表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/103

#24

今回―――ネガ・バウムの姫将軍、アウラが起こした軍事行動に、疑問を投げかける者がいました。

そして“その者”は、数々の疑問を紐解いていく内に、ある……“最悪の事態”を際立たせてきたのです。



「(……)これは…少々まずいことに―――」


「だから、どうしたってんだ?ササラ―――」


「先程、私が至った予測と、今しがた至った予測とで、状況が激しく違わせてきているのです。」


「それは……一体どう言う事?」


「先程の、シルフィさんが得たと言う、“過去”の『布陣図』。   それに伴う“過去”の『着地点』のあり方……   そして―――“今の代”は、“前の代”とは、考え方が根底から違う……」


「(はっ!)ああっ―――!?」


「そうです―――“過去”の()()()……“今まで”の()()()……“対処”をしてしまえば、『エヴァグリム』は確実に、この世から消滅してしまいます。   そう……優れた軍略家である、アウラの手によって―――!」


「そ……そんな?!   では…シェラは? シェラは―――?!」


「判りません―――けれどシェラさんは、この事も視野に置いて、身分を隠し―――“ここ”を訪れた…はず……   なのに……なぜ………“今になって”その事を―――『断念』?   いえ…違いますね―――」


「どうしたんだ?ササラ―――」


「少しお待ちを………もう少しで、見えてきそうなのです―――シェラさんの…真の目的が………」




#24;『破局点(カタストロフィ)』の模索




優れた智嚢を持ち、経験も豊か―――であるがゆえに、思考は(めぐ)る…(めぐ)る……めぐる………


そして、巡った果てに見えてきたモノとは―――



その一方―――シェラザードは………



「(ふうぅ~~んむむ…)―――………。」


我が主(マイ・マスター)―――なにか悩ましい事でも?」


「ああ…いやね―――折角アウラが取ってくれた行動、無駄にしちゃいかんでしょう?   ………とは言ってもねえ~“タイミング”ての? それを間違っちゃうと、立ち待ちの内に、この国は危うくなっちゃう……   てかさあ~~この“タイミング”てのが実に厄介でね?   ほんの少しでもズレちゃえば、アウラの目論み通り、この国は魔界から消滅しちゃう―――のよねえ~…」


「つまり………あなた様からすれば、『破局点(カタストロフィ)』が欲しい―――と?」


「そ―――…()()があれば、間違いなく私の真の目的()叶う………   もうこれ以上、“連中”のやりたい放題(コト)をのさばらせておくのは、我慢の限界なのよ―――」



シェラザードの【真の目的】―――

それこそ、今まで王国の王家を(ないがし)ろにし、(あだ)を為してきた者達への、『粛清』―――それでした。


彼女はもう、我慢がならなかったのです―――

“連中”が起こす行動は、総てが自分達の為―――

城下へ住む、下々(しもじも)達のことは露ほども考えず、いつも贅沢三昧に振舞える“様相(ソレ)”に―――


しかも、自分の父であり、この国の王であるセシルも、“象徴としての王(裸の王様)”として、成り果ててしまっている……

例え、“連中”の派閥である、“子爵家”から婿養子として、出されてはいるにしても、一国の王なのだから、言うべき処は、言ってもらいたかった……


けれど……“側仕え(セシル)」には、()()が出来ない―――


側仕え(セシル)”は、“連中”が政治を壟断し(甘い蜜を吸い)やすいようにと、シェラザードの“実母”である『ヒルデガルド』に嫁がせた、カイ(甘い蜜を)ライ(吸う為の“管”)………


しかし、そこに夫婦間の愛情はなかったか―――と言えば、シェラザードはこう答えるでしょう…

『そんなことは、ない』―――と……


そう…確かに、『政略結婚』であったとは言え、ヒルデガルドが亡くなるまで、夫であるセシルは妻を愛した―――

ヒルデガルドもまた、“連中”の手によって殺されてしまうまで、夫を愛した―――

その愛の結晶こそが、シェラザードなのです。


しかし―――母であり、妻である者を失ってしまった時から、“親子”間の関係も、『流転』する―――


“国王”とは名乗りながらも、政治の実権などはなにもない……

だからこそ(セシル)は―――自分の娘の『監視役』としての、“側仕え”として生きていくことを選択した……


(セシル)は―――娘であるシェラザード()()見ていない……


それは、“父”であるからこそ―――そしてまた“国王”であるからこそ…

あるいはまた、“連中の傀儡(くぐつ)”であるからこそ、娘の動向を見続け…ながらも―――


自分の“ご主人様”達の為にと、報告を上げていたものだったのです。


それはまさに(ゆが)んだ愛()―――いえ、最早それは、(ゆが)み過ぎた愛()……


だからこそ、シェラザードは、そんな“父”に同情出来なかった―――

国王(“連中”の傀儡)たる父には、同情すら湧かなかった―――


もう…国内(エヴァグリム)には、味方は見当たらない―――

だからこそ、国外(マナカクリム)に救いを求めたのです。


そこで巡り合った、“運命共同体(なかまたち)”―――




私の選択は間違っていなかった……

きっとこの人達なら、“連中”へのカウンター・パワーとなってくれるだろう……。




けれど、そこで―――“一つの誤算”が生じました。


それが、自分の行き過ぎ(クーデター)を、差し止める為に…と、“連中の傀儡”と成り果ててしまった、(セシル)から差し向けられた刺客()―――


しかし、この“刺客()”の正体こそ、自分も幾度となく読み返したことのある、『緋鮮の記憶(あの創作話)』…

あのお話しに登場している、『ヴァンパイアの公爵』その人だったのです。


そのお話しでは、『ヴァンパイアの公爵』の記述は、そうありませんでしたが……

“強さ”に関しては、桁外れになされていた―――


その事を知っていただけに、シェラザードは兼ねてからの計画を変更したのです。


それと言うのも―――

実際自分が、これから起こそうとする変革は、無事(五体満足)で済む―――とは思っていなかったから……


だから…これから、一緒に傷つき、或いは死んでくれと言う、ある意味無茶(そうな)ブリにも似たことを(る事を)頼み込むのに、“絆”を…関係を深めようとしていたのです。


そんな中で出会った、“強者”―――

もう既にその身は“不死”であるから、程度以上の心配はいらない……

それどころか、あのお話しでも、主人公達を手助けしてくれていた……


呆れるほどに“強く”―――

呆れるほどに“不死(しなず)”―――

呆れるほどに“独善(ひとりよがり)”で―――

呆れるほどに“傲岸”にして―――

呆れるほどに“不遜”―――………


それが唯一許された存在―――【公爵ヘレナ】だった………




そうした“彼ら(ヘレナ)”が、私と『血の誓約(ちかい)』を立ててくれた………

この、唯一無二にして、強者である存在が、私の味方に付いてくれるなら………




だからこそ、絆を紡いできた者達に、『見切り』をつけたのです。




つづく




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