7、出逢い
「お兄ちゃんはさ」
林さんに別れを告げてお礼を言った水族館?からの帰り道。
美弥が話しかけてきた。
俺は小石を蹴飛ばしながら「どうした」と言う。
すると美弥は「私、将来は生き物に関わる仕事がしたいんだ」と言う。
言葉に俺は「マジか」と言う。
「だって可愛いからさ。地球の生き物って」
その言葉に俺は苦笑する。
それから畦道を見ながら「だけど大変だと思うんだよな。水族館のスタッフってのも」と言う。
俺のそんな言葉に美弥は「仕事に大変さが無い仕事ってなくない?」と苦笑した。
側に有る名も分からない花をしゃがんでから愛おしそうに見る美弥。
そんな姿に俺は周りの民家を見た。
「だが美弥。それなら家を出て行かないとな。都会にしかないし」
「ここ無いしね。水族館なんて」
「そうだな。だからこそ田舎に出ないと」
その様な話をしながら美弥は花を摘んでから再び立ち上がる。
花は見た感じだが夏場の花の様に感じた。
とはいえ。
名は知らない。
「お兄ちゃんにあげるね」
「これをか?ありがとうな」
そんな事を言いながら俺は美弥を見る。
美弥は俺を見てから優しい笑みを浮かべる。
それから美弥は歩き出した。
まるでケンケンパの感じで、だ。
俺は美弥を見守りながら家に帰る。
すると。
「美弥ちゃん」
そう声がした。
見ると女子小学生?の女の子が駆け寄って来た。
カチューシャを着けている可愛い女の子だ。
俺は「美弥。知り合いか?」と聞く。
すると美弥は「知り合いだよ。お友達の秋元未来ちゃんっていうんだ」と言う。
その言葉に俺は規律正しく礼をする女児を見る。
「初めまして」
「あ、ああ。初めまして」
「私は既にご紹介に預かりました通り秋元未来と申します。宜しくお願いします」
この規律正しい部分を見ると結構な嬢様なのだろうか、と思った。
秋元未来さん、か。
そう考えながら俺は持っていた袋を見る。
それは病院の薬が入っていた。
「秋元さん。どこか怪我を?」
「え?あ、これですか?これは喘息の市販薬、お薬です」
「え?」
すると美弥が「未来ちゃんは喘息持ちなんだ」と説明してくれた。
俺はその言葉に「ああそうなんだな」と言う。
それから秋元さんを見た。
秋元さんは笑みを浮かべながら「すいません。お恥ずかしい限りです」と恥じらう。
「何がだ?」
「身体が弱くて。その姿を見せてしまい」
その言葉に俺は「恥ずかしいとは?」という。
それから俺は「秋元さんが真剣に悩んでいるんだ。そんなもの馬鹿に出来ないだろ」と言う。
すると秋元さんは目を丸くした。
「お兄さん……」
「少なくとも俺は馬鹿にしない。恥ずかしいと思う必要はないよ」
秋元さんは控えめに笑みを浮かべながら「ありがとうございます」と言う。
それから「お兄さんはどの様なお名前ですか?」と聞いてくる。
俺は「ああ。名乗って無かったな。俺は林田雪穂だ。宜しくな」と言う。
すると秋元さんはビックリしていた。
「もしかしてヒーローの人ですか?」
「ひ、ヒーロー?」
「はい。美弥ちゃんを救ったヒーローです」
「確かにヒーローではあるけどその言い方は」
その言葉に美弥は「白馬の王子様だよ」と言う。
いやあのな。
そう考えながら慌てて美弥を見る。
美弥はうっとりした顔で「きゃー」と言う。
そんな大層なもんではない。
そもそもに俺は偶然で美弥を救ったのだからな。
「良いなー。白馬の王子様か」
秋元さんはニコニコしながら俺達を見る。
すると美弥がとんでもない事を言った。
「ねえねえ。未来ちゃん。お兄ちゃんの家に来ない!?」と、だ。
ちょ。
「馬鹿か!美弥。秋元さん、彼女も忙しいんじゃないのか?!」
「えー。そんな事は無いよ。未来ちゃんは忙しくないと思うよ?」
「しかし」
俺は(しかしさすがに女児が2人も年頃の男子の家に来るとなると)と苦笑する。
その言葉に秋元さんは少し悩んでいた。
それから頷いた。
「分かりました。楽しそうなので是非」
「マジか……」
こうして我が家に秋元未来さんが来る様になってしまった。
懐かしい記憶である。
それから俺達は秋元さんと一緒に俺の実家に帰宅をした。
☆
秋元さんが家に来るなり母さんがお出迎えした。
母さんは「あるあまあ!」と言う訳が分からない言葉を発してから秋元さんをお出迎えした。
まるで自分の孫が帰省したかの様な対応だった。
「ようこそいらっしゃったわね」
「こんにちは。お世話になります」
そう秋元さんは俺と初めて会った時みたく律儀に頭を下げた。
母さんは「あはは。そんな律儀に。ありがとう」と言う。
母さんはそんな律儀さに慣れてない様だ。
「秋元さん」
「はい?」
「この家ではそんな律儀なのは要らないわ。自由に羽を伸ばしてちょうだい」
秋元さんは「!」となる。
それから「しかし」と言う。
そんな姿に母さんは「でもありがとう。そう対応してくれて」と言う。
そして秋元さんの頭を撫でた。
「ありがとう、ございます」
そう秋元さんは赤くなりながら返事をしてからモジモジした。
その様子に「おばさんね。秋元さんを一気に好きになったわ!ありがとう」と言う母さん。
「あはは。おばちゃん優しい!」
「そんな事を言われたのは初めてかも」
その様に秋元さんはポツリと呟く。
多分きっと厳しいご家庭なんだろう。
そんな事を考えるながら俺は秋元さんを見てから居ると「ささ!入って入って!」と母さんが秋元さんと俺達を家に入る様に促した。




