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彼と彼女たち  作者:
第1章
11/37

入学 2

 栞姉ちゃんの部屋は俺の部屋の右となりにある。

 ちなみに、愛姉ちゃんや唯、親父の書斎とかも二階に全て収まっている。そう考えれば俺の家ってかなりの広さなんだな。


 栞姉ちゃんの部屋の前。ノックをしてみるが、案の定反応はない。

 しょうがないので、勝手にあがらせてもらうことにした。



 栞姉ちゃんの部屋は、壁こそ建築当時の色を基調にしているが、カーテンやフロアマットはライトグリーンを使用していて、爽やかなイメージを醸し出している。

 …そういや、栞姉ちゃんは緑が好きだったな。


 栞姉ちゃんは、これも新緑色の布団にくるまって寝ていた。

 布団を首まで被り、安らかに寝ている栞姉ちゃん。その寝顔は弩級の可愛さである。


 本当に黙っていれば、愛姉ちゃんをも凌ぐ美人顔なのに。



 栞姉ちゃんは性格に難がある。他人には冷酷だ。身内の俺たちこそそこまで酷くないが、やはりたまに言葉にトゲを感じるときがある。


 そんな彼女だから、当然敵が多い。


 特に女子からは陰湿な苛めを過去に受けたこともある。



 だが、俺は分かっている。

 栞姉ちゃんは誰よりも人一倍繊細な心の持ち主だ。だから、自分の弱いところを見せまいと気を張っているのだ。

 本当は優しい人なんだけど。なかなか素直になれないんだよね……困った人だ。



「……むにゅ…………」


 栞姉ちゃんが寝返りを打つ。

 …おっと。さっさと起こさないとな。


「ほら、栞姉ちゃん! 朝だよ、起きなよ」

 ユサユサ。


「……む~、……ゃぁ……」

 栞姉ちゃんがちょっと横にスライドする。


「ダメだよ! 今日から学校なんだから! もう、愛姉ちゃんは学校に行ったよ? 起きないと遅刻だよ!」

 ユサユサ!


「……みゅ~…ねむぃ………あと……5分…」

 ゴロン。


「ダーメ! ほらほら、起きなさいって!」

 ユッサユッサ!


「……あとぉ……5時間…そしたら、起きる……」


 何故伸びる!?

 あ~、埒が明かん!


「馬鹿言っとらんで起きんか!」


 ユサユサユサ!



 ゴロン!


 ――ドスン‼



 ………………



 ――――落ちた。

 あまりに体を揺らしすぎて、ベッドから振り落としちゃったよ。

 しかも頭からいっちゃったなぁ…


「……栞姉ちゃん大丈夫…?」


「う~…いったぁ~~!」


 頭を抑えようやく起き出す栞姉ちゃん。

 髪の毛爆発してますよ?


「……寝起きサイアク……」


「早く起きないからだよ」


「…あれ? 何でアンタここにいるの?」


 ようやく俺を認識したようだ。


「愛姉ちゃんに頼まれたの。ほらほら、朝飯は出来てるから早く支度してよね」


「………むぅ」


 栞姉ちゃんは目を擦りながらむくりと立ち上がる。


 そして、そのままパジャマの上着に手を入れて……

 や! 脱ぎ出した!?


「な、な、な、なにしてんのアンタは!?」


「何って…着替える?」


「弟の前で脱ぐか普通!?」


「……着替えろって言ったの…そっちじゃん」


「時と場合を考えんかい!?」


 パジャマの隙間から綺麗な腰のラインが覗く。

 ……相変わらずウェスト細い…………って!


「……うー、…………ぽいっ」


 そして上半身裸に‼

 嗚呼、寝るときはブラジャーはしない主義なんですね…



 …………って、ぎゃあああ! このど阿呆ー‼




「……お兄ちゃん!いつまで栞お姉ちゃん起こすのに時間掛かってるの!?」


 ガチャ



「…あ」

「…あ」


「……むにゅう…」



「…唯。落ち着いて、心を穏やかにして、お兄ちゃんの話をよく………ぶはっ‼」


 何故ここに地球儀が!

 アメリカが顔にヒットだぜ。



「変態ッッ‼」


 唯が走り去っていく。待て、お兄ちゃんは冤罪だ!無実だよ!

 しかし、唯に俺の心の叫びは届かなかった。


 栞姉ちゃんはまた寝てるし。

 いっそ置いて行ってやるか。



 はぁ…



























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