表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/103

#36

「『話し』は―――“彼女”から聞いているよ。」


「は・あ―――……(彼女?)」


「いや、それにしても大した胆力だねぇ。   ひ弱なイメージしかないエルフ(あんた)達が、単独で“鬼の郷(スオウ)”を訪ねるだなんてね。」


「(……)あ―――そうだった……   あなた宛て―――だと思うんですけど、ギルドマスター様から『手紙(コレ)』を渡すように……と。」





しかし―――鬼人(オーガ)の“カシラ”と見られた女性は、提示された手紙に、目を通さないばかりか……





「(え?)なんで―――目を通さない……」


「“そいつ”は―――『白紙』だからだよ。   なにも書かれていない手紙に、目を通す―――だなんて、滑稽だろう?」


「(!)それじゃ―――私……」


「だけど、私が“信じる友”の真意は、汲み取っている……。」


「(『信じる友』……)それじゃ―――やはり、あなたが……」


「私の名は『リリア』―――   かつて、ノエルと同じPTにいたことのある、『仲間』さ。」


「(?!)でもっ……ノエル様は『韋駄天(ストライダー)』―――   だとしたら……あなたは??」


「(フ……)(さと)いもんだ―――   ああそうさ、この私こそが、『清廉の騎士』って呼ばれていた存在さ。」





すると―――今まで断片的だったモノが、一つになり始めてきた……




この人が―――『清廉の騎士』……って、ことは?





「あのっ―――それじゃ、私の所属しているクランにいる、『赫キ衣の剣士』……」


「ああ、私の息子だね。   あの子は……ね、私が“こんな”にならなけりゃ、真っ当(まっとう)(ヒト)族……だったものを、さ。」


「私―――知ってます……。   あなたと、もう一方(ひとかた)……魔王軍との闘いで、瀕死の重傷を負ってしまったものの、PTのリーダーだった、ヴァーミリオン様の、鬼人(オーガ)としての血を受け入れた……って。」


「ほお~、そこまで知ってるんなら、話しは早い。」


「けど、あなた達が、その後に受けた“仕打ち”は、間違っていると思います!」


「そいつは、同情相憐れむ―――って処から来ているのかい?」


「え……ええ―――   だって、そうじゃないですか!   その生命を賭して、この魔界(せかい)を救ったと言うのに……!」


「あのね……エルフのお嬢ちゃん―――   私は、ヴァーミリオンが施してくれたことに、何ら異論を差し挟むつもりは、毛頭ないんだよ。   逆に、元、私達の種属だった(ヒト)族の“弱さ”てのが見れて、良かったとさえ思っている。   そりゃね……皆、誰しもがそうなんだ―――   苦境に立たされた時、救いを求める手と―――そして、差し伸べる手と―――   けれど、『咽喉元過ぎればなんとやら』……   実際は怖いもんなんだろうさ―――他の種属と比べると、見劣りがちな(ヒト)族……   そんな連中から見た、“英雄”って、一体なんなんだろうねぇ……」





その時―――初めて“想い”“知る”事となる……

一人の英雄の、迫害の歴史を―――




“化け物”()()()な強さ―――

その比喩(たとえ)通り、“化け物”として見られる日々―――


だから清廉の騎士は、逃げるようにして、スオウへと転がり込んだ……


その時分(じぶん)には、まだ、PTのリーダーだったヴァーミリオンも健在であり、どうにか落ち着ける場所は見つけられたのです。


閑話休題(それはそれとして)―――


ならば? ギルドマスターであるノエルは、一体何の目的で、自分をノエル自身の信友(リリア)と会わせたかったか―――





「ん~~じゃ、そろそろ向かうとしますか。」


「はい?   ……どこへ―――」


「怖ぁ~い鬼さんが、いるト・コ・ロ♪」





その瞬間、凍り付くシェラザード……

しかし、同時に思ったりもするのです。




あるぇ? てか……この人が鬼人(オーガ)の“カシラ”じゃなかったっけえ~?

でも……この人をしても『怖ぁ~い』人―――って……誰なの?




“今”でさえも、他の鬼人(オーガ)からのプレッシャーに、()けそうになっていると言うのに……

それが例え、側に鬼人(オーガ)の“カシラ”たる人物がいたとしても、どこか言葉の“魔力”に怯える自分がいる……


そして、連れてこられた―――『祠』と、思われる場所に……


入口までは、陽光が当たってはいるものの、ほんの数歩進んだだけで、闇が浸食してくる場所―――『祠』……


そんな場所に、“カシラ”の良く(とお)る声に反応したものか……

最奥にあると思われる“祭壇”から、一人の人物が現れてきました。


しかし―――……




えっ……この人―――よく似ている……

この私の……一番の“悪友(良き理解者)”と―――




その人物は、上に“絹白(けんぱく)”を―――下に“唐紅(からくれない)”を着付けた、『巫女』でありました……。


しかし、そう―――その人物は、余りによく似ていたのです。


その目鼻顔立ちから、雰囲気まで―――





「お待たせを致しました―――   それで、こちらが―――?」


「ノエルから連絡があった子だよ。」






その人は、神妙にして清楚―――と言った表現が、良く似合う女性(ひと)でした。

それはまた、『清廉の騎士』と呼ばれ、自分も惚れかけている、『赫キ衣の剣士』の母と呼ばれている女性(ひと)も、さながらにして―――


しかして―――





「私が、この郷に(まつ)らるる、『八幡神社(はちまんじんじゃ)』の巫女―――『ホホヅキ』―――と、申し上げます。」


「(!)では―――あなたが『神威』!?」


「へえ―――……   私の事、打ち明けた時も、あんまり驚かなかったけど……   ひょっとして、お嬢ちゃん、あの『創作話』の愛読者?」



「はい―――!   あの『お話し』は、何度となく読み返してて……」


「なら、話しは早い―――」


「(は?)話し―――って??」





すると―――『ぱさり』と、自分の髪が、“一房(ひとふさ)”落ちた……?


いやしかし―――“それ”は、余りに不自然……


()()()()()()()、髪が“一房(ひとふさ)”単位で、落ちる事など……


まず―――有り得ない……


と、するならば?





#36;(手荒い)歓迎





「精々泣かぬよう―――気を張りなさい。」




え?  え??  え???




「ちょちょちょちょっ――――い……今、何をしたんです?」


「へえ~~―――この子、見えてるよ……   あんたの“剣の間合い”が……」


「フ……そうでなくては―――」


「(ゴク~リ……)あ……あのぅ~~―――   一つ聞いてよろしいでしゅ?」


「何でしょう―――」


「『クシナダ』って人―――……」


「それは、私の娘になります―――。」




やぁっぱしい~?

え? てことはなにか??

娘いぢめてるから、これを機会に“お仕置き”しよう……ってえ?

いや……けどなあ―――いぢめてる感覚、ないのになあ~~?

だったらなんで―――こんなことになっちゃってるワケぇ~?




『自分の髪が“一房(ひとふさ)”落ちた』

と言う、不可解な現象は、その原因はすぐに分かってしまいました。


その人は、『巫女』でありなからも、『刀』と言う武器を手に取り、攻撃を可能と出来る職に就いていた……


しかも、その“抜刀術”たるや、既に神妙の域にまで達しており、シェラザードの髪が、“一房(ひとふさ)”―――と、言うのも、明らかに『神威』が放った剣閃がそうさせたから……


しかも、その元を手繰(たぐ)ってみれば、いつも何かしらで、熱い火花を散らし合っている、“悪友(よきとも)”の母親だった―――と、言う事に。





つづく





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