24話:千変万化流の先、サバイブ・マッチの先
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これより新章の始まりです!
その日、千変万化流の道場は、珍しく活気に満ちていた。
数年前であればマティアスとその祖父の2人、今となってはマティアスだけが使う場所であったが、休日の早朝であるこの日は珍しいことに、複数人の気配があった。
「一礼して……これでええ?」
「はい、それじゃあジュンコさん、始めてください」
道場の開けた庭にいるのはマティアスではなく、私服に身をつつんだジュンコがいた。
ジュンコはペコリと一礼し、マティアスに伺いをたてた後、結界魔法で作ったガラスの如き片刃の剣を青眼に構える。
切先と視線の先には、サブマッチで使われている、人型のターゲットが棒立ちしていた。
「――っちぇりゃっ!」
掛け声と共に、一閃。
鋭く繰り出された斬撃は、ターゲットを頭から真っ二つに両断する。
塵となって消えゆくターゲット、その消滅を確認したジュンコは、剣を消し、再び一礼をする。
「ふっふっふ、これがウチの『晶花流』や!」
「「おお〜……!」」
パチパチパチパチ、と2人分の拍手と歓声が、道場の中から上がる。
道場内部では道着を着たマティアスと私服のガーネットが正座の姿勢で見学しており、今しがたのジュンコの技に感服しているのであった。
「どや! 流石に二人みたいに派手にはいかんけど、ウチの腕も中々なもんやろ?」
「ターゲットをキレーに真っ二つ! オミゴトデス!」
「頑丈な結界を、切れ味鋭い武器として扱う……面白い発想の武術ですね」
練度や身のこなしも無駄なく、ジュンコが長年培ってきた技であることが見て取れたので、マティアスとガーネットは素直に称賛する。
ジュンコは称賛されたのが嬉しいのか、頬に手を当てて幸せそうにため息をついた。
「たはぁー。素直に感心してくれる後輩がおるって気持ちええんやな。これやったら偶には動くのもええかも……」
「まあジュンコの場合、武器にするよりデカい結界を上から落とした方が強いんだがな」
「こらーデスティ! 人がせっかく気持ち良くなっとるところに茶々いれんなー!」
「くくくくっ、事実じゃねーかガゴボッ」
道場の更に奥の方、私服姿で椅子に腰かけていたデスティが飛ばした茶々に対し、ジュンコは結界で作った顔面サイズのボールを投げつけて返答とした。
デスティは何やら机で作業していたこともあり、ボールは見事直撃。
上に置いてあった紙束が幾らか宙に舞い、しかし顔面にボールをめりこませたまま、デスティは何てことないように飛んだ紙切れを素早く回収する。
「あ、あははは……」(た、確かにそれはそうかも……)
マティアスはその光景をみて苦笑いする。
普段サブマッチの会場を丸々覆いつくしている結界、それを単純な質量攻撃として落下させた方が威力が高いのは間違いなさそうだったからだ。
……そういうわけで、本日、千変万化流の道場にはマティアスの他にデスティ、ジュンコ、ガーネットの3人が来ていた。
どうしてこうなったのかと言えば、それは昨日のサブマッチ終わり際の会話がきっかけである。
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「マタ負けましター!」
「ガーネットさん。対戦ありがとうございました」
「ウウ、ありがとゴザイマス……」
アルマが来訪してから翌日以降、総合学園ではサバイブ・マッチの勢いを取り戻していた。
学園中の生徒たちがまってましたと言わんばかりに、サブマッチに参加し、思い思いの相手と競い合う毎日を送る。
その中でも連戦連勝を誇っていたのはやはりマティアスであり、昨日はガーネットからのリベンジマッチ、その4度目に見事勝利したのである。
「マティアス、なんだかドンドン強くなってマセンカ!?」
マティアスの続けざまの勝利に、ガーネットは思わず声を上げた。
