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第24話:灰塵の坑道と、溜まり始めた疲れ


無頼の牙パーティーが霧の廃墟を攻略してから二十四日目。

アレン・ヴォルドは朝の宿屋でゆっくりと体を起こした。

黒髪を短く整え、茶色の瞳に少し重い色が浮かぶ。

ここ最近、回復魔法を連発する機会が増え、朝起きる時に軽い頭痛を感じるようになった。


ギルドの入り口に向かうと、三人がすでに集まっていた。

ガルドが大剣を肩に担ぎ、赤毛を朝日に輝かせて元気よく声を上げる。

「アレン! おはよう! 今日は『灰塵の坑道』の岩ゴーレム退治だぜ! 埃がすごいらしいが、報酬は悪くない!」


レオンが銀髪を後ろで束ね、風魔法の杖を軽く回しながら軽く笑う。

「ははっ、ガルドは相変わらず元気だな。アレン、回復の準備はできてるか? 昨日もかなり連発してただろ」


バーンは無精髭を撫で、のんびりとした足取りで盾を担いでいる。

「アレン、今日は肉の量を多めに持ってきてくれたか? 坑道の埃で喉が渇くからな」


アレンは軽く頭を下げて三人と合流した。

「みんな、おはようございます。少し慎重にいきましょう。灰塵の坑道は埃が濃いので、回復をこまめにかけながら進みましょう」


ガルドが豪快に胸を叩く。

「連携はいいけどな! 無頼の牙は勢いで勝負だ!」


クエスト受付カウンターでは、ミリアが明るい金髪ポニーテールを揺らして笑顔で待っていた。

「無頼の牙のみなさん、おはようございます! 今日のクエストは灰塵の坑道の岩ゴーレム群ですね。埃が濃くて視界が悪いので注意してください。アレンさんたちの回復魔法でも負担がかかるかもしれません……」


ミリアは地図を渡しながら、念を押すように言った。

「坑道の奥に親ゴーレムがいるらしいです。危なくなったら無理をせず戻ってきてくださいね。このパーティー、どんどん目立ってほしいんですけど、みんなの安全が一番です!」


アレンは丁寧に礼を言った。

「ありがとうございます、ミリアさん。気をつけます」


ガルドが親指を立てる。

「おう! ミリアちゃん、心配してくれてありがとうな! 無頼の牙、今日も派手にいくぜ!」


レオンがくすくす笑う。

「受付嬢にまで心配されるとはな。アレン、回復、よろしく頼むぞ」


バーンがのんびり頷く。

「まあ、戦いが終わったら飯だな」


四人は馬車に乗り、灰塵の坑道へと向かった。

坑道内は埃が濃く、視界が悪く、足元が不安定だった。

岩ゴーレムの群れが岩壁から動き出し、重い拳で襲いかかってきた。


「よし、無頼の牙の出番だ! 俺が前で引きつける!」


ガルドが大剣を構えて突進した。

岩ゴーレムの拳がガルドの体を叩きつけ、激しい打撃が走る。


「ぐっ! アレン、傷が痛え! 癒してくれ!」


「ガンガンいけ! まだ来るぞ!」


アレンはすぐに軽い回復魔法を唱えた。

緑色の柔らかい光がガルドの体を包み、打撲を癒していく。

同時に支援魔法でガルドの力を強化する。


「ガルドさん、埃で視界が悪いので、声で位置を確認しながら!」


「そんな悠長なこと言ってる場合じゃねえ! 無頼の牙は勢いでぶち破る!」


レオンが後方から風の刃を連発し、埃を少し散らす。

「おいおい、また無茶かよ。アレン、俺にも強化を!」


バーンが盾で拳攻撃を受け止め、斧で岩ゴーレムの脚を狙う。

「アレン、回復ありがとうな。まだいけるぞ」


戦闘は埃の濃い坑道で長引いた。

岩ゴーレムの群れが次々と現れ、ガルドとバーンが何度も傷を負う。

アレンは汗を浮かべながら回復魔法を懸命に連発した。

精神力がじわじわと消耗していくのを感じ、軽いめまいがした。


「アレン、傷がヤバい! 癒してくれ!」


「了解です……回復、続けます!」


緑色の光が何度も閃く。

アレンの魔法がなければ、この埃の中で戦うのは非常に危険だった。

レオンが風魔法で埃を散らし、バーンが盾で守りながら斧を振り下ろす。

ガルドが大剣で親ゴーレムを狙い、ようやく大きな岩ゴーレムを倒した。


親ゴーレムが倒れると、残りの群れも動きを止め、次々と崩れ落ちた。

坑道に静けさが戻る。


ガルドが息を荒げながら大笑いした。

「ははっ! 勝ったぜ! アレン、お前の回復連打がなかったら危なかったな!」


レオンが汗を拭いながらアレンの肩を叩く。

「ははっ、相変わらず無茶だったが、今日は埃が濃くて視界が悪かったな」


バーンがのんびり笑う。

「いい運動になった。今日は飯を豪華にしようぜ」


アレンは汗だくになり、軽く息を乱しながら微笑んだ。

「みんな、無事でよかったです……埃の中で回復を連発するのは、思ったよりきつかったです」


ギルドに戻る馬車の中で、ガルドがアレンの背中を軽く叩いた。

「お前がいるおかげで、俺たちはもっと無茶できるんだ。無頼の牙、悪くねえチームだぜ!」


ギルドに到着すると、ミリアがカウンターから心配そうに声をかけてきた。

「無頼の牙のみなさん、おかえりなさい! クエスト成功おめでとうございます! 傷は大丈夫ですか? 埃の影響は……?」


ミリアの緑の瞳に強い心配の色が浮かんでいる。

アレンが簡単に戦闘の流れを報告すると、彼女は安堵の息を吐いた。

「よかった……でも、今日はかなり大変だったんですね。このパーティー、どんどん目立ってほしいんですけど、無理はしないでくださいね」


その夜、『鉄の杯』で四人は少し疲れた様子で酒を酌み交わした。

ガルドがジョッキを掲げて言う。

「無頼の牙に乾杯! 今日はキツかったが、勝ったぜ!」


レオンがくすくす笑いながらグラスを合わせる。

「ふっ、埃の坑道は予想以上にしんどかったな。アレン、回復の負担が大きかっただろ?」


バーンがのんびり笑う。

「アレン、今日はよく頑張ったな。これからもよろしくな」


アレンは麦酒をゆっくり飲みながら、仲間たちの顔を見回した。

灰塵の坑道での埃の濃い戦い。

回復魔法を連発する毎日。

ミリアの心配する視線。

そして、男ばかりの熱い仲間たち。

追放されてからわずか二十四日。

無頼の牙での日々は、試練を繰り返しつつ、確実に4人の絆を深めていた。


明日もまた、回復を連打する日々が続く。

でも、今はこの仲間たちと一緒に、ゆっくりと乗り越えていける気がした。


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