最初の席替えから始まる恋 1
氷室先生はどこから持ってきたのか、商店街とかの抽選によく使われている回転抽選機なるものを教卓の上に置いた。あのガランガランってするやつだな。
「この中には番号が書かれた玉が入っている。一人一人回して出た数字で席を決めるぞ」
そう言い、黒板には特大サイズの紙を貼る。紙には四角に数字が書かれている。玉の数字が紙に書かれている座席になるようだ。
「よーし、前から順番に回しに来い」
というとこで、比較的前に座っていた俺たちの番になる。
「晶からでいいぜ」
「じゃ、お先に……」
抽選機の取っ手を掴み、ゆっくーり回してみる。前テレビでそうしたほうがいいと言っていた。今回が当てはまるかどうかは不明だが。
2周回して玉がコロンと落ちてくる。
氷室先生が番号を確認する。
「……柏は、20番だな」
氷室先生が黒板の紙の20と書かれた枠に、大きく柏と書き足す。
窓から二列目、丁度真ん中の位置だ。まだそこは周りを固めていないようだ。
「うおおおおおっ!」
望月が凄い速さで抽選機を回している。そのスピードは果たして必要なのか?奴に問いただしてみたい。
「望月は……おめでとう。ラッキー7だ」
そして、7と書かれた枠に名前を書く。だが、そこはよりによって教卓の真ん前である。
「ぎゃー! どこがラッキー7だ!? 一番最悪な場所じゃないすかッ!」
「何を言う、先生の話がよく聴ける特等席だぞ。プレミアもんだ、喜べ」
氷室先生がニヤニヤしながら言う。この人には人情というものがないらしい。血も涙もない。望月は目から涙を流してはいるが。
望月の落胆を尻目に次々と抽選が終わり、遂には全ての席が決まった。
「全員終ったなー? じゃあ移動開始」
氷室先生の号令で生徒がぞろぞろと動き出す。
俺も皆に倣って移動を開始した。