それも無理からぬことだった、殆ど負け無し、そこらの生徒では相手にならないほどにマティアスはサブマッチが上手くなっていた。
勝った事があるのはガーネットぐらいなもの、しかし彼女であってもマティアスとのサブマッチでは負け越しているのだから。
「そりゃそうだ。コイツ毎晩自分の道場で練習してっからな」
「!? 自分のドージョー!? ソーなると、マティアスは無料で練習し放題!?」
「え、う、うん。確かにじいちゃんの道場だしお金を払うとかないけど……というかデスティさんもしかして僕の事ずっと監視してませんか?」
勝利の秘訣をあっさりと明かしたのは(なぜ知っているかは兎も角)デスティだった。
そう、マティアスは自由に鍛錬できる環境があり、最近はサブマッチを想定した千変万化流の鍛錬を欠かさず行っていた。
その上、総合学園ではサブマッチで名が知れているので、挑戦者とサブマッチをする回数も多い。
つまり、マティアスはサブマッチの経験値が他生徒より圧倒的に多く、それゆえに高い勝率を誇っているのであった。
この事実に、ガーネットはぷぅと顔を膨らませる。
「ズルイデス! ワタシ、練習する時いつもお金掛かけてマス!」
「まあ銃は金が掛かるからな。射撃場の使用料に弾代、その他諸々」
「う、うーん。確かに僕は毎日好きに練習できるから不公平かも……? そ、それじゃあ、ガーネットさんもうちの道場で練習する?」
「! 無料デスカ!?」
「友達からお金は取らないよ」
「ほー、そりゃ面白そうだ、俺も行っていいか? 良けりゃ明日の朝でも」
「え、あ、はい。いいですけど」
「決まりだ。おいジュンコ、明日早起きしてマティアスんとこの道場いくぞ。オメーもそろそろ身体動かさねーと技が鈍るだろ」
「えー? ウチふつーに休みたいんやけど、技なんて幾らでも鈍ってええし」
「じゃあ言い方を変えるぞ。休日ゴロゴロしてばっかだと太るグバァッ」
「…………」(無言のハリセン投擲)
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――このような、一連の会話があったためであった。
「……そういえば、デスティさんは一体何をしてるんですか? 何か読まれてるみたいですけど」
「『サブマッチ実行装置』から送られてきた戦績や情報を整理してる。ここは静かだから作業に丁度いいんだが……こういう作業は此処じゃやめた方がいいか?」
「ああいえ、別に大丈夫です。気になっただけで……あの、顔にボールがめり込んだままですけど大丈夫ですか?」
「文字が読めるなら問題ねぇ。結界は透明だしな」
「そういう問題なのかな……」
サブマッチ実行装置とは名前の如く、サブマッチを自動で運営してくれるマジックアイテムのことだ。
どうやらその実行装置は何かしらの情報を送ってきているらしく、デスティが机に広げている魔法陣を書いた布から、文字が書かれた紙が次から次へと転送されている。
デスティは紙を手にしては黙読し、読み終わったら分別して束ねているようだった。
マティアスとしては、騒がしくしなければ基本的に大丈夫という考えなので、特にデスティの行為を咎めるようなことはしない。
ただ……。
(作業しながら鍛錬用のターゲットを出してくれるって、結構すごい事だよね……)
デスティは先ほどからマティアスたちが技を繰り出す標的としてターゲットを生成してくれているのだが、この情報整理と並行して行っているので、内心凄いと驚いているのであった。
意思のみで魔法を行使するマティアスでも、例えば勉強しながら精巧な魔物の姿に変身することは難しいのだから。
「まったく人を鍛錬に連れ出しといて自分は作業するっちゅーか……。マティアスくん、デスティに文句があったら遠慮なく言ってな、ウチがいつでもボコしたる」
「既にボコしてませんか……? だ、大丈夫ですよ、デスティさんには助かってますから。道場の木人は古くてガタがきてて、サブマッチ用のターゲットが無かったら向かいの山しか技をぶつけるものがありませんし」
