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彼と彼女たち  作者:
第1章
19/37

最初の席替えから始まる恋 4

 私は千葉真澄。

 私はその朝、凄い光景を目撃した。


「…何やら揉め事のようね」


 野次馬精神に火が付いた私は、人混みを掻き分け騒ぎの中心へ。

 でも、あまりゆっくりもできない。あと5分でバスが出てしまう。そのバスに乗り遅れれば遅刻確定。入学初日から遅刻というヘマは絶対避けてはいけない。

 私は注目される側ではなく、常に注目する側に立たないと…

 相手が光なら、私は影になる。

 私のジャーナリズムの原点だ。


 愛用している高性能デジカメをそっと胸ポケットから取り出す。

 シャッターチャンスは見逃さない!


 …てあれ? あれってウチの生徒よね?

 なんか不良に絡まれてるっぽいけど…


 でも、驚くのはそれだけじゃなかった。


「あ! あれって柏君!?」


 そう、あの有名人柏晶がいたのだ。しかも、不良一人をあっという間に倒しちゃってる。

 そしてもう一人の不良は……あ~尻尾巻いて逃げちゃった。


 これはどういうことだ? 多分あの子を助けるのに柏君は不良に立ち向かったんだろうけど、私の情報には彼が喧嘩に強いってのは入ってなかった。

  謎が多い人物だけど、これはスクープじゃない?



 ――――ふふふ。面白くなってきた!


 彼には、私がまだ知り得ない多くの秘密を持っているようね。そこが魅力的。

 まぁ、柏美女姉妹の弟、しかもイケメンとくればそれだけで充分話のネタにはなるけど。


 最後に、彼の勇姿をカメラに収めて、私は現場を後にする。




 そして、彼と直接対話して分かったことがある。


 彼は人を惹き付ける魅力がある。オーラも感じる。これはきっと先天的なものだ。彼自身もそれに気づいていない。

 彼の優しさや気遣い、心配り。それに強さと誠実さは、きっと彼を取り巻く環境に大いに働き掛けるだろう。

 その時どんなドラマが生まれるのか? 私は楽しみでしょうがない。


 どうやら、美空も柏君にすっかりハマっちゃったみたいだし。

 まだ、気持ちに確証が持てないようだけどそれも時間の問題ね。

 それに、彼の隣の女子……朝柏君に助けてもらった子だよね? 彼女もしきりに柏君を気にしてるみたい。一見怖そうなイメージだけど、恋は女も変えちゃうのかな……


 他の女子も少なからず遠からずってところみたいだし、なんか凄い予感。



 私は……


 私は…傍観者でいなくてはいけない。

 あくまでも中立。


  誰にも分からないように、スマホから画像を開く。朝、デジカメで撮った写真を転送したものだ。

  それは、凛々しく勇まさしい、正に男の姿。



  ――――カッコ良すぎよ…


 生まれてきそうな感情をそっと胸にしまう。


  流されてはいけない。私だけは。


 でも、我慢って大変だなぁ……


 



 私と彼の出会い。

 私は嬉しくも、ちょっと複雑な思いで彼を見ていた。





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