#39
「よぉおっし―――行っくぜえ~!」
≪究覇猛炎剣≫!
「払います―――!」
≪阿頼耶識;猛炎・南方朱雀≫!
「うっひょお~☆ 皆さんやっるう~☆ じゃあ―――私もぉ~~……」
【水の力よ、流れ出すものよ、我に力を】―――【流渦閃陣】
えっ?
「お―――おいっ! バカかあんた!! 折角オレ達が、“敵”の弱点である、炎系のスキルや術式展開してるって時に…… それを打ち消すヤツがあるかあ~~っ!」
「ふえええ~~? す……すみませえ~ン! てか私……水系のスキルや魔法しか、持っていないんですけどぉ~~」
「(なんっ……だ、と?!)ちょ―――ちょっと待ってくれ? ……て、ことは―――なにか??」
「『ミス・マッチング』……の、ようでしゅね。(ムゥゥ~)」
「……と、言うより、ダガーファング・ウルフが、仲間を!」
「しょれに……状況的には、かなりまずいのです。 あの“自称”天使騎士様のスキルで、周りは“水浸し”…… これでは、迂闊に雷系の魔法は―――」
-☆ピ キン☆-
「むっ?! 今のはもしや……『フラグ』ですね!? よろしい! 今こそ、我が隠された実力を見せつける時!」
〖轟け雷鳴よ、一条の稲光よ、其を穿ち払い撃て〗―――〖サンダー・ボルト〗
「え? あの……コーデリアさん? 今のササラ様のは、そういった意味ではなくて……」
しかしながら、その制止の言葉は、いかばかりか遅すぎた……
とは言え確かに、魔獣の群れ数十体は、錬金術師の攻撃魔法により、全滅はさせたのです。
―――が・・・
味方全員も、術者であるコーデリアを除いて……
絶賛麻痺中―――
だからこそ―――の、『判定:B』だったわけなのです。
「う゛あ゛~~~…… なんだか、まだ身体中が、“ピリッピリ”してるわ゛ぁ゛~~……」
「それに……こんなに痛い目に遭って、報酬がたったの―――」
「全体で『1万リブル』でしゅか…… 割に合っていませんよね―――(ムヒ~~)」
「シェラがまともに見えてきたの……私だけ?」
「いやは~~私も、まーさかこんなになるとは、思っても見なかったにゃりん☆ ゴメンネゴメンネ~~☆(テヘペロ)」
「(なんんっ……だか、すっごい怒りが、肚の底から込み上げてくるんですけど……。)」
「(我慢しようぜ―――こいつらとの縁も、街まで戻れば……)」
「(そうですよね……街まで戻れば……)」
「(ですけど、なんだかヤな予感しか、しないのデスメタル……(ムヒ~))」
反省―――しているのか、していないのか……
その軽々しい態度に、憤慨するメンバーも一部現れたようです。
{*誰とは言いませんがw}
しかしながら、この共同協力体制も、街まで戻らないと切れないようで―――それまで“じっ”……と我慢―――の、ようですが??
#39;“水”は 高キ処から 低キ処に 流るる
その異変は、すぐギルドに知れ渡ったのです。
「マスター・ノエル、大変です!」
「どうしたのです、そんなに慌てて。」
「実は―――……」
「(!)なんですって―――? この街周辺で、不可解な死因の、魔獣の遺体?」
「はい――― まだ現場は、そのままにしてありますので、至急ご確認を……」
急変を知らせる為に―――と、ギルド職員が血相を変え、ギルドマスターであるノエルに報告をした事例……
それは―――近くの街である『シャングリラ』から、『マナカクリム』までに通ずる“経路”……
その、マナカクリム側に程近い場所で、なんとも言い表し様のない、魔獣の遺体が発見された―――との事でした。
その報を知り、自らも装備を整え、現場へと向かったノエルが見たものとは……
「(この遺体……?!)一体―――何をどうしたら、こんな風になるの?」
「判りません…… ただ―――現場は、見ての様に“水浸し”で、未だ乾ききっていません。 それに、ここ数日の天気の記録を見れば、この地域一帯に『雨が降った』との記録は……」
「(……)ない――― だけれど……」
「はい―――あなた様もお感じの様に……」
不思議と、その場所だけが、不自然に『水の気に溢れて』いた……
しかしこの事は、ある出来事の証明にもなり得ていたのです。
そう―――……
この場所で……何者かが……
それも、極大な『水の気』を操れる者が現出し―――自らに宿る権限を解放した……の、だと。
しかも……その地点は、“乾燥”をしている地域でもあっただけに、現存する水系の最大級の魔法を行使したとしても、自分達が確認しにくるまでは、水は全て干上がっているはず……
それが―――未だ干上がっていない……とは?
