↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
45/47

第45話 新たな容器

 前日の収穫祭の人混みが嘘みたいだ。


 ギルドへ向かう道のりは、すっかりすっきりさっぱりしていた。

 ギャップのせいで、ポートリースの人口が減った気すらする。



 ギルドホール。

 集まったみんなを、いつものテーブルに待たせ、リナと掲示板へ赴く。


「ねぇ、ユーヤ。これ、なんだろ?」


 リナの指す先には、貼られたばかりの広告があった。


「ん? ……『新規クラン結成説明会』……」


「ふーん……ギルド主導で、クランを立ち上げるみたいね」


「どれどれ。あー……大規模任務はクランじゃないと依頼できないもんなぁ」


「あとは、流れてくる冒険者の容れ物ってところね」


 そういや、他の町のギルドに呼び掛けてるとかって、聞いた気がする。

 とりあえず、説明は聞いておこうかな。



 開催日は通知から、何週間もあとだった。


 中央広場には……どれくらいだろう。

 たくさんの男女が集まっている。


 心なしか……

 冒険者というには、お年を召されてる方が多いような。


 舞台に上がったのは壮年の男。


 あ、スライム祭りの時に見た。

 ギルド長だ。


「みんなも知っての通り、〈前進の旗〉が出て行ったんでな。人が足りん」


 やれやれと言った態度で続ける。


「他支部のギルドにも、回せと言ってるが、なかなか、な」


 まぁ、あくまで冒険者側の自由意志だしなぁ。


 そこに、笑いながら反応する声が。


「そんで、こんなおっさんを呼びつけたんか!」

「うちだって、子供がよそで冒険者やってるわよ」


 おお。なるほど?

 引退冒険者をかき集めたのか。


 ギルド長がまぁまぁと、手を上げた。


「しばらく、助けると思って、頼むわ。


報酬は割増させてもらうから」


「そりゃそうしてもらわねーとな。


手伝い呼ばねーと、畑が痛んじまう」


「あんたは普段から、飲んだくれてんでしょーが」


 ひと笑いが、年月の繋がりを感じさせてくる。


「まとめんのは、この男だ」


 ?!


 あの人は。


「よっ! ベルトムさん!」

「出ました! 『泰然の詩人』!」


 壇上に上がったのは、いつかの吟遊詩人だった。




 説明会が終了。


 どうやら、ベルトムは昔、大きなクランを率いていたらしい。

 現役冒険者の中には、その名を知っている人もいたみたいだ。


 彼には聞きたいこともあるけど……


 俺は後ろ髪をひかれながら、その場をあとにする。

 先に決めなきゃいけないことがあるよな。


「ユーヤ。あんたたちは、どーすんの?」

 ケイたちも、近くにいたみたいだ。


「俺たちは参加だ」

 リオが息巻く。


「おっさんたちに無理させるわけに、いかねーかんな」


 周りを気にするのはガルドだ。

「現役を退いたとは言え、先輩ですよ……?」


「学べることは多いはず。もっと強くなれますよ」


 ラナの微笑みに、リオは簡単に「おお…」と乗る。


 相変わらず、チョロいな。


「うちは……」


 みんなの顔を見回す。


 どうやら、話し合いは要らないみたいだ。

 最後に、リナと頷き合う。


 俺が口を開こうとすると——


「参加よ。またよろしくね」


 リナに取られた。


 息が合ってんだか、合ってないんだか。


「はは」


 思わず、笑いがこぼれちゃったよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。