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彼と彼女たち  作者:
第1章
15/37

入学 6

この短期間に、感想と評価を戴きました!

本当にありがとうございます。

『これより、入学式を始めます』


 女性のアナウンスにより入学式が厳かに始まる。

 流石伝統校といったところか、浮わついた雰囲気を微塵も感じさせない。

 我々新入生もそうだが、在校生も皆が皆シャキッとしている。


 長い長いお話が延々と続き、飽き飽きしていたときだ。


『…それでは、生徒会長柏愛より、新入生への挨拶です』


 ……お! 愛姉ちゃんじゃないか。


 拍手に包まれながら、愛姉ちゃんが粛々と壇上にあがる。

 俺の眠気は一瞬にして掻き消えた。もう愛姉ちゃんに釘付けである。


 壇上にあがったのは、柏家の長女ではない。朝霞学園高校の生徒会長の柏愛だ。そう思わせる圧倒的なオーラを感じた。


 愛姉ちゃんの挨拶が進む。

 そして若干短めに整理された文章を読み上げて壇上から降りた。いや、もっと聞いていたかった。あんなジジイの話よりよっぽどいいじゃないか!



 そして、愛姉ちゃんの挨拶が最後だったようで、すぐ入学式が終わる。



 教室へ戻ると、担任が来るまで僅かながら自由時間となった。

 俺は朝と同じ席に座って何をすることなく佇んでいた。

 …いや、周りが女子ばっかだからどうしていいか分からないのだ。知っている顔がいないので尚更だ。


「…よう、隣いいか?」

 と、隣から声をかけられそちらに向くと、一人の男子生徒。

 短く苅り揃えられた黒髪が印象的だ。


「あ、ああ」


 隣は誰か分からないが、どうせこの後席替えするのだ。気にしてもしょうがないだろう。


「それじゃ、失礼して……」


 男子生徒が椅子を拝借してどかっと座る。


「俺は望月尚志〔もちづきたかし〕っていうんだ。もっちーか、たかっしーって呼んでくれ」

「は、はぁ…」


 …何このテンション?


「お前の名前も教えてくれよ」

「…あ、俺は、柏晶」

「晶ね。この教室では男は俺と晶だけだからな、お互い仲良くしていこうぜ!」

「わ、分かった。よろしく頼む」


 …そうか。男は俺ら二人だけ。

 つまり、残り28人は女子か…。なんてハーレムなのだろう。

 いや、気苦労が絶えないだけだな。


「ところで、なんで晶はこの学校を受けたんだ?」


「…俺か? いや、明確な理由なんてないんだがな…」


 嘘。姉ちゃんたちがいるから。なんて口が割けても言えない。


「そういう望月はどうなんだよ?」

「そりゃあお前、女子が一杯いるからに決まってんだろ!」


 ニカッと笑顔を向けられる。なんとも清々しいが動機は不純だらけである。


「…さいですか」


 俺もこいつみたいにいっそのこと割り切れれば多少たりとも変わってくるのかな。



「おら~、席つけー」


 氷室先生が教室に入ってきた。

 各所で立ち話をしていた生徒が席に座り出す。

 望月は、俺の隣で固定していた。


「よーし、まずは席替えからするぞ」


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