#38
シェラザードが、“鬼の郷”と呼ばれている『スオウ』へと行っていた頃―――
同じくして、その他のクランメンバー達は……?
「なあ……『彼女達と合同しよう』って言い出したの……誰だっけ?」
「“あなた”ではありませんか―――(ム~~)」
「ダ・ヨ・ナァ~~―――」
「しかし……ここまで酷いとは―――」
「ヒィ君は悪くありませんっ! あの人達が真面目にやらないから……」
どうやら、主軸であるエルフをハブった事で、罰が当たってしまったのか……
絶不調―――
しかも、難度『B』の依頼でも、判定が『B』になってしまうなど……不手際と言うものではなかった―――
それも、その“原因”となっているのが、どうやら―――……
「さげぽよぉ~~ どもすみませんですぅ~~~ けど、次こそは―――次こそはッ! 一生懸命がんばりマッスルので! まっかせてくださいませぇ~りっ☆」
「いえ―――次こそは! この私の左眼に施されし封印を解く時!! フフフフ―――有象無象の雑魚共よ! この私に秘められし力を知り、震えて眠るがいい~~―――!!」
「(いや……あなたが一生懸命頑張ってくれたところで、私達の役には立ってくれてませんでしたから……)」
「(あい―――逆に頑張れば頑張るほど、足を引っ張るタイプと見受けられました。(ムヒィ……))」
「(……と言うより、あの人の眼帯、度々外れてるの、見かけていたんですけれど……。)」
「(それ―――『見なかったことにしてくれ』って言う、“お約束”じゃねえかなあ?)」
「((~~~)ここに……シェラさえいてくれれば―――)」
「(止めましょう……と言うより、止めてくださいクシナダさん。 それ、完全な『フラグ』ですよ(ムヒー))」
「(けど~~……虫が好いのは、判ってるんです―――けれど!!)」
「(うん……帰ったら、まずあいつに謝ろうな?)」
なんとも残念なコトに―――(?w)
自分達とは、別のPTと、“合同”して、こなすタイプの依頼クエストを受け―――た、ものの……
その結果だけを見れば、惨々たる有り様だったようです。
しかしどうして、彼らが、こんなにも『残念な子』達と、マッチングをしてしまったのか―――……
「どもぉ~☆ ちょり~っス☆ あのぉ~私達ぃ~~私達と組んでくれる人達を、探しているんですけどぉ~~ お兄さん達、ご一緒してくれませぇ~ん?☆」
「えっ? いや―――もうオレ達4人PT組んでるんだけども……」
「そこは心配に及びません―――! 私達は今、6人でこなすタイプを受けていますので。 それに、そちらも丁度4人ならば、この条件に合う……と、思われるのですが?」
「(ふ~~ん……)ちょっと待ってくれ、PTの皆と相談するから。」
のっけから、自分に声をかけてきた時、妙に間延びする話し方―――に、これまた妙に、話しをしている最中でも、身振り手振りが仰々しいの、いずれも“女性”―――の、2人PT……
ちょっとこの時、ヒヒイロカネも、胡散臭さは感じていたよう―――なのではありましたが……
「(ふむ……)6人でやるタイプですね。 しかも、この依頼―――……」
「ああ、報酬がかなりいい―――しかも、難度『B』だし、どうだろう?」
「私は……一度、その人達を、見てみない事には―――」
「そうね……相手を知らないことには、なんとも―――」
その女性冒険者の2人組……
周りからも、かな~り胡散臭く見えたものでしたが、彼女達が既に受けていた依頼クエストの報酬が、かなり良く。(100万リブル)
しかも、難度的にも、そう難しくなさそうでしたので、自分達の仲間の総意を得て、“受ける”ことにしたのです。
「わぁ~い☆ わぁ~い♪ 一緒に受けてくれるんですねえ~? あげぽよぉ~~☆」
「(『あげぽよ』……? 一体どこの言葉……?)よ―――よろしくお願いしますね。」