そこも気になる処なのですが。
やはり気になったのは―――
『タイラント・タイガー』……討伐難度『AAA』の魔獣―――数十体の遺体の在り方……
ある遺体は、不自然なまでに潰され―――
ある遺体は、力の負荷がどう加われば、一体そんな風になるのか……と、疑わしいまでに、捩じ切れていた―――
それに、ある遺体に関しては、身体中の水分が失われているし―――
またある遺体に関しては、鋭利な刃物で斬り裂かれている様にも見えた……
そう……いるのです―――
少なくとも、“神の域”に近しい権限を持ちし者が、自分達の街の近くに―――……
そんな、ノエルの心配とは裏腹に―――“鬼の郷”から戻ってきた彼女は……
「いやあ~~やっぱ、マナカクリムが一番ダヨネ~~♪ スオウも、まあ……悪い処じゃないんだけど…… あ~の2人の扱きは、私にはまだちょっと早いかなぁ~~て、言うか~~w」
どうやら、あの2人の“可愛がり”に耐え、(一時)戻ることを許されたシェラザード。
そこで彼女は、自分がいない間……惚れ込んでいる相手と、|必要以上に緊密になっていないか《不届きな事には、なっていないか》を確かめる為、所属しているクランに顔を出したところ……
「お~い、ただま―――」
「あっ……シェラ?! 良く戻ってきてくれました―――!」
「(は……はい?)あ―――はい…… てかなんだ? 期待外れ……って言うか―――」
「あなたの“期待外れ”がなんなのか―――は、この際、部屋の隅にでも置いておきましょう……」
「な―――なんダヨ……それ。 気持ち悪い表現の仕方、止めてくんないかなあ~?」
「そう思うのも仕方がありませんが…… あなた様がいなかったばかりに、私達は少し酷い目に―――」
「はあ~~ん? よく言うわ――― 私をハブったくせにさあ~~」
「シェラっ―――! その事に関しては、本当にすまんっ―――! オレ達が悪かったっ―――!!」
「(……)い―――いやまあ~~? ヒヒイロがそう言うんなら……許してやらんことも……ない―――ぞよ?」
「(……)なによそれっ―――! ヒィ君の時だけ、態度をコロッと変えちゃってえ~~!」
「まあ―――まあ――― この際ですから、無益な争いは止めましょう(ムヒ☆) それよりも……です、ここ数日―――私達の間で、何があったか……それをお知らせしておきましょう。」
普通通りに、ギルドマスターから、お願いされた“お使い”をこなし、街へと帰ってきただけ……なのだから、またもや意中の異性を巡っての、『第○次大戦』勃発になるものだと思いきや―――
一番の喧嘩相手から、戻ってきたことを歓迎されてしまった……
これが、シェラザードの『期待外れ』だったのでしたが。
自分をのけ者にして、他の者達は“お愉しみ”しているものだと思っていただけに、少しばかりの嫌味を言うと、PTのリーダーからは、体よく謝られてしまった……
しかも、態度を掌を返すが如くにしてしまったが為に、反発も買いもするのでしたが……
けれど、そこでシェラザードは、自分がいなかった数日間、このクランに何があったのかを、知る事となったのです。
つづく




