#43
一つの出来事が終息を迎え、一件落着―――に、なるものかと思いきや……
今回、自分達に課せられた題を終わらせた事で、マナカクリムから引き揚げようとしていた者達の前に……
「(あっ……)あ、ど~も~。 この度は、ありがとござました~~。」
「いやいや、こっちも楽しかったよ。(ニッコニッコ)」
―――――――――………………………。
「あ、あのぉ~~ちょっと、そこを通りたいんですけど~~……」
「それよかさあ~w 私、ちょっとあんた達に興味が湧いてきちゃってさあ……」
「ムッ、ご期待に添えず申し訳ありませんが。 私に“そっち”の趣味有りませんので―――」
「だぁ~れが“そっち”の興味―――つったんじゃ~い! そうじゃなくてさあ、なあ~んでまた、逃げるように、ここから去ろうとするんかなあ~って……」
「ああ~一応、調べたい事、調べ終わったしぃ~~ 結果、なぁーんもなかった……てことで、帰ろかなあ~~なぁんて……(エヘヘ…)」
「ふぅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん」
「コーディ~~! この人、私の事、すんごい舐めまわすように見てるんですけどぉ~~~!(半泣き)」
「では、そいつは、あなたの“贄”として置いていきますので、好きな様にして下さい(そそくさ~)」
「ああ~~!この裏切り者ぉ~!(涙目)」
「てェか―――待てよ……あんたも相当怪しいんだよ。 そこんところ、人目が憚かる場所で、とことん問い詰め……」
「守衛サ~~ン! ヤクザモンに絡まれて困ってま~す! 助ぁすけてえぇぇ~~!!」
「あ゛っ! このやろ……今度会った時は、覚えときなさいよッ―――!」
自分達の事を、怪しいと睨んでいた一人のエルフに、行く手を阻まれてしまった―――だけならまだしも、ネチっこいまでに因縁をつけ、絡んでくる有り様に、終ぞ権力に頼らざるを得なくなってきたようで……。
しかも、大体からして、“そう言った輩”は、権力に弱いらしく、連行される前に、程度の悪態を吐きながらも、彼女達から離れたのです。
……と、思われたのですが―――
「足止め、ご苦労様です(ムヒ)」
「そーれで、あの人達の行先は判ったの?」
「それなのですが……どうやら『マジェスティック』のようなのです。」
「人族の街だわねぇ―――それにしても、ササラの勘が当たっちゃうとは…… それで、先行している、ヒヒイロとクシナダは?」
「潜伏には―――成功したようです。」
「そっか―――じゃ、私達も……」
「はい―――」
〖遠く遥けき処に通づる門よ開け〗―――〖転移門;マジェスティック〗
実は、シェラザードがアンジェリカ達に、因縁をつけ……て、いるようにしていたのは、2人の足止めを行う為―――
では、足止めをして、何をしようとしていたのか……
それが、彼女達の、次の行先の特定だったのです。
しかも、それまでの間に、ササラより分析が行われていたものと見え、自分達より先行して、ヒヒイロカネとクシナダの2人を、彼の場所まで向かわせていた―――
そして、ササラの『転移魔法』をして、一瞬の下に―――
人族の街……『都城:マジェスティック』へと辿り着いた者達は、予てよりの作戦通り、配置に着かせ……
そんな事だとは露も知らない、アンジェリカとコーデリアは……
「ふわあ~~~あ…… ここに着いたら、ひとまずは安心ね―――……」
「ええ、まあ―――あとは、PT状態を解散し、夫々の処へ報告するだけですからね。」
「そ~れにしても、色々あったなあ~~今回……」
「“ベサリウス”の件もありますが……少し“ある事”について、私達はもう少し話し合うべきだと思うのですが……」
「そうねえ……そうよねえ……… 本来の件は終わっちゃった事だし、その事については、話し合わなけりゃならない……」
“彼女達”の“上層”から下りた命令を、完遂らせたことで、その街にある、露天の軽食屋の席で、“羽を伸ばす”者達……
