42.獣剣のパーティー登録
「美味いな。ショウヤって料理の腕前も見事じゃあねえか」
「お褒めいただき感謝しますが⋯」
「お兄ちゃん⋯、本気なんだね?」
「ああ、本気だ。パーティーに入る」
あれから、クエストの達成を済ませて、とりあえずキャリメラの家に俺たちは帰って一夜を過ごした。そして、今はみんなで朝食にしていた。
「お前らがただ純粋なパーティーとして一緒に暮らしているみたいだったからな。それにリンクスたちもショウヤに懐いているようだからな」
「当たり前でしょ。それにショウヤには好きな人いるんだから。」
「キャリメラ⋯。毎回それ言われると⋯さすがに恥ずかしい」
最近のキャリメラは【俺には好きな人います】で納得させようとする。俺は恥ずかしがっているとビスターは────
「なんだ。尚更、気にして損した。」
キャリメラの一言で誤解が一瞬で消えた。一応、信用してくれたようだ。
「誤解が解けたなら、パーティーに入る必要無いのでは⋯?」
「たしかに誤解は解けた⋯だが、こんな料理も食べられるし、楽しそうだと俺の直感が言ってる。」
「直感って⋯」
「良いんじゃない? お兄ちゃんは勘が良いし、実際今楽しいし。」
キャリメラはビスターの勘は鋭いみたいだ。それにパーティーが増えることにデメリットは無いし、いい経験になるかもしれない。
「⋯リーダーであるキャリメラがそう言うなら、俺もパーティーの一員として歓迎します。」
「おうよ。じゃあレオポルたちの毛を梳かして、ギルドに登録しに行くか」
「そうですね。⋯でも、まずは朝食をしてからです」
それから朝食を終え、獣舎へ向かった。毛を梳かしている間に、ビスターが聞いてきた。
「ところでショウヤ⋯」
「はい、何でしょう?」
「好きな人って⋯マリネアか? よく世話になってるみたいだが⋯」
俺は疑問に思いながら、本心で答えた。
「? マリネアさんは素敵な人ですが、好きな人は別にいますよ」
「そうか⋯」
ビスターはどこかほっとしていたようで、レオポルの毛を上機嫌に梳かしていった。レオポルも気持ちよさそうにしていた。
────
そして、俺たちはルナの背に乗ってギルドに向かった。他の獣たちはクレインとカルタノを連れていく。レオポルがいないのが気になって、ビスターに聞いてみた。
「レオポルは一緒ではないんですね?」
「あいつは森の中で動くのが好きでな。こういった街中じゃ、落ち着かないんだ。だから、討伐のクエストとかの王都外での活動に呼ぶようにしているんだ」
レオポルは自然の中でのびのびしたい獣のようだ。でも、キャリメラの家にもいるということは、よっぽど気に入っているんだろう。
「なるほど、そうだったんですね。⋯⋯そろそろ着きますね」
そして、俺たちはギルドに着き、ルナたちを外で待ってもらった。
俺たちはギルドに入り、マリネアさんに挨拶した。
「おはようございます、マリネアさん」
「おはよう、マリネアお姉ちゃん」
「はい、おはようございます。協奏のお二方、昨日はご苦労様です。ビスターさんもおはようございます。」
「はい、おはようございます。マリネアさん」
ビスターの言葉に妙な柔らかさを感じたが、俺たちはパーティー登録を頼んだ。
「マリネアさん、ビスターさんを獣導の協奏に登録する手続きをしたいのですが⋯よろしいでしょうか?」
「わかりました。⋯では、こちらにビスターさんのサインをお願いします」
マリネアさんが用意されたパーティー登録の書類にビスターがサインを書いた。マリネアさんに書類を渡し登録完了した。
「書けました」
「はい、たしかに⋯。それではビスターさん、獣導の協奏のメンバーとしてこれからも頑張ってください」
「ああ、頑張っていくぜ」
ビスターの口調が戻っていると思うが、やっぱり柔らかく思う。そんな事を考える俺にマリネアさんが声をかける。
「ショウヤさん、また夕食ご一緒しても構いませんか?」
「俺はいいけど⋯キャリメラもいいのか?」
「うん、もちろん」
「ちょっと待て⋯また?」
マリネアさんが夕食を食べに行くことになったが、それにビスターが驚きながらも俺に問い詰める。
「ショウヤ、お前いつもマリネアさんと食事しているのか? どうなんだ⋯」
「ああ⋯うん、そうだね。一緒に食べてるね⋯うん。マリネアさんが俺の料理を気に入っちゃたみたいで⋯」
「たしかに、お前の料理は上手いけど⋯」
俺が説明をしたが、ビスターはどこか納得いかないようで言葉が詰まる。そこにマリネアさんが話に入る。
「まあまあ、ビスターさんもいるのならレオポルにも会いたいし、いいでしょう?」
「お、おうよ。来るんなら来な。俺も歓迎するぜ」
マリネアさんはビスターの扱いに慣れているようだった。マリネアさんのおかげで、食事に関しての疑問は一時的に治まったようなので本題に入った。
「では、改めて夕食は参加なされるということで了解しました。では、クエストを受けましょう。ではマリネアさん、また夕食で⋯」
「はい、お願いしますね」
俺たちは、雑用系のクエストを二つと討伐クエストを一つ受けることにして、ギルドを出る。出た瞬間、ビスターが────
「うっしゃー、クエストを終わらせて、夕食を楽しもうぜ」
「そうだな、今日もクエストをやりこなして楽しい夕食にしよう」
「うん。今日も楽しみにしてるよ、ショウヤ」
ビスターの気合全開の言葉に、俺たちは鼓舞された。まず手始めに俺たちは、雑用系のクエストの依頼のあった市場に向かった。




