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不思議道具作成者  作者: スター
第1章 幻想への慣れ
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第二話

いつまのにかPvが10000を、総合評価が100を超えていました。応援ありがとうございます。今回は理術の説明が入ります。それと少し長いです。

 ブレナ╾╾それがこの都市の名前か╾╾


 「おい、早く街に入るぞ」

 「ああ、分かった」


 そうして俺はべイルと共に街に入った





 「なんかのんびりした感じの街だな……」


 この街の人々はなんというかおっとりとした雰囲気の人が多い感じがした。


 「ところでセーサ、お前にこの街の宿を紹介しようかと思ったが金はもってるのか?」

 「え、あ!?しまった、無い……」


 そういえば金は無かったんだ。どうしようか。


 「悪いが俺は貸せんぞ、この金が必要な奴がいるんでな」


 う、さすがにそこまで優しくはないか……


 「だがまあそのままってのも気の毒だから寝る場所は貸してやる、その代わり、いる間は仕事を手伝えよ」


 おお!寝る場所は確保できそうだ!良かった、手伝うくらいなら問題は無い。


 「もちろんだ。俺に手伝えることがあったら何でも言ってくれ!」


 「お前……最初にあったのが俺じゃなかったら食い物にされてた気がするぞ……」


 それは言わないで。





 「ここだ」


 着いた場所はやけに大きい建物だった。でもなんだろう。なんかの施設っぽい雰囲気が漂うな。


 「おお、べイル!帰ってきたか!む、そちらの方は誰だ?」


 門が開いたかと思うとお年寄りが現れた。でもまだまだ元気そうな感じだ。


 「院長、無理に出歩くとまた腰痛めるぞ」


 「なんの、これくらいの運動なら全く問題な「グキッ!」グウゥっ!?」


 あ、今変な音がしたな。


 「たく、無理するからだ、さあ入るぞ、セーサも早く」


 そう言いながら院長と呼んだ老人を中へ連れて行くべイル。


 「あ、ああ分かった」


 俺は彼らに付いて行った。




 「いやあ、お見苦しい所をお見せしましたな。わしはこの孤児院の院長をしておりますグエルと申します」


 「あ、どうも。俺は旅をしております、セーサと言います。よろしくお願いします」


 この老人はグエルと言うのか、ちゃんと覚えておかないとな。とういうか孤児院だと?


 「その顔だとなぜ俺が孤児院に連れてきたのか分からないようだな」


 う、顔に出てたか。


 「俺はこの孤児院で育ったんだ」


 「え?べイルって孤児だったのか?」


 「ああ、物心ついた時にはこの孤児院にいてな、なんでも赤ん坊の時にここの前に置かれてたみたいなんだ。だから親の顔なんて知らん」


 ひどいな、赤ん坊を捨てるなんて。でも孤児院の前だっただけまだマシか、世の中せっかく産んだ我が子を殺す親もいるし、それに比べればまだ……いや、でも……


 「いや、そんな複雑な顔をするな、今は別に気にしてねえし、向こうにも事情があったかもしれないしな。それにこうして俺は立派に元服できた。それで良いと俺は思ってる」


 おお……すごいな、こうして割り切れるのって。でもそう言えるようになるまではかなり辛い思いがあっただろうな。ん?そういえば元服っていってたよな?


 「べイル、お前年はいくつなんだ?」


 「はあ?何言ってんだ?元服したって言っただろ、15歳だよ」


 げ!俺よか年下だったのか!


