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当時小学5年の3人のクソガキ女児どもと別れ東京の会社に就職した。7年後、重いうつ病になり体調を崩し地元に帰るととんでもない事になっていた(転載中)  作者: 楽
第一章 7年

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6、水族館?

「お兄ちゃん♪」


 一連の事件の後、家によく美弥が遊びに来る様になり俺は知り合いとして妹として美弥を可愛がった。

 本当に美弥は可愛かったが。

 この子が大きくなってもどうなっても手出しだけは絶対にしないと心に誓った。

 というかそれでも美弥は寄って来た。

 だからこそ俺はその時には厳しくしたのだが。


「美弥?」

「ゲームがしたい」

「ああ。成程な」


 美弥と知り合いになり俺は良かったと思う。

 何故なら俺は……あまり良い人生を歩んでない。

 じいやの事故死。

 そして父さんの大病。

 その事もあって俺は笑わなくなっていたのだ。


「お兄ちゃん?」

「ん?どうした?」

「何だか複雑そうな顔してる」

「複雑、か。いや。そんな事は無いが」


 そんな事を言いながら俺はコントローラーを握る。

 そして美弥と一緒に遊んでから過ごしていた。

 それから俺達は色々な思い出を積み重ねて行った。


 ☆


 その日はゲームだけじゃ何となく飽きたので外に出た。

 そしてばあやに挨拶をしてからお小遣いを貰い表に遊びに行くことにした。

 とは言っても女子小学生を引き連れた挙句。

 血が繋がってないのだ。

 警察にでも何か言われたらたまったものではない。


「ねえねえ。お兄ちゃん。水族館行かない?」

「水族館?そんなものあったか?」

「あるよ。近所に」

「近所に水族館???」


 このクソ田舎に水族館?

 俺は美弥の意味の分からない言葉にそのままついて行く。

 すると近所にペットショップがあった。

 というか所謂、ベタ、金魚などを売っているお店。

 成程な。


「確かに水族館だな」

「でしょ?水族館だもん」


 美弥の言っている事は極端すぎる。

 だが間違っては無いな。

 これは水槽でありしかも魚は現に居るしな。


「それで?どうするんだ」

「うん。おばちゃーん」


 そう美弥が呼ぶと奥から少しふくよかなおばさんが出て来た。

 俺を見ながら「あらあら」と優しく微笑む。

 この店の店主なのだろうか。


「噂のヒーローさん?」

「噂のヒーロー?」

「そうよ。貴方は美弥ちゃんを救ったヒーローって事になっているわよ」


 まあ一応、地元のテレビでも放送されてしまったしな。

 俺が美弥を救った事が、である。

 知れ渡っていても不思議ではない。

 だが恥ずかしい。


「お名前は確か林田雪穂くんね」

「そうですね」

「貴方には感謝しかないわ」


 その言葉に「?」を浮かべる。

 するとおばさんは美弥を抱きしめた。

 それから「美弥ちゃんは私の宝物なのよ」と言う。

 だから(感謝しかない)か。


「ちょ!おばさん。やめてー」

「美弥ちゃんはとっても可愛いの」


 そんな事を言いながら美弥を抱きしめてから離したおばさん。

 それから「そうそう。ごめんなさい。私の名前を言ってなかったわね」とおばさんは自分の名前を林妙子(はやしたえこ)と言った。

 俺は頭を下げてから「宜しくお願いします」と言った。


 ☆


 店内に入ると幾つもの水槽があって海藻の香りがした。

 俺は周りを見渡しながら居ると林さんがお茶とお菓子を持って来た。

 その事に驚く俺。


「良いの良いの。食べなさい」


 林さんは笑顔になる。

 それから林さんはコップに入ったお茶を飲み始めた。

 俺はその事にお茶を飲む。

 すると魚を見て目を輝かせていた美弥が戻って来た。


「ベタも可愛い」

「そうだな」

「でも私、出目金が好き」

「そうなんだな?」


 それから美弥はお菓子を食べながら満面の笑顔を浮かべて俺の膝に腰かける。

 は!?

 俺は絶句しながら「オイ馬鹿。何をしている」と言うが。

 美弥は「えー。良いじゃん」と話す。

 そういう問題ではない。


「あらあら。仲良いのねぇ」

「まあ確かに仲は良いんですけど」


 全く美弥の奴は。

 思春期を迎えているんだぞ俺は。

 仮にも女の子がして良い事ではない。

 これもまた教え込まないとな。

 そう考えながら俺はお菓子を食べて==な目をしている美弥を見た。


「林さん」

「何かしら?」

「色々な魚が居ますね」

「そうねぇ。うちはこうして販売しているけど販売はしたくないのよ。実は」

「へ?」

「だってみんな家族みたいな存在だから。売ったら会えないじゃない?」


 その様に林さんは言う。

 俺は苦笑いを浮かべながら「そ、そうなんですね」と返事をする。

 すると美弥が「でもそれだとけいえいが?」と言う。

 クソ真面目かなコイツ。


「アハハ。美弥ちゃんはそんな事を考えているのね。偉いわね。でも経営なんてどうでも良いのよ。私は……癌で亡くなった主人の心残りを減らしたいだけだから」

「御主人が?」

「そうね。元はその人が店の主人だったのよ」


「だけど」と林さんは言う。

 それから「ぎっくり腰か腰が痛いって言っていたんだけど実際はステージ4すい臓がんだったの」と説明をしてから「お医者さんから許可が出なくて家に帰って来れなくなってね」と言う。


「あの人もさぞ無念だったでしょうね」

「そうだったんですね」

「亡くなる直前の最後も病院だったわ。最期を迎える時ぐらい家に帰りたいって言っていたんだけど」


 その事に俺は眉を顰める。

 そして水槽を見る。

 水槽には変わらず沢山の魚が居る。

 そうか。

 家族みたいな感じなのか。


「だから売りたくないのよ。今も経営は貯金を思いっきり取り崩してやっているわ。ただ今は売るんじゃなくてお客さんとこうして談笑したいだけで」

「そうなんですか」

「そうそう」


 俺はメダカを見る。

 そしてお茶を飲んでみると茶柱が立っていた。

 珍しい事もあるもんだ。

 そう思いながら俺は美弥を見た。

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