第2話 初めての世界
大木の討伐を終えて、俺たちは町へ戻る森道を歩いていた。
リナはなんだか上機嫌で歩いている。
「ふんふふーん♪」
かと思えば、時折、眉を吊り上げて杖を振っていた。
「えへへー」
そして、また笑顔に戻る。
しかも、チラチラと俺のほうを見て、喜んでることをアピールしているようにも見える。
一応、聞いてみるか。
「なんだか、嬉しそうだな」
「そーなの!一人でエリアボス倒せたの、初めてだったから」
なるほど。最初は、緊張でもしてたのかな。
「さっきの大木?」
「そう。ガーディアントレント」
大木が動く様はなかなか怖かったな。
「アイテムボックス使わせてもらって助かったわ、ありがと」
「ああ、さっき拾ったやつ?」
トレントの口の中から、リナが引っこ抜いた苗木っぽいもの。
「そうそう。転移者のそれ、やっぱ便利ね」
「助けてもらったからな。これくらい」
すると、リナは急にステップバックした。
ただ、顔は俺の方を向けたまま、にこやかだ。
「あれは討伐の証拠なの。ギルドにもっていけば、報酬が出るのよ」
喋りながら、構えた杖が光っている。
すると、向かっていた先から、低木の揺れる音が聴こえた。
杖から炎が放たれる。リナは前方に注意を向けた。
「・・・?前のほう、音がした?」
炎の波が走っている。その先には影が数体。
「出た!ユーヤ。下がって」
小型の虫型モンスターが数体、炎に包まれる。
「ファイヤーウェーブ!」
その詠唱と、ほぼ同時に、モンスターたちは地に伏していた。
「さ、行きましょ」
俺は身構える間もなく、戦闘を乗り切っていた。
「エリアボスみたいな、特別な依頼はね。お金だけじゃないの」
リナはモンスターの針を拾いながら、お姉さん風を再開してる。
「今回は、欲しかった杖が付いてくるから、尚更嬉しいのよ」
そう言いながら、今度は俺のほうに寄って、背中をむけた。
「こういう小型のモンスターの素材も、お金になるんだけどね」
雑魚モンスターが近付く前に、範囲魔法が届いている。
「持って帰るのが大変なの」
ドロップ品を拾いながら、リナは苦笑いを浮かべていた。
「その点、転移者が羨ましいわ」
俺はそれらをボックスに入れつつ、相槌をうつ。
「アイテムボックスがあるなら、冒険者になったほうがいいわよ」
その後も、リナは危険な距離に近付かれることなく、雑魚を殲滅していく。
「なんか、出会った時より、倒すの早くなったな」
「なんか、すっと動けちゃった」
そして、自慢げに笑みを浮かべた。
「ここらへんのモンスターに慣れたかしら」
「頼りになるよ」
「えへへー」
いつの間にか視界はひらけ、街道を歩く。
草原が気持ちいい。
「お金がかかるわけじゃないし、とりあえず、登録してみたら?」
「冒険者?」
「うん。町に着いたら、ギルドに行きましょ」
あても無いし、そうしようか。
隣でリナは風を受けながら歩いていた。