 「そ、そうなのか、ちなみに俺は21歳だ」


 「何!?お前、俺よか年上かよ!」


 凄い驚かれた。同い年だと思われていたのだろうか……


 「あ、そういえば話がずれてないか?孤児院のあたりから」


 「ああまあそうだな、一先ずこの話は後にしよう、でだ、この孤児院、最近独り立ちした奴がいるから少しスペースが空いてる。なんでしばらくは住んでも大丈夫だ。で、さっき言ったように俺の仕事を手伝ってもらう。こんな感じだ」


 「うん、それで良い。というか頼む」


 というわけでしばらくこの施設でお世話になることとなった。




 「なあべイル、お前の仕事ってなんなんだ?」


 「そうだな……着けばわかるさ」

 俺はべイルの仕事を手伝うために一緒に街を歩いていた。


 昨日孤児院に泊めてもらうこととなった俺は早速食事作りを手伝わされた。ちなみにその時、べイルは仕事の報告をすると言ってしばらく出かけていた。なお、俺は夕飯作りに忙しく、あまり気にすることが出来なかったが。

 そうして院の子どもたちと騒がしく食事をしていた時にべイルは帰ってきた。ただ気になったのは、飯を院長などと作った時に一人分多かったのだ。それをべイルは帰ってきた後、どこかの部屋に持って行っていたのだ。聞こうかと思ったが事情があるだろうから黙っておいた。


 「ここだ」


 と、そんな事を考えている間に到着したようだ。見た感じ何かの施設に見えるな。


 「ここがべイルの仕事場か?」


 「ああそうだ。ここは理術協会って言う所でな、俺はここで働く理術士だ」


 理術協会……そんなモノがあるとは。理術とはかなりメジャーな存在っぽいな。やはり早く理術のことを知っておいた方がいいかもしれん。


 「お前はここで働いているのか、どんな仕事をしてるんだ?」


 「そうだな……食物の新鮮さを保つために保冷用の氷を作ったり、水の運搬などだな」


 「理術ってのを使ってか?」


 「そうだ。ああそういえばセーサは理術を知らないんだったな。後で見せてやるよ」


 そして、仕事の手伝いが始まった。





 べイルはまず上司と思しき人物から何かを指示され、外へ向かった。どうやらここでは仕事の指示を受けるために来たようだな。もちろん俺も着いていく。

 着いた先は倉庫がたくさんある場所だった。


 「おおべイル、待ってたぜ。ん?そいつはなんだ?」


 倉庫の近くにいた男が声をかけてきた。誰だ?


 「ああ、ムエルさん。こいつはセーサ。しばらく仕事の手伝いをしてもらうことになったんだ」


 「へえ、成程な。おいセーサっていうのか?俺はムエル、よろしくな」


 「あ、はい、よろしくお願いします」


 「じゃあべイル、いつもの仕事を頼むよ」

 

 「分かった。じゃあセーサ、手伝ってくれ」

 

 「了解、何すればいいんだ?」


 「すぐ分かる」


 そうして俺たちはムエルさんに倉庫の後ろまで案内された。するとそこにはドラム缶並みの大きさの樽がいくつもあり、その中には水がいっぱい入っていた。


 「セーサ、理術について知らないと言っていたよな」


 「ああ」


 「これからその理術を使って仕事をするからそのついでに説明してやる」


 こうして仕事を手伝いながらの理術講座が始まった。


 「まず理術というのは“制定言語”と呼ばれる言語を用いた呪文を組み、それを詠唱することで発動する」


 「うん、それは昨日見た。というか制定言語なんてもんがあるのか」


 「ああ、理術を発動するための大事な要素(ファクター)だ。この制定言語の組み方で術の方向性が決まる」


 「というと?」


 「制定言語は単語のどれを呪文の頭文字にするかで術の属性が変化するんだ。例えば俺が使った術のように〈Irow〉だとIを頭文字にすることで氷属性の術になるって感じだ」