「え? 向かいの山ってこの岩壁? 崩れたら危ないとちゃう?」
「え、どうでしょう? いつもぜんぶ吹き飛ばしてますから、そんなに危険だとは思いませんけど……?」
「山崩れ以上にマティアスくんの方が危険やったな……」
「! ハイハイ! 次はワタシ鍛錬ヤリマス! ワタシだってスーパーな魔弾デ、全部ブッ飛ばしてミセマス!」
「おおうガーネットちゃん対抗心を燃やしとる。……えっと、ウチらこれ下手すると崖崩れに呑まれんよな?」
「大丈夫ですよ、万が一撃ち漏らしたら僕が全部処理しますから!」
「怖いわーこの可愛い後輩二人……」
そんな、和気あいあいと言った様子で、マティアス達は物騒な鍛錬を再開するのであった。
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「――お疲れ様です。ガーネットさん、お見事でした」
「ウーン! スッキリ! 此処は空気もオイシイですし、最高の練習場所デスネ!」
「やっぱガトリング砲おっそろしーわ……。なんもかんも粉みじんになってもうた……」
「くっくくく、いーい壊しっぷりだったな。マティアス、崖は俺が戻しておこう」
「デスティさん。ありがとうございます」
「場所代だ、気にすんな」
時間は進み、道場前の崖は原型を留めなくなる程に破壊しつくされることとなった。
こうなると魔法で元に戻すまで大技は使えないので、後はデスティ任せて、マティアス達は休憩することにする。
「……マティアス、マティアス。チョット気になる事があるのデスガ」
「? どうかしたの?」
「ドーして鍛錬の前ト後に、礼を挟まないとイケナイのデスカ?」
「あ、それ、うちも気になっとった。あれどういう意味があるん? 道場入る前も一礼しとったし……」
道場の床に正座で座り休憩していると、マティアスの隣で同じく休んでいたガーネットとジュンコが、そんなことを聞いてきた。
確かに、マティアスは道場で鍛錬を行う際、随所で「道場に入る前は一礼してください」とか、「技を撃つ前と後には一礼をお願いします」などと作法について細かく指示していたのだった。
ジュンコとガーネットは「とりあえずやっておこう」というつもりで従っていたが、やっていくうちにその理由を知りたくなったらしい。
「ああ、あれは『礼節』を学ぶための、いわば作法です」
「「礼節?」」
取り立てて隠すような事でもなかったので、マティアスはその理由を話すことにした。
「僕の師匠であるじいちゃん曰く。『礼節あってこその武、相手を尊重する心なくば、力はただの暴力であり、暴力は人を魔物に変える』」
「これは、千変万化流は身体を魔物に変えて戦う武術ですから。何よりも先に礼節を学んで、むやみに力を振りかざすことのない精神を持つこと。そうしないと、力に溺れて魔物そのものになってしまう……という意味です」
「だから練習する道場に感謝の一礼を。練習に付き合ってくれる人たちに感謝の一礼を。この一礼を介して、礼節を実践しつつ鍛錬をするというのが、この道場、ひいては千変万化流の掟なんです」
祖父から一番初めに教わった「礼節」について、マティアスは大切に、そして懐かしむように語る。
この礼節を重んじる姿勢あったからこそ、今の自分が存在しているといっても過言ではない、そう思っているからであった。
「オオーッ、そーゆー格好イイ意味がアッタのデスネ!」
「えらいしっかりした掟やな。マティアスくんの爺ちゃん、なんか凄い礼儀正しそうな人っぽい」
「そうですねー……じいちゃんはまず厳しい人でした。普段は優しくて、若いころはやんちゃだったって言ってましたけど……道場で人に教える時は礼儀とか作法とか、それはもう厳格にビシバシと……」
「オオゥ、マティアスの目かカラ光が消えてマス」
「あー……マティアスくんがお利口さんなの、なんか分かった気がする」
「お陰で今でもバッチリ指導の内容は覚えてます。偶に指導される夢を見て飛び起きることもあるんですけどね……あははは……」
