3 現状
「本部を中心にLEAPを含めて、幾つかの部隊があることは言ったっけ?」
「それっぽいことは聞きました」
歩きながら話すカールとリアンの間に流れる空気は、決して穏やかではない。
何にしろ、一切感情を見せないリアンが怖い。人とはここまで無表情になれるものなのか。
「部隊によって制服が違うことも分かるよね。最初に声をかけてきたのはカナート。『誠秀』を名乗る部隊の副隊長だ。後から来たユネスが隊長。それから制服と言っていいのか分からない格好のイワンが隊長を勤める部隊が『アスプ』。ちなみにトニャーが副隊長だよ。もちろん契約者だし強いから、うん、歯向かわない方がいい」
「……どうして何かと言われるんですか」
やっぱりそこを聞かれるか。
「……正直に言うと、聞いて気持ちのいい話ではないよ」
「もうだいぶん不愉快ですから」
「それは、申し訳ない」
不愉快だと言いつつも、いつものように眉間にシワを寄せたりしないリアンをやはり不思議に思う。
ほんと、なに考えてるんだ?
そんなことより、今はこの事実を真正面から伝えていいものかどうか。
とは言っても皆知っていることだ。ここで隠した所でいつかは耳に入るだろう。
何より、大切な仲間だ。正直に言おう。
━━━たとえリアンがLEAPを出ていきたいと言い出すことになっても。
「普通はね、他の部隊では契約者も戦闘隊も正式な訓練を受ける体制があるんだ。ちゃんとした入隊試験があったりね。でも唯一LEAPにはそう言ったものがない」
「それが大きな問題になるんですか」
「どちらかと言うと、問題視されてるのは入隊する理由の方かな」
あぁー、やっぱ話す側も楽じゃない。
リアンは怒るだろうか、悲しむだろうか、それともまた黙り混むのだろうか。
「LEAPのほとんどはちょっと"わけあり"なんだよ。元乱用者だったり、家族が乱用者に全滅させられてたり、エレメントがついた動物に瀕死状態にまでされて後遺症があったり。とりあえず、他の部隊とは違う。……LEAPにいるのは野蛮人だとか……問題児の寄せ集めとも言われるね」
役割を簡潔に言うと、問題を起こしそうな奴等の『監獄』になってる。
とはさすがに言えなかった。
リアンはそれを聞いてふと考える様子を見せた後━━━微かに笑った。
「だから嫌われてて、さっきみたいに言われるんだけど、うちの奴等血の気が多いから暴れる暴れる」
「そんなことだったんですか」
「……まぁ、そんなことと言われればそんなことかもしれないけど」
「どう考えてもLEAPの人達は悪くないですよね。たとえ暴れて問題になっても他の部隊の非もあるみたいだし」
カールは少々混乱した頭をフル回転させてリアンの心情を考えた。
つまりリアンは、あくまでも客観的立場で見定めをしていたのだ。
この状況がどうなっているのか、たとえそれに自分の仲間が関わっているとしても、感情任せになることがなかった。
だから悪口を言われた時に怒らなかったのかと納得すると同時に、少し、リアンを遠く感じた。
「これで心置きなく言い返せますね」
すごく身近に感じた。