 おお!いかにも魔法って感じだ!……あれ?Iって。


 「なあべイル」


 「なんだ?」


 「その制定言語ってさ、ひょっとしてABCDEF……って感じの奴だったりする?」


 「!まさにそれだよ!なんだお前知ってんじゃねえか」


 「いや、俺の故郷によく似た言語があるもんでな」


 「へえ、もしかしたらお前の故郷は言語は伝わったけど使い方が確立されなかったのかもな」


 「そ、そうかもな」


 「(いや、なんでだよ、なんでアルファベットが魔法を使うための特殊言語になってんだよ)」


 こういうのって普通ルーン文字とかが良い気がするが……


 「(まあ良い、こういうこともあるだろう。とりあえず今は理術のことをもっと詳しく聞いておこう)」


 「ところでさ、さっきの呪文、昨日は〈Alum〉ってのを最初に付けてなかったか?」


 「ああそれはな、組み合わせたんだ」


 「組み合わせ?」


 「制定言語はどれを頭文字に置くかで属性が変わる。だけど高度な現象ほど様々な要素が入り混じっていたりするわけだ、そういう時に属性の組み合わせを行う。〈Alum〉は水を界力から生み出す術で、〈Irow〉は氷の矢を生成する時に使う。この時、氷を形成するのに使う水分は大気中から集めるんだが急いで撃ちたい時や水分がカラカラの時には間に合わなかったり、使えなかったりするわけだ。そこで組み合わせが意味を持つ。〈Alum〉で水を生成し、〈Irow〉でそれを元に氷の矢を形成する。呪文を組み合わせることでこれらの手順を同時に行うことができるんだ」


 「成程、単体では効果が小さいものを組み合わせることで効果を高めるというわけか、ところで今出てきた界力とはなんだ?」


 「それも知らないのかよ!界力ってのはこの世界に満ちるエネルギーでな、万物に宿る力のことだ。まあ、わかりやすく言うと理術を使うための動力だと思えば良い」


 成程、いわゆる魔力って奴か。


 「でだ、俺の仕事ってのはこの理術を使ってやるものでな。俺がよくやるのは氷を作る仕事だ」


 「ああそうか、氷を操る理術を使って氷を作ったりするわけか」


 「そう、今からやるので見ててくれ」


 そう言ってべイルは水がたっぷり入った樽の前に立った。


 「〈Ix〉」


 そう唱えると同時に入っていた水がみるみる内に凍り付いていく。やがて樽の中の水は完全に氷になっていた。


 「すげえ……」


 「まだだ、〈Iban〉」


 今度は別の呪文を唱える。すると。


 パァァン!


 樽の中の氷が割れ、一つ一つがそれなりの大きさの破片になった。


 「これで出来上がりだ」


 「なんで割ったんだ?」


 「そうだな。大きな塊をそのまま置いておくよりも破片にした奴を食物の周りに敷き詰めた方が保冷力が高いからだそうだ」


 「へえ、ところで今使った呪文は?」


 「〈Ix〉は水を冷却して氷の塊を作る術、〈Iban〉は氷を破裂させる術の呪文だ。ちなみに理術は発動の際に注ぎ込む界力の量を調節することでその規模を変えることが可能になっている」


 「ああ、だから氷を割る呪文の威力が昨日と違ってたのか」


 本人の意志で出力調整が出来る辺り、すごい便利だな。俺も今度詳しい使い方を教えてもらおうかな。


 「さて、セーサ。ここからがお前の仕事だ。この割った氷を倉庫の中の食物の辺りまで運んでくれ」


 「え、これを?」


 「もちろん。普段は俺が運搬用の理術で運ぶんだができれば界力は温存しておきたいんだ。作った氷の分だけ手取りが増えるんでな。というわけで頼む。お前にも分け前はやるからさ、な」


 「う。わ、分かった……」


 というわけで俺は氷が入った樽を運ぶことにした。いやあ、バットの身体能力強化をこっそり使ったがそれでもきつかった。べイルが氷を作っては俺が運ぶという作業を日が暮れるまでこなした。その後やってきたムエルさんはありがとうな、と言って報酬をくれた。俺はべイルからいくらかの分け前をもらい、孤児院に帰ることとなった。



次回もお楽しみに。

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