第35話 外に出る
俺は早速メルエを伴い外出する事にした。
とはいえ右も左もわからない状態なのでメルエに頼る事にする。
「メルエ、とりあえず近くの街を見て回りたいから、案内してくれる?」
「わかりました。ただ、私もこちらに来てから日が浅く、そこまで街に出たことが無いので詳しくは無いのですが」
「ああ・・・それはしょうがないよね。街まで一緒に行ってから考えようか」
「はい」
とりあえず2人で街まで歩いて向かう事にした。
よく考えると家族以外と外に出るのは初めてなので、かなり不思議な感じだが新鮮だ。
「メルエ、外は気持ちいいね」
「そうですね。今は気候もいいですしお散歩には最適ですね」
「メルエは僕がどうして外に出たことが無いのか知ってるの?」
「はい。家に来させていただいた時に奥様からお聞きしております」
「そう。僕は今までほとんど外に出た事が無いから色んな所に行ってみたいんだ」
「わかりました。出来るだけファルエル様のご希望に添えるようお付き合いさせていただきますね」
「うん。ありがとう。それと聞いてるかどうかわからないけど、僕は魔法が得意なんだ。だから、もし僕が魔法を使う事があっても驚いちゃダメだからね」
「ふふっ。大丈夫ですよ。私も魔法はそれなりに使えますから、ファルエル様が魔法を使っても驚くような事はありませんよ。でも、ファルエル様の年齢で魔法を使えるなんてすごいですね。『ホーリーボール』とかでしょうか?」
「う〜ん、ちょっと違うんだけど、その時が来たら見せてあげるよ」
「はい、楽しみにしてますね」
多分メルエは勘違いしている。俺が小規模の魔法を使える事を自慢しているぐらいに思っているのだろうが、ここで説明するのは、面倒なのでスルーしておく。
それから30分程歩いていくと街に到着した。
大規模な町では無いので天使で溢れていると言うことは無いがそれなりに賑わっている。
歩いていると露店で串焼きのようなものが売られている。
匂いが俺の食欲を刺激するので思わず立ち止まって凝視してしまう。
「おうっ、坊主これが欲しいのか?お嬢ちゃん1本2ガルだ」
「ファルエル様この串焼きが欲しいのですか?」
「ううん、僕お金を持っていないから」
「大丈夫ですよ。奥様からお預かりしています」
「ええっ、ママが?」
「ファルエル様には出来るだけ自由にさせてとの事で、それなりの金額を預かって来ております」
ああっ、ママなんて優しいんだ。僕が串焼きを食べたくなる事がわかっていたのだろうか?ありがとうママ。
「それじゃあ2本お願いします」
「ああ、それじゃあ4ガルだ」
メルエがお金をおじさんに渡して串焼きを2本受け取る。
メルエが2本共俺に渡そうとするので
「違うよ、一本はメルエのだよ」
「いいえ、私はこのようなものをいただく訳にはまいりませんので」
「メルエ、1人でたべても美味しく無いから、僕がメルエと一緒にたべたいんだ。お願いできるかな」
「ファルエル様がそう仰るのであれば是非ご一緒させてください」
僕たち2人は歩きながら串焼きを頬張った。
「おいしいっ!」
「はい本当に美味しいですね」
これは普段食べている料理と違って非常にシンプルだがうまい。多分鹿か何かの肉だと思うが甘いタレが、絶妙にマッチしておいしい。
普段食べている料理も、もちろんおいしいのだが初めて路上で食べたこの串焼きは別種の美味さがある。
「僕は串焼きを食べるのは初めてなんだけど、メルエは食べたことある?」
「そうですね。この街では食べたことはありませんが、実家のある街では時々食べていました。ただ味は塩味だけのものが多かったので、この味も美味しいですね」
串焼きは、これ以外の味付けもあるのか。是非食べてみたいがメルエの実家の街は遠いのだろうか?
それともこの街でも、もっといろんな味の串焼きが売っているのだろうか?
街に来ていきなり至高の食べ物と出会ってしまった。俺は本当に運がいい。
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