なお、今に至るまでのきびしーい鍛錬については、半ばトラウマじみたものとなってしまっていたが。
とはいえそれは仕方ない事だとマティアスも理解している。
千変万化流は千の魔物を屠る技、生半可な心持ちで習得していいものではないのだ。
「なるほどな、オメーの爺さんは武術を教育としてこの世に残そうとしてたわけだ」
「武術を……」
「キョーイク?」
「鍛錬や礼儀作法の指導により、武術を通し健全な精神を育むと喧伝すれば、子供に学ばせたいと思う親もいるだろ? そうやって千変万化流を広めるつもりだったんだろうな」
すると、山の再生を終えたデスティが、なるほどと言った様子で話に参加してきた。
武術を教育として、というくだりにジュンコとガーネットがいまいちピンときてない顔をしていたため、さらに補足する。
「そうですね、デスティさんのいう通りでもあります」
「ナルホド、それは賢いなやり方デスネ!」
「はえー、マティアスくんの爺ちゃんも色々考えとったんやなぁ」
続きを話してやっと、ジュンコとガーネットも理解したらしい。
千変万化流は確かに、古い時代、魔物との闘争の時代で生まれた武術である。
要するに、平和な時代で必要性が失われつつあっても、流派を残そうとする祖父の意思を礼節の中に見たとデスティは言っており、実際にそれは正解だった。
「ただ、ちっとも弟子は増えませんでしたけどね……」
そう上手くはいかなかった、ということだけを除いては。
「そういや、もうこの道場はマティアスくん1人しか通うてないって言うとったな……」
「はい、でも仕方ないところもあります。だって千変万化流は『間引き』には使えませんから」
「エッ、間引きに使えナイ? ソレじゃ、サブマッチ以外に使う場所がナイじゃないデスカ?」
魔物を殲滅するための力が、唯一活かせるといってもいい職業なのが、特区で魔物を狩ることを生業とする『間引き』である。
しかし千変万化流は「修得者は間引きの職で技を使うべからず」という掟が存在していたのだった。
「わからねーな。余裕で使えるだろ、少なくとも威力に関しちゃ十分だ」
デスティはマティアスの言葉に首を傾げる。
これまでの活躍からして、マティアスの千変万化流は、他の魔物の軍勢を屠る力を比べて遜色ない威力だ、少なくともデスティはそう思っていた。
「威力の問題じゃなくてですね……」
だというのに、千変万化流は間引きには使えない。
その理由はというと。
「千変万化流は魔物に変身するせいで、他の人達から間違われて攻撃されるんです」
「「「あー……」」」
「ちなみにじいちゃんが間引きを引退した原因もソレでした」
なんとも悲しい事情であった。
特区では野生の魔物が大量にひしめき合っており、そんな中で魔物に変身して戦っていれば、確かに人から間違えられて攻撃されることもあり得ない話ではなかった。
「合点がいった。間引きで使うと自分が危ねーから、教育として残そうとしたが……結局、間引きに使えねーからこそ、弟子は増えなかったってことか」
「……はい。じいちゃんも道場を開いた最初は弟子を取ることに積極的だったみたいですけど……僕が弟子入りした頃にはすっかり諦めてました」
「世知辛い話や……」
「勿体無いデスネ。こんなに広い道場があるノニ」
いくら健全な精神を育むと喧伝しても、使い所の無い武術を覚えるより、使える武術を覚えようとする人間が多いのは事実。
そういった理由で、千変万化流に弟子入り志願する人間は全くといっていいほど現れなかったのだった。
「ま、安心しな。後継者はオメーがサブマッチで活躍すりゃわんさか湧いてくる」
「そ、そうなんですか?」
重くなってしまった空気を払拭するように、デスティは後継者問題など大した問題ではないと、愉快そうに笑った。
「たりめーよ。しかもスターになりゃ国中を思うがままに出来ると言っても過言じゃねーぞ。国民全員がオメーに憧れて、千変万化流を会得しようと押しかけてくるだろーぜ」
