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聖女のおまけ転移のち処刑フラグなので鬼の旦那と逃亡しました  作者: 蔵前


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5/10

おまけは巨石群と出会う

聖女召喚が成功し、モエギや王族達の姿が消えれば、あっという間に騎士達だってどこぞに去って行った。

私は完全に一人きりになっているのに、それでも召喚陣の上で膝を抱えて座っていた。逃げなきゃ、と思うのだが、立ち上がる勢いや力が出ないのだ。


だってここはどこ? どこに逃げればいいの?


「どうしようどうしようどうしよう」


ガチャン。


鍵がかかる音が聞こえた。

あ、閉じ込められた?


呆然としちゃったからか、私は無意識に立っていた。

だってここ、窓もない石造りの塔の中みたいな感じよ。

鍵をかけられた扉が、唯一の出入り口だったハズ。


どうしよう、どうしよう。サッサと逃げとけば良かったああ。


もう後の祭り、地団太を踏むしかない。


「ああもう、神様仏様!!必ず猫飼いますからお願い助けて、NNN(ネコネコネットワーク)!!」


天井を仰ぎ見た私の視界には、丸い星空があった。

石造りの広間の天井にはなんと、星空があって星空を魔法陣が囲んでいた。

一瞬それも魔法で天井の魔法陣が光っているのかと思ったが、温室みたいなガラス天井の支えの金属が魔法陣の形で、そこから本物の星空が見えているだけであった。


「シリウスみたいにこの世界でも魔の星みたいなのがあって、その星の輝きが魔法陣の中心に来たら始動するとかあるのかな」


前の世界でもそんなに天体には興味はなかったので、私には星が見える天井はキレイだな、としかわからなかった。

わかるのは、ガラス天井と星のお陰で窓もないここが真っ暗にならなくて良かったってことだけ。だあれもいなくなった石造りの部屋に取り残されて真っ暗闇だったら、石棺に閉じ込められた感じで今よりもっと心細くなってただろう。


「疲れた」


私は再び床に腰を下ろしかけ、部屋の中の様子が変わっていると気が付いた。


「あれ、ぜんぜん無い」


光っていた魔法陣などあった事さえ疑わしいほどに、何も無い灰色で無地のつるつるの床となっていた。


「消えてる。どうして?」


「ぎゃああああああああああ」


「何、今の悲鳴、何?」


見回すが、当り前だが窓はない。

私は扉の方へと急ぐ。

それで何をするかと言えば、扉に耳を当てて外の様子を探る、である。

いくらなんでも断末魔みたいな悲鳴を聞いて何もしない、という選択はない。


…………。

…………。


「何も聞こえない」


扉の向こうは完全に人気が無いのだろうか。

もしかして、扉が分厚いから何も聞こえないだけ?

だったら、私もステータスオープンしても?


いやいや、あのブンって音が魔力持ちには聞こえる音、とかだったら、私がここにいるってバレちゃうんじゃない?

それでバレてつかまって、王子と女王の前に引き出されて。


「この女は悪魔です!!なんて、モエギが言ったら詰むな」


どうしよう?

とりあえず私は次にこの部屋の扉が開いたら、「スキル隠密?」を自己暗示でかけて逃げよう。でもどうしたらアレが出来たんだっけ?

私は体育座りをして膝を抱える。

それでそのままお尻を使って動いて見る。


…………。


「うん、お尻移動では進めないし逃げられないのわかった。どうしよう?」


高校で陸上部に入っているけど、本格的じゃないし、私の専門は高跳び。

……使えない。

ほんっと、どうしようか。

破れかぶれで、ステータスオープンしてみるか。


「すて」

「ここは本当に安全なのか?」


!!


「召喚が終わったと騒いでいた。今夜は宴だ。入り口がここだけで窓も何もないこの場所に、わざわざ足を運ぶ奴はいないはずだ」


「けどさ、グレ」

「いいから!」


ガチャ。


え、鍵開いた? で誰かが入って来る?

ええと、今まさに中に入ろうとしている人達が入った隙に外に出る?

私は扉のすぐ横に両手をついて片膝を落とす。


オンユアマークス。


「本当に大丈夫か?」


セット。


「今は逆にどこも出られないじゃないか。ガイが動けないんだ」


開いた扉からは、まず巨体の男。その男がドアを支え、その横を何か大きな荷物を担いだやはり大男が通り抜けようとしたそこを狙って。


今だ、ゴー!!


「宴で誰もが寝静まった後、裏門抜けて脱出する――ぞ?」


「どうした? グレン」


「さあ。なんかいたから掴んだんだけど、その何かが見えない、で、暴れている」


捕まった、殺されるぅ!


この二人はここに立ち並んでいた騎士達と同じ服装だった。

でも、私が見えてないのに、どうしてピンポイントで襟首掴めるの!

それでぶら下げてくれるから、首が、首がしまるううう!


「いいから早く扉を閉めてくれ。ガイ兄さんを早く横にしたい」


「ああ」


私の目の前で、無情にもドアは閉まる。

それで暗闇になったけれど、おかしいな。


ここは窓もないけど星明りで完全に真っ暗闇じゃなかったはずなんだけど。

ほら、大男が担いでいた荷物、それがやっぱり大きな男性だったなって、私は見たと思ったんだ。なのに真っ暗。


「グレン、それ女の子だあ! 死んじゃう、死んじゃうぞ!!」


あ、死にそうなのか、私。

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