表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
炯眼のリアン  作者: 霧雨
第二章 かつて同志だった者
29/40

14 次へ


「カールさん!」


戦闘隊(ビクティム)達と合流して粗方説明した後、動ける者に後始末を任せてLEAP基地に戻ってきた。とっくに翌日であり、空は朝日で白く霞み始めている。

ビーラに背負われたリアンは未だに眠っているが、帰り道も特に変化は無かった。


一応無事に帰ってきてほっとする間もなく、科学班のノイルが駆け寄ってきた。

いつものだらけた態度ではなく、かなり切羽詰まった様子だ。一睡もしていないのか、隈がさらに濃くなっているようにも見える。


「何があったんすか?」

「まぁいろいろね。話せば長くなるよ」

「……いつになってもいいので、ちゃんと話して下さいよ」


もちろん今日の出来事のことだろう。しかしノイルの眼はさらに深くまで聴いているような気がした。


それも含め、

「あぁ、ちゃんと話す。約束しよう」


と言うと、ノイルはまだ不満そうだったが、怪我人の手当てへと向かった。



「カール。すまん、あいつらの埋葬にいくからリアンを頼む」

「あぁ。後で向かうから準備を頼む」

「合点!」


ビーラからリアンを受け取って部屋に向かう途中、忙しなく働きながらもキョロキョロと辺りを気にする少女を見かけた。


ミレイはリアンを見てカールに駆け寄る。

きっと心配してくれていたのだろう、とにっこり微笑んで「大丈夫だよ」と言う前に、ミレイはリアンを抱えたカールの腕に掴みかかった。


「リアン君は大丈夫なんですか?どうして起きないんですか?もしかして何かあって……」

「い、いや。大丈夫だ」


あまりの慌てように驚いた。いつもは冷静で、感情を大っぴらに表さないような子だ。

だがそれは嬉しい変化でもある。それもこの少年のおかげなのだろうか。


「そうですか。よかった……では」


ほっと胸を撫で下ろすと、彼女は名残惜しそうにその場を後にしようとした。

カールはそれを呼び止める。


「僕はこれから用事が山盛りなんだ。よければ様子を見ててあげてくれないか?変化があったら報告を頼むよ」

「はい!」


それからリアンを部屋に寝かせてあとはミレイに任せ、亡くなった仲間の埋葬をした。

シンプルで、見送る者も多くない寂しいものだった。


結局は徹夜だ。

それにここ最近の疲れもどっと出てきて体は重く、頭が上手く働かない。


全ては一旦寝た後、万全な状態でまた新しく始めよう。


疲れる体を無理に動かして三階に辿り着くと、自分の部屋の前に一人、セシルが立っていた。


「カール」


こちらに気が付くと引き締めていた顔をクシャッと歪める。

涙を堪えているのか、しかし目には水が溜まっていた。


いつも凛として強気な彼女がこうなってしまうのは決まって死者が出た時か、圧倒的に強い存在が現れた時だ。

幼い時に受けた暴行が原因だろう。


「なぁ、あいつは誰なんだ?私たちの敵なのか?また誰かが傷つくのは……居なくなるのは嫌だよ。ねぇ、カール」


か弱く呟く彼女を引き寄せ、腕の中で背中をポンポンと叩いてやった。

セシルの震えが少しずつおさまるのがわかる。


「カールううううっ!どこおおおおっ!?」


下の階からウィズの声が聞こえた。

どうもまだまだ怒りが収まらず、ぶつけ所を探しているようだったので、今日の件についていろいろ思うことはあるのだろう。


どうも、まだまだ眠れそうにない。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