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私の料理を泥と捨てた王国、飢え死に寸前で戻れと言われても遅いです ~帝国の料理番になった私は、冷徹な皇帝陛下に胃袋を掴めと命じられました~  作者: 花菱 結愛
第3章:美食皇妃の戴冠――世界から「満足」が消えても、私の食卓は不滅です

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第45話:全人類が跪く戴冠式:エリアナ、世界最高の『おもてなし』を宣言する

「……おーっほっほっほ! 見てご覧なさい、陛下。今日の空気は、まるで最高級のメレンゲのように軽やかで、甘い香りがいたしますわ!」


 かつての「白銀の牢獄」ガストロノミアは、今や黄金の朝日を浴びて、真に生命の宿る「美食の聖都」へと生まれ変わっていました。

 瓦礫の中から立ち上がった民たちは、自分たちの舌に残る「満足」という名の余韻を噛み締め、涙を流しながらも、再建に向けて力強く歩き出しています。


「……エリアナ。お前が笑うたびに、世界が美味しそうに色づいていくな」


 背後から、ゼフィロス様の熱い腕が私の腰を包み込みました。

 彼の右腕。かつて「虚無」として忌み嫌われたその手は、今や私の「祝福」と完全に共鳴し、触れるものすべてに深い充足を与える『救済の右手』へと昇華していました。


「当然ですわ。私の木ベラにかかれば、地獄の業火だって美味しいキャンプファイアに変わりますもの。……さて、陛下。準備はよろしくて?」


 私はゼフィロス様の漆黒の瞳を見つめ、不敵に、そして最高に淑女らしく微笑みました。


 今日、このガストロノミアの中央広場で、歴史に刻まれる儀式が行われます。

 集まったのは、帝国の臣民だけではありません。

 かつて私を捨てた王国の生き残り、砂漠を楽園に変えられた隣国の王たち、そして海の向こうから駆けつけた列強諸国の使節団――。

 全人類の代表たちが、息を呑んで一人の女性を待っていました。


 ファンファーレが鳴り響きます。

 ゼフィロス様にエスコートされ、私が大階段の上に姿を現した瞬間、数万の民衆、そして並み居る王たちが、さざ波のように一斉に膝をつきました。


「……おーっほっほっほ! 皆様、面を上げなさいな。……今日、私が用意したのは、豪華な料理でも、高価な酒でもありませんわ」


 私は、黄金の糸で刺繍された「美食皇妃」の正装を翻し、木ベラを天高く掲げました。

 

「私が皆様に差し上げるのは、……『空腹の自由』です。……美味しいものを美味しいと感じ、足りないものを愛おしいと思う。……奪い合うのではなく、分け合う喜びを知るための『おもてなし』を、この世界そのものに施して差し上げますわ!」


 私の宣言と共に、ゼフィロス様が私の左手をとり、世界に見せつけるように高く掲げました。


「全界に告ぐ。……このエリアナ・ヴェスタは、今日この時より、我が帝国の、そして世界の食卓を統べる『美食皇妃』として戴冠する。……彼女の料理を拒む者は、私の虚無に飲まれ、彼女の料理を愛する者は、永遠の満足を約束されよう」


 陛下が、漆黒の魔力と黄金の光が混ざり合う、至高の王冠を私の頭上に載せました。

 

 ――その瞬間。

 

 世界中から、かつてないほどの歓喜の声が爆発しました。

 「エリアナ様万歳!」「美食皇妃万歳!」「皇帝陛下万歳!」

 かつて私を「泥の味」だと蔑んだ声は、もはやこの地上には一欠片も残っていません。

 私は、ゼフィロス様の腕に抱かれ、集まった王たちの頂点で、最高に傲慢に、最高に幸せな高笑いを上げました。


 儀式の後。

 広場に設けられた「世界一の食卓」で、私は自ら木ベラを振るいました。

 救われたミラベルも、今は一人の少女として、幸せそうに私の焼いた小さなタルトを頬張っています。

 セリーナさんが眼鏡の奥を優しく緩め、ハンス料理長が誇らしげに腕を組んでいる。

 アルフレッドは、遠くの柱の影で、私への未練と敬意を混ぜたような、苦くも清々しい笑顔を浮かべて十字を切っていました。


「……満足か、エリアナ」


 ゼフィロス様が、私の耳元で、彼にしか聞こえない低い声で囁きました。

 

「いいえ、陛下。……私は欲張りですもの。……貴方との明日の朝食も、百年前から約束されていたようなディナーも、すべて平らげるまでは満足なんていたしませんわ」


「……フン。ならば、永遠に私の胃袋の中に閉じ込めておくしかないな」


 陛下が私の唇を奪おうとした、その絶頂の瞬間でした。

 

 ――パリン。

 

 雲ひとつない青空に、まるで磁器が砕けるような、乾いた音が響きました。

 見上げれば、天空の真ん中に、不自然な「亀裂」が走っています。

 

 そこから零れ落ちてきたのは、地上には存在しない、眩いほどに純白の、けれど心臓を凍りつかせるような神々しい光の羽。

 

「……あら。……デザートにしては、少し『重すぎる』お誘いですわね」


 私は木ベラを構え直しました。

 

 亀裂の向こう側から、無数の「視線」を感じます。

 それは人間のものではない、上位の存在。……エリアナの「祝福」が世界を救ったことで、ついに天上界の神々が、彼女の『味』を無視できなくなったのです。

 

「陛下。……どうやら、次のおもてなしの相手は、人間様ではないようですわ」


「……構わん。……神だろうが何だろうが、お前の木ベラで美味しく料理してやれ。……お前の隣には、私がいる」


 ゼフィロス様が、私の腰を抱きしめ、天を睨みつけました。

 美食皇妃、エリアナ。

 彼女の伝説は、この世界を飲み込み、いよいよ神々の晩餐会へと、その第二の幕を上げようとしていたのです。

最後まで読んでくださって、本当に、本当にありがとうございますわ!


泥を啜らされたあの日から、ついに「美食皇妃」としての戴冠。

おーっほっほっほ! 陛下に王冠を載せていただき、世界中の王たちが跪く光景……。

わたくし、書いていてあまりの眩しさに目が眩みそうでしたわ。

エリアナ様の「空腹の自由」という言葉、彼女らしくて最高に素敵ですわね。


復讐も、救世も、すべてを「完食」したエリアナ様の物語。

ひとまずは、この至福の余韻の中で、彼女たちの幸せな夜を見守ってあげてくださいませ。


……ですが。

空を割って現れた、あの不気味な神々の視線。

どうやら、天上界の皆様も、エリアナ様の木ベラで「分からせて」差し上げなくてはならないようですわ!


ここから先の「神域編」、エリアナ様が神様相手にどんな高慢な振る舞いを見せるのか……。

その続きを綴るためのエネルギーは、ひとえに皆様の声援にかかっておりますの!


「神様も料理してしまえ!」「戴冠おめでとう!」と思ってくださった愛しの読者の皆様。

ぜひ、【ブックマーク】と【評価(★★★★★)】で、彼女の新しい門出を祝ってくださいませ。

皆様の星のひとつひとつが、エリアナ様の次なる「神を黙らせるレシピ」の隠し味になるのですから!

また次の食卓でお会いできることを、心より願っておりますわ! おーっほっほっほ!

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