日頃見せていた、あの“お道化”た性格が、創作物であったかと言う様になった頃を見計らい―――
不意に背後で……
「へえ~? 何の話し合い? すんごい興味、そそられるわあ~~w」
「(うぴょっΣ)えっ……? あ―――あなた……達??」
「なるほど、尾けていたと言う事ですか……」
「うん? あんた―――あの可笑しな表現、しねえ……」
「ええ―――本来やるべきことは、済ませましたからね。 敢えて繕うを、止めたまで……」
「(これは……『神気』!?)皆さん―――気を……っ!」
〘時干渉;停止〙
『時干渉』―――それは、“神の御業”とも伝えられる……
そして、その内の『停止』―――
総ての『時』が停止る機、その内で動ける者は、彼の術を行使した“本人”と、その者が知覚した者……
そして或いは、術者本人と“同等”の能力を持つ者―――のみ……
「オ……オレ達、時間の停止空間の中で……どうして―――」
「それよりも、お気を付けください……この“方”は―――」
「フ……かつて、我らが長、大天使長より血を分け与えられし獣人の子よ…… お前ならば、私の事が、判るはず―――」
「サ―――ササラ様?!」
「はい―――…… あなた様こそは、“父”の階位第一位、全体での一位天使…… それも、“地”を司る【四大熾天使】のお一人―――……」
#43;“地”の天使
「しかし……なぜ―――あなた様程のお方が、ご降臨を?!」
「それは、大天使長ミカエルからの、お達しがあったからです。 そして、その件は須く終わらせました。 この地へと寄ったのは、ここで分かれ、夫々の場所へと戻る為……」
そして、この空間の共有を許されたのは、自分達を追ってきた、冒険者達―――
ヒヒイロカネ・クシナダ・シルフィ・ササラ……そして、シェラザード―――
その内でも、取り分けてササラは、大天使長ミカエル自ら血を分け与えた事があるからか、ウリエルの事は即座に判ったのです。
とは言え、なぜミカエルと肩を並べる程の実力者が、この地に現れているのか……までは判らなかったのです。
すると、ウリエルからは、事の顛末と“これから”の事を―――……
「そして『選定者』よ―――そなたの事を……」
「ちょいと、そいつはないんじゃないんですかい―――」
「やはり出てきたか、ヘレナ―――」
「当ォ~の然……でしょw こっちとしちゃ、『あの御方』の命もあり、“オレ”達自身で見極めた上で、“誓約”を立てたんだ…… それを、横から掻っ攫う~? そいつが、あんたらのやり方なんですかい―――」
「ならばなぜ、未だ以って引き合わさん―――」
「まだ、時期的に尚早―――そう思っていますんで……」
「しかし、“彼奴”等めは……」
「止めておきなさい―――ウリエル…… あなたこれ以上、機密を漏らすつもり?」
「(!)しかし―――」
「(……)“ベサリウス”―――いえ、ヘレナ……ここは、大人しく引き下がりましょう。 後の処理は、任せましたよ―――」
「フッ……おいおい―――あんたらがヤラかしてくれたことの尻拭い、“オレ”がやれ―――ってか?w」
「一つ……“貸し”にしておきましょう―――それでいかがかしら?」
そう言うと、“自称”を天使騎士と称していた軽装剣士は―――
乾いた布地に水が染み込むが如くに、その存在感を薄まらせ、やがて消え行きました……
そして―――――――――
「あ……れ? 私達―――何を……?」
「ここ―――マジェスティックじゃねえか?」
「なぜ……私達は、こんな処に?!」
「(……)ササラ様―――? どうされたのですか……」
「判りません…… 皆さんと同じように、この私にも分かりません―――! なのに! 私の身体内に流れる、天使の血が、妙にザワついているのです……」
「ええっ?! それって……どう言う事?!」
「私達が今、ここで何をしようとしていたのかは、判りません……が、しかし――― この場にいたのです……私に血を分け与えて下された、大天使長ミカエル様と同等の権限を持つ、天使の存在が!!」
つづく




