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13-1 再び火を吹く長島

火の粉は消えぬ――

長島をめぐる戦は、なおも続く。

赤井輝子の再布陣、北条早雲の決断、渡辺綱の覚悟。

それぞれの立場と思惑が、再び伊勢の地に集う。

■赤井輝子隊ふたたび長島へ


赤井輝子隊の副将は、大祝鶴おおほうりつる太田牛一おおたぎゅういち


大祝鶴は、瀬戸内海・大三島を本拠とする、大祝家の出身。わずか十六歳で一族の水軍を率いたとされ、西国の大内氏と戦って大軍を幾度も退けた逸話を持つ。物静かな佇まいの奥に秘めたる闘志は、隊長である赤井輝子にも劣らない。


太田牛一は、かつて織田家に仕えた弓術師範であり奉行でもあった。信長の行動と言葉を克明に記録した『信長公記』の筆者として、後世では歴史家として名を遺すこととなる。彼は、織田の戦略と信長そのものを知る存在として、頼朝軍に未来から召喚された人物であった。



一度は織田軍を退けた頼朝軍であったが、信長はなお執念を捨てていなかった。新たな大軍が、ふたたび伊勢・長島に向けて動き出していた。


輝子「…ふん。長島城が諦められなかったのか、長島城が手薄になるのを待ってたのか、どうなんだろうねぇ。

どちらにしても、遊び足りなかったってことさ」


輝子は、不敵な笑みを浮かべ、傍らの副将たちに檄を飛ばした。


輝子「鶴姫、牛一殿――覚悟はいいね!」


鶴「ふふ。私たちとだけ戯れる織田の部隊は、幸運でございますね」


赤井輝子の部隊は、清州城の新兵たちで構成され、兵数も岐阜城や那加城ほどの規模にはいたらない。それでも自らの部隊よりも、明らかに兵数で勝る敵を前にして、大祝鶴は微塵も動じる気配を見せず、静かに応じた。

太田牛一もまた、冷静に付け加える。


牛一「大垣城と岐阜城からの援軍の到着まで、長島を守りきれたら、我らの勝ちでしょう」


輝子「あはは!肝が据わってるじゃないか!あんたたちの、その言葉を待ってたよ!」


輝子は、満足げに頷くと、再び長島城へと馬首を向けた。


輝子「……まったく、織田ってやつは。今度こそ、きっちり思い知らせてやるさ!」


挿絵(By みてみん)




■大垣:早雲と頼光の軍議


織田軍の再侵攻の報は、北条早雲の大垣城、そして岐阜城のトモミクの元にも届けられていた。


岐阜城では、ようやく武装を解きかけていたトモミク隊が、その報に接するや否や、再び甲冑を身につけ、出陣の支度を始めていた。


トモミク「皆様、再び長島へ向かいます!どうかお力を貸してくださいませ!赤井様を救い、長島を守り抜きましょう!」


挿絵(By みてみん)



一方、大垣城では、北条早雲隊が、城へ帰還したばかりであったが、直ちに源頼光、渡辺綱を呼び寄せ、軍議を開いた。


早雲「…聞いた通りじゃ。またしても、あの信長が、大軍を長島城へ仕向けておるらしい」

清州から戻る途上の赤井殿が、急ぎ引き返し、今はひとりで長島を守ろうとしておるそうじゃ。だが、さすがに清州の部隊だけでは、ちと心許ない。助けねばなるまい」


早雲は、苦々しげに言った。


早雲「幸い、我らがここから急ぎ南下すれば、まだ間に合う。岐阜城のトモミク隊とも連携できるじゃろう。兵糧は心もとないが、収穫までにはもう少し。なんとかもつであろう」


挿絵(By みてみん)


早雲は頼光と綱、二人の顔を順に見据えた。


早雲「ただし……わしは、この後那加城に向かい、頼朝殿と大事な話をせねばならぬ。すまぬが、今回の出陣は、頼光殿か、綱殿、どちらかに頼みたいのじゃが……」


それを聞いた源頼光が、ゆるりと口を開いた。


頼光「早雲殿、此度の援軍は、渡辺綱わたなべのつなに任せるのがよろしかろう。先の戦では、思う存分槍を振るう機会も少なかった。身体が疼いておるはずじゃからのう。

…どうじゃ、綱」


綱「はっ! ありがたきお言葉!」


渡辺綱は即座にひざまずき、声高らかに応えた。


綱「此度はこの綱めが、四天王としての意地、存分にお見せいたします!」


深々と一礼し、綱はそのまま駆けるように軍議の間をあとにした――長島を守り切る覚悟を胸に。



挿絵(By みてみん)

信長の執念が再び火を噴く。

だが迎え撃つは、女将と未来人と古の源氏の鬼。

融合と対立の狭間で、戦が動き出す――

次章、長島再攻防戦、ついに火蓋が切られる。

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