第34話 大きな変化
家族に魔法を披露してから6カ月が経過した。
家族会議の結果俺にはもっと広い世界を見せた方が良いという話になり、同伴者を一名伴えば、ある程度自由に外へ行くことが出来るようになった。
今、我が家にはハウスキーパーが6名となりそれ以外にも執事や護衛の衛士が常駐するようになっている。
今までは、誰が兄を殺したのかわからなかったので慎重を期して家にいる人数を最小限に留めていたらしい。
敵を討ち、シルフィールが生まれたので人数が増えたのだ。
だが俺はこの6カ月間外出はほとんどしていない。
理由はシルフィールのお世話と監視を行うためだ。
しかし4歳となった今、俺は確信した。
シルフィールは間違いなく俺の最愛の妹だ。俺のような転生者ではなく、この世で1番可愛い妹だ。生まれてからずっとお世話していたので俺の愛情は最大値を大きく突破してしまっている。
今からお嫁に出すのが心配で仕方がない。
シルフィールの心配がなくなったので、そろそろ外に出て行ってみようと考えている。
問題は誰を同伴させるかだ。
「ママ、僕4歳になったからそろそろ外に出てみようと思うんだけど、一緒に出るのは誰がいいのかな」
「そうね。ファルエルちゃんなら何も心配はいらないと思うけど、念のために腕が立つ者がいいわね。メルエがいいかしら」
「侍女をしてくれてるメルエ?」
「そうよ。彼女は結構腕自慢なのよ。一緒に行くには適任だと思うわ。一応外に出る時は帯剣も忘れずにね」
という事でメルエを伴えば俺は自由に外に出ることが出来るようになったが、シルフィールが生まれた後に家にやって来たメルエとは、あまり話した事は無いので、まずは一度話してみる必要がある。
「メルエ、ちょっといいかな」
メルエは17歳になる女の子だが、ママによると、ママの遠縁の家の出で身元はしっかりしているらしい。
髪の毛は金髪のママと違いシルバーだが、何となくママが若くなったような面影がある。
「はいファルエル様」
「ママから聞いてると思うんだけど、これから当分の間、僕が外に行くのについて来てもらう事になるんだ」
「はい、伺っております」
「それでね。約束して欲しいんだ。僕はね、これからいろいろと外で学んでいきたいと思っているんだけどね、メルエがびっくりするような事も起こるかもしれない。でもね僕の家族以外には絶対にそれを話して欲しくは無いんだ」
「ファルエル様が、そうおっしゃるのであれば」
「一応言っておくとね、ぼくは、他の人より魔法が得意なんだ。それと本の知識だけはいっぱいあるんだよ。それと少しだけど剣も使えるから外出時には帯剣する様に言われてるんだ」
「ファルエル様。ファルエル様のお年で魔法が使えるのですか?凄いですね。私など魔法の練習を始めたのは6歳からです。それに以前からお見かけはしておりましたが、本をお読みになられるのですね。あまりに難しい本を読まれているので・・・・」
「ああ、本当は読んでいるんじゃなくて挿絵でも眺めているのかと思ったんだね。まあそれは仕方がないよ。僕はね今までほとんど外に出る事が出来なかったから、本だけは頑張って読めるようになったんだ」
「失礼致しました。ファルエル様は本当に凄いお方なのですね。しっかりお供を務めさせていただきます」
「そういえばママがメルエは腕が立つと言っていたんだけど、メルエは何が得意なの?」
「はい、私が得意としているのは剣術です。私の家は武家の出なので幼い頃から剣を修練して来ました。それと水系統の魔法はそれなりに使う事が出来ますのでファルエル様の安全はお任せください」
「そうなんだね。それじゃあ早速明日から、外を見て回ろうと思うからよろしくね」
次の日から俺はメルエを伴って外の世界に飛び出す事となった。
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