「こちらこそぉ~~。 あ、私はですねえ~―――? “自称”『天使騎士』の~~【アンジェリカ】―――でぇ~っす☆」
「(……は? 今なんつった??)」
「(『天使騎士』……だ、そうですけど―――)」
「(そんな職、ありましたか?)」
「(アリマセン。(ムヒ) なので、この時点で確定デスね。(ムヒ~))」
「(確定……って?)」
「(頭にお花畑が咲いてマス。(ムヒヒヒ……))」
「(ねえ……ものは相談なんだけど―――)」
「(それ、無理―――)」
「(ええ……“もう一人”が、私達を『逃がさん』て雰囲気、出してますから……)」
ところが―――この二人を実際見たのはヒヒイロカネだけ……
そこで、改めて、顔を合わせての自己紹介―――と、なった時に、現実としては有り得ない職を、“自称”してしまう―――外見上では、軽装の剣士……“アクアマリン”の髪と瞳を持つ、【アンジェリカ】―――と、名乗る女性と……
「フッ……私は―――天より選ばれし宿命の子! 『錬金術師』の【コーデリア】と申します!!」
「あ゛~~その前に……だ、な。 あんた―――左眼に眼帯しているようだけど……大丈夫なのか?」
「フッ……この眼帯は、私自らが施せし“封印”―――! この封印が解かれし時、この世に終焉が訪れるでありましょう!!」
「そ―――それ……本当?!」
「まあ、私が言っているだけなのですがね。(ドヤア)」
#38;“自称”ちゃんと厨二病
「(なんっ……だ、こいつら―――面倒臭えぇぇ~!)」
「(皆さん……大変残念なお知らせが―――)」
「(聞きたくないけど、聞いておきましょうか……)」
「(先程、ギルドに問い合わせた処、どうやらこのお二人、かなりな曲者らしいデスメタル……(ムヒィ~~))」
「(“曲者”……って?)」
「(まあ……性格が“アレ”なのは、話し方を見ても、その通りなのですが…… このように、高報酬の依頼をちらつかせては、方々に迷惑をかけているみたいなのでしゅ(ムヒヒ……))」
そう……実はこの二人、元々この街出身の冒険者などではなく、どこかの街から流れてきていたようなのです。
とは言え、活動拠点をこの地に移しても、すぐに広まってしまった名声―――『悪名』……
現実では、有り得もしない職名を、“自称”してしまう―――軽装の剣士と……
自身の事を、誇大主張してしまいがちな―――錬金術師……
つまり―――ヒヒイロカネ達は、性質の悪い者達に、見初められてしまった……
? ?? ???
そして―――PT全員の不安は、見事的中することとなり……
<周辺区域に出没する魔獣を討伐せよ;B>
「(ダガーファング・ウルフが5体か……落ち着いてやれば、早く片付くな。)よし―――シルフィ、全体に補助魔法をかけてくれ、そして、かけ終わると同時に、回復魔法をセットアップ……」
「判りました。」
「クシナダは、いつも通り中距離で攻撃の術式をセットアップしつつ待機。 そしてササラは、後方から状況をよく見て、オレ達の足らない部分を補完してくれ。」
「ええ―――いつも通りね。」
「はい。(ムヒ)」
「へええ~~それがいつも通りのあなた達―――なんですねえ~~。 すっごいなあ~~☆」
「私達も、感心ばかりしていられませんよ。」
「そうだね―――エヘヘッ☆」
「では……私達も、実力の片鱗と言うものを見せてあげましょう!」
ヒヒイロカネが、自分達の仲間に出した指示は、間違ってはいなかった……
と言うよりは、寧ろ的確と言えました。
そして―――言ってしまえば、ヒヒイロカネPTだけでやっていれば、卆なく終わらせられていた―――
はず……だった―――
なのに、結果だけを見てみれば、そうなっていない……と、言う事は。
やはり原因は、そこにあった―――と、言うしか他はないのです。
つづく




