだけど、この学校って食堂ある?」
「食堂? あるけど、今日は休みよ?」
「え? マジ?」
「今日は入学式だけだからね。食堂は空いてないよ」
そうなのか……
参ったなぁ。やっぱ外に出るしかないけど、時間が足りないなぁ。
どうしようかとその場で悩んでいると俺を見かねて、栞姉ちゃんは言った。
「でも、売店ならやってるから軽食なら買えるけど?」
「本当に?」
「うん。あたしも今買ってきたトコ」
なるほど。栞姉ちゃんのビニール袋は売店で買ってきたものか。
この際、売店で軽食でも問題ないだろう。
ただ、場所が分からないので、栞姉ちゃんにしっかり確認しておく。
栞姉ちゃんに礼を言って、金田さんの元に戻る。
手持ち無沙汰な彼女はとても暇そうにしていた。その姿を見るとちょっと申し訳ない気持ちになる。
「ゴメン! 待たせちゃって」
「いや、大丈夫だけど…、さっきの人誰?」
見てたのか。いや、見られて困ることはないけど。
「俺の姉ちゃんだよ」
「あ、柏君ってお姉ちゃんいたんだ」
「ああ。さっきのはひとつ上の姉ちゃんなんだけど、もう一人三年にもいるんだ」
「同じ学校にお姉ちゃんが二人もいるんだね」
金田さんが意外そうな顔をする。
まぁ、普通はなかなかないよな。俺もそう思う。
話が変な方向に行きそうになったので、さっき聞いた売店のことを話すことにする。
「金田さんはお昼売店の軽食でもいいかな?」
「うん、大丈夫」
「よし、じゃあ俺についてきて」




