↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
26/51

第26話 可愛い女たち

 森の中の街道を、四人で歩いている。


 木々が左右から迫ってくるような道で、視界はそこまで広くない。

 風に揺れる葉音が、時折ざわりと混じる。


 そんな中で、ミルは変わらず元気だ。


 とてとてと歩いては、ステッキをくるくると回し、木々の奥へ向けてポーズを取っている。


 ……あれも、一応、哨戒行動なんだろうか。


「うん。モンスターさん、いませんっ☆」


 どうやら、そうらしい。


 リナはその様子を、穏やかに眺めていたが――


「んー……こう、かな」


 ミルを真似て、ぎこちなくポーズを取る。


 ……と思ったら。


「んんっ」

 咳払いをして、すぐに姿勢を正した。


 急にキャラ変は恥ずかしいよね。


 それにしても……。


 ミルのステッキは、かなりデザインが凝っている。

 方向性は少女アニメのマジカルステッキみたいな感じだけど、あれは高級な物なんだろうか。


「ミル。そのステッキ、かなり装飾性が高いけど、高価なものなのか?」


 声をかけると、ミルはパッと足を止めた。


 一度、柔らかく目を閉じる。

 それから、穏やかな瞳で天を仰いだ。


 空をかき混ぜるように、ゆっくりとステッキを回し、胸元に抱く。


「可愛いですよねっ♡」


 満面の笑み。


 ……質問の意図は、吹き飛んだ。


「あ、うん。可愛いと思うよ」


「衣装もこだわってるんですよっ❀」


 くるりと回り、フリフリのスカートの裾をふわりと摘まむ。


 お腹も出てるけど、魔法的な防御力でもあるんだろうか。


 ……あれ。


 ミルが、微動だにしなくなった。

 笑顔も、ずっとキープしてる。


「……あ、うん!可愛いね!」


「ありがとうございますっ♪」


 ポーズが解除され、やっと歩きが再開される。


 すると、隣でカイラが呟いた。

「あたしも、もっと見せる衣装にしようかしら」


 ぬらり、とこちらに顔を向けてくる。


 ど、どう答えろと?

 黒いボディスーツは隠密性が高そうで、良いと思うけど……。


 カイラが、じりじりと距離を詰めてくる。


「例えば、胸の辺りを大きく開いたり、ハイレグにするとか。


……性欲のはけ口にされてしまうわ。


あぁ……大変ね」


「…た、大変だね。だから、やめとこうか」

 少し身を避けながら、苦笑いする。


「……なーるほど。


あなたは、見えない方が興奮するタイプってことなのね」


 こらこら。


「ミルのぷるぷる肌は見てくれないですか?!」

 今度はミルが迫ってくる。


 布面積少ないんだから、そんなに腕を寄せないでくれっ。


 思わず顔を逸らす。

「俺をどうしたいんだ……」


 がっくりと頭を落とす。


 ため息交じりに顔を上げると――


 リナが、少し浮かない顔をしていた。


 ローブをきゅっと摘まんで、見つめている。

 上質な物だと聞いているけど、不満でもあるんだろうか。


 そんなやりとりをしつつ、気付けば。


 Dランクの依頼をいくつかこなしていた。

 俺たちは、ポートリースへ踵を返している。


 カイラとミルにいじられる形は、続くんだろうな。

 少し、慣れないと……。


 夕日が伸ばす四人の影は、バラバラに動きながらも、寄り添っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。