「いやいや、流石にそこまではならないんじゃないでしょうか……?」
「いーやなるね、スターの影響力ってのはそんだけあるもんだ。例えばガーネットがスターになったとしたら、国民全員が銃を持つようになってこの国はガンマンの国になるぞ」
「マティアス、スターの座を賭けて今度サブマッチしまショウ」
「ガーネットさん目が怖いよ!? いや挑戦は受けて立つけど!?」
「こらデスティ、無駄にガーネットちゃんを焚き付けんなー」
デスティの言葉にガーネットは目の色を変えて、マティアスに宣戦布告をする。
よほどガンマンの国が魅力的だったのだろう、直接対決すら厭わないその瞳にマティアスは戦々恐々とする。
「くっくく。ま、些か大袈裟に言ったがあながち間違いでもねー。千変万化流を後の世に残したかったら、何はともあれサブマッチだ」
「千変万化流を、残す……」
デスティの言葉をマティアスは反芻する。
マティアスは、祖父にかつて問うたことがある。
「自分以外にも弟子が増えたら、嬉しいか」と。
祖父は「嬉しいが、無理に増やそうとは思わない。千変万化流には先が無いのだから」と答えた。
だがいまなら、サブマッチという先がある。千変万化流を誰かに伝授する意味が存在している。
ならば、祖父と千変万化流に救われた自分はどうしたいのか。
「どうだ? スターになる理由が増えたか?」
「……はい。僕、サブマッチで勝ち続けます。じいちゃんと千変万化流に恩返しするためにも」
「くっくく、いい心がけだ」
千変万化流を後の世に残す。
マティアスは改めて、サブマッチの頂点に立つ決意を固めるのであった。
「さて、場もいい感じに温まったところで、だ。ここらで今後の展開について話すぞ」
話がひと段落したところで、デスティはパン、と手を叩きいて話を切り出す。
「なんやデスティ突然に」
「なに、ちょうど最有力候補の2人が揃ってるんでな、サブマッチ大流行の引き金となる『大規模サブマッチ』について、先に話しておこうってワケだ」
「あー、そゆことか」
「?」
「あの、大規模サブマッチってなんですか?」
デスティの言葉にジュンコは1人納得する。
しかし、マティアスとガーネットは話の内容がよくわからなかったので、マティアスはデスティに質問した。
「チームを組んで行う団体戦形式のサブマッチだ。とびきり強え奴が複数人必要なうえ、規模も段違いに大きい」
「ウチら振興委員の常套手段や。流行を引き起こすんやったら、こういうデカいサブマッチを1発やるのが手っ取り早いんよ。……まあ、結界係のウチは疲れるけど」
「なるほど」
「ソレでワタシ達に話デスカ。お目が高イデスネ」
「くっくくく……。そう、オメーらが選手として出てくれりゃ成功間違いなしだ」
「デスティさん、是非僕もそのサブマッチをやらせて下さい」
「そう言ってくれると思ったぜ」
先ほどの会話もあって、マティアスとガーネットは非常に乗り気になっており、話に食いついた。
そんな2人を見てデスティがめちゃくちゃ悪そうな笑みを浮かべているので、ジュンコは「この話するために焚き付けたなコイツ……」と呆れた視線を向ける。
「これでマティアスとガーネットには話がついたな、あとは武闘学校と、魔導学校の連中もチームに誘えば完璧だ」
「えっ、アルマさん達ともチームを組むんですか?」
「オゥ、ドリームチームなのは燃えますケド、流石にカジョー戦力だと思いマス」
どうやらデスティは、他校にいる強者達もマティアス達と同じチームに参加させるつもりらしい。
魔導学校のサブマッチャーについては詳しく知らないものの、アルマまで味方につけば敵う相手などどこにもいなくなるだろう。少なくともマティアスとガーネットはそう思っていたが……。
「んなこたぁねーよ。いいか、オメーらの相手は――」
デスティは一呼吸おいてから、対戦相手について答える。
「――『間引き』の連中なんだからな」
それは、魔物狩りのプロフェッショナルにして、このダルコ州における最高戦力集団であった。




