最初の席替えから始まる恋 2
全員の移動が終わり室内が落ち着く。
ちなみに、俺の左隣には朝出会った女子になった。
彼女はどこか強張った顔をして席に座っている。しかし、時折こちらをチラ見しているのが分かる。何て言うか、少々気まずい。
当たり前だが四方を女子に囲まれた。今まで経験したことのない圧迫感だ。日頃から姉ちゃんたちと妹に囲まれ生活しているので女性には免疫があると思っていたのに。
「ねぇねぇ」
その時後ろから声を掛けられた。後ろを振り向くと胡桃色の髪を肩まで伸ばし、黄色のヘアピンをした女子がこちらを見ていた。
「君が柏晶君でしょ?」
「あ、ああ。そうだけど…」
…よくわかったな。
俺がちょっと怪訝そうに見ると、それを察したように、
「いや~君って結構有名人だからね。まさかとは思ったんだけど当たってたみたいね」
と、弁解した。
え?俺って有名人なの?
まだここに入ったばかりだけど。
「ふふ。柏美女姉妹の弟が入学するって先輩方ではその話でもちきりなんだよ?」
その時、割って入るようにして、俺の右隣の女子が話しかけてきた。瑠璃色の髪をサイドに結んでいて活発そうなイメージを思わせる。
というか、自己紹介しないか? 名前が分からなくて困る。
「…ああ、自己紹介がまだだったよね。私は千葉真澄〔ちばますみ〕。そんで、このちんちくりんが、沢美空〔さわみそら〕」
ちんちくりんって言うなぁ~!
と沢さんが騒ぎ出す。彼女の高い声が教室に響く。他の生徒もこちらを凝視し、氷室先生が睨んでくる。…ひぃ‼
あんたら今LHRなんだけど、もうちょい静かに出来んのかね?ほら、氷室先生が凄い目付きで見てるよ。…でも先生俺は関係ないですからね?
沢さんが千葉さんにギャーギャー騒いで、それを笑いながら受け流している。
「…二人とも仲いいな?」
「そりゃそうだよ。あたしら同じ中学だからね」
「それに美空とは家も近いしね。だから幼なじみみたいなものなのよ」
…幼なじみか。
俺の頭に一人の女の子が思い浮かぶ。
小学の途中まで隣同士だった仲良しの女の子。突然親の仕事の都合でイギリスに行ってしまった。
あの時は泣いて泣きまくったな。今思えば恥ずかしい限りだが。
「…どうしたの?」
千葉さんから声を掛けられ、ハッと我に帰る。どうやら、考え込んでしまったようだ。沢さんまでも俺を見ていた。
「…ああ、ゴメン。なんでもないよ」
二人に笑い返して謝る。
深くは追及されなかったのが救いだ。
「何はともあれ、これから宜しくね」
「よろしくね~!」
「ああ。ふたりともよろしく」




