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彼と彼女たち  作者:
第1章
20/37

最初の席替えから始まる恋 5

「ほらー静かにしろ! 特に沢お前だ!」


「ひゃい‼ すみません…」


 氷室先生に怒鳴られたじろく沢さん。

 …あと、先生なんで俺を睨むんすかね?


「…ったく」


 氷室先生が大きく溜め息をつく。

 沢さんを見やると、『ゴメンね』と両手を合わせて謝っていたので、俺はつい失笑してしまった。


「…気にするな」

 という念を込めて笑顔で返す。

 後ろから、『モテモテねぇ』と聞こえたが、敢えて聞こえない振りをした。





「…さて。次はクラスの委員長と副委員長の選定だが……、これはもう決まっている」


 教室内が動揺の声で包まれる。氷室先生はそれを制するように続けた。


「委員長は柏!お前だ」


「へ?」


 つい素頓狂な声を出してしまう。ええ? なんで?


「お前は遅刻したからな。しかも初日にだ。それ相応の罰を与えねばなるまい。しかし、内申の点数を下げるわけにもいかん。だから、お前には学級委員長をやってもらうことにした」


 えー、なんですかその当てづけのような理由。

 そんな理由で決められてもこっちとしては迷惑なんだが。

 ただ、遅刻したのはこちらに非があるので言い返せない。ぐぐ……


「それにお前は人気があるようだしな? お前が委員長をやるのに反対するものもいないだろ」


 そしてニヤリとする。

 うわぁ最低だこの人。本当に血も涙もないよ。


「さて、委員長は柏に決まりっと……」


 氷室先生が帳簿に何やら書き込んでいる。うぅ…俺の人権は無視か?


「次に副委員長だが、これは金田!お前に決まりな!」


「え?え、え、ええっ!? あ、あたしですか!?」


 金田と呼ばれた女子――俺の左隣の女子が立ち上がる。


 ……そっか。彼女は金田というらしい。


「そうだぞ、遅刻2号。お前にも罰をくれてやる。しっかり委員長をサポートするんたぞ」


「…………」


 黙り混んでしまう金田さん。そりゃそうだろ、理由が理不尽すぎる。


 だが、最終的に拒否権はないなので、押し切られる形で副委員長に決まってしまった。


「……いいなぁ」


 沢さんがボソリと呟く。一体何がいいというのだろうか?



「…では、LHRを終わる。もう、このまま帰ってもらって構わないが、チャイムが鳴るまでは教室を出ないこと。以上だ」


 氷室先生の一声によりまた騒がしくなる室内。

 いいのか?他のクラスの迷惑になるんじゃないのか?


 そんなのお構いなしというように、みんながみんな談義に花を咲かせている。


「委員長!副委員長!ちょっとこっちに来てくれないか?」


 氷室先生に呼ばれる。

 金田さんと二人で教卓まで向かうと、氷室先生が俺らを手招きした。


「午後から各クラスの委員長と副委員長が集まって会議がある。お前らには悪いが、その会議に出席してもらいたい」


「はぁ…。まぁ構いませんけど」


「金田も大丈夫か?」


「はい」


「そうかそうか、すまんな」


 そう言って俺たちに一枚ずつプリントを渡してくる。その紙には、

『第一回 中央委員会議題要項』

 と書かれていた。


「時間は午後の一時に、大会議室だから、今度は遅れるなよ?」


「わ、分かってますよ」


 根に持ってるのかな、さすがに。


「じゃあ、頼んだぞ」


 と言って、氷室先生は教室を出ていった。



 残された俺と金田さん。

 うーん、ここはこれから学級委員として仕事していくのだから、自己紹介くらいはしとかないとな。

 色々順番がおかしい気はするが、気にしないでおこう。



「…あ、あの」


 金田さんが俺に話しかける。

 俺は視線を彼女へと持っていった。

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