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第34話:古代灯台の守護者と、4人の光

古代灯台遺跡の入り口に立ったとき、アレン・ヴォルドは静かに息を整えた。

三十四日目。無頼の牙パーティーは今日、ギルドが推奨した中規模クエスト「古代灯台の守護者」討伐を受けていた。

ここ数週間、回復魔法を連発する負担が体に蓄積し、朝の目覚めが重く感じる日が続いていたが、今日のクエストは特に難易度が高いと事前に聞いていた。


ガルドが大剣を肩に担いだまま、赤毛を風に揺らしながら元気よく言った。

「よし、今日は古代灯台だ! 守護者が強いらしいぜ。アレン、回復頼むな!」


レオンが銀髪を軽くかき上げながら、皮肉っぽく笑った。

「ははっ、ガルド、お前はいつも同じセリフだな。アレン、顔色があまり良くないぞ。無理してないか?」


バーンは無精髭を撫でながら、のんびりとした足取りで盾を担いでいた。

「アレン、今日は肉を多めに持ってきてくれたか? 灯台の中は冷えるからな。戦いが終わったら温かい飯にしようぜ」


アレンは少し微笑んで答えた。

「みんな、古代灯台の守護者は硬くて再生力もあるそうです。回復をこまめにかけながら、慎重にいきましょう。……少し負担が大きいかもしれませんが、頑張ります」


ガルドが豪快に笑った。

「慎重はいいけどな! 無頼の牙は勢いだ! お前がいるからこそ、俺たちは無茶できるんだぜ」


四人が灯台の奥に進むと、古い魔導の光が揺らめく広間に、巨大な守護者である石像の巨人が動き出した。

重い拳と魔力の波動を放ちながら、ゆっくりと襲いかかってくる。


「よし、来い!」


ガルドが大剣を振り回して突進した。

守護者の拳がガルドの体を叩きつけ、激しい衝撃が走る。

魔力の波動が回復魔法の光を乱し、効果が思うように乗らない。


「ぐっ! アレン、傷が痛え! 癒してくれ!」


アレンは即座に回復魔法を唱えた。

しかし、守護者の魔力波が緑色の光を激しく散らし、回復が遅れる。

ガルドの傷がなかなか塞がらず、血が滴り落ちる。


「ガルドさん、魔力波が魔法を乱してます! もう少し距離を取って……!」


「そんな悠長なこと言ってる場合じゃねえ! 無頼の牙は勢いでぶち破る!」


レオンが後方から風の刃を連発し、守護者の動きを乱した。

「おいおい、魔力波が厄介すぎるぞ! アレン、強化も頼む!」


バーンが盾で拳攻撃を受け止め、斧で守護者の脚を狙った。

「アレン、こっちも来てるぞ!」


アレンは汗を浮かべ、精神力を振り絞って回復魔法を懸命に連発した。

頭の奥がずきずきと痛み、視界が少し狭くなってきたが、必死に光を維持し続けた。


戦闘は長く激しかった。

守護者の魔力波と重い拳が次々と襲い、ガルドとバーンが何度も深手を負う。

アレンは息を荒げながら、回復と支援を交互に繰り返した。

限界を感じる中でも、仲間たちの傷を一つずつ癒し続けた。


ようやく守護者の核を破壊した時、アレンは壁に手をついて大きく息を吐いた。


ガルドが息を荒げながら笑った。

「ははっ……勝ったな。アレン、今日はお前もかなりキツそうだったぜ」


レオンがアレンの背中を軽く支えながら言った。

「ふっ、魔力波が魔法の邪魔をしてたな。アレン、よく持ちこたえた」


バーンがのんびりとした声で言った。

「アレン、今日は少し休め。飯は俺が多めに作るから」


帰りの馬車の中は、いつもより少し静かだった。

ガルドが珍しく声を落として言った。

「アレン、お前が倒れたら俺たち終わりだぞ。無理すんなよ」


レオンが窓の外を見ながら続ける。

「ははっ、認めるのは癪だが……お前がいなかったら、今頃俺たちはもっと苦労してただろうな」


バーンが干し肉を齧りながらのんびり言う。

「アレン、感謝してるぜ。これからもよろしくな」


アレンは小さく微笑んだ。

「みんな……ありがとうございます」


ギルドに戻ると、ミリアがカウンターから少し心配そうな顔で声をかけてきた。

「無頼の牙のみなさん、おかえりなさい! ……アレンさん、顔色が悪いですよ。大丈夫ですか?」


アレンが報告を終えると、ミリアは優しく言った。

「古代灯台の守護者は魔力波がきついですよね。無理はしないでくださいね。このパーティー、どんどん目立ってほしいんですけど……みんなが元気でいてくれるのが一番です」


その夜、『鉄の杯』では四人がいつものテーブルに座っていた。

今日は守護者の魔力波の疲れが残る中、静かに酒を飲んでいた。

ガルドがジョッキを掲げたが、トーンは少し低めだった。

「無頼の牙に乾杯……今日はみんな、お疲れ」


レオンがワインを注ぎながらアレンを見た。

「アレン、今日は特に負担が大きかったな。少しペースを落としてもいいんじゃないか?」


バーンが肉を焼きながらのんびり言う。

「アレン、今日はゆっくり休め。俺が飯を多めに作ったから、たくさん食え」


アレンはジョッキを手に、静かに言った。

「みんな、ありがとうございます。まだ大丈夫です。でも、気遣ってくれて嬉しいです」


四人は静かに酒を飲み、今日の戦いの話を少しずつ交わした。

古代灯台での激しい戦い。

回復を連発する日々の積み重ね。

そして、仲間たちが自分を気遣ってくれる温かさ。


アレンは麦酒を一口飲み、胸の奥が少し軽くなるのを感じた。


追放されてから三十四日。

無頼の牙での日々は、試練を増やしつつ、確実に「仲間」というものを教えてくれていた。

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