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当時小学5年の3人のクソガキ女児どもと別れ東京の会社に就職した。7年後、重いうつ病になり体調を崩し地元に帰るととんでもない事になっていた(転載中)  作者: 楽
第一章 7年

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4、煌めく星々

 それから俺達は飲食店街に入る。

 7年経ったお陰で少しだけ古くなった商店街。

 俺はその中を歩いていると「あらー!」と声がした。

 見ると八百屋の長崎さんが顔を見せてきた。

 少しお歳を重ねていた。

 当たり前だが。


「久々ね!雪穂くん!」

「御無沙汰しています。ともえさん」


 長崎ともえさん。

 7年前、俺が東京に向かった時に優しくしてくれて野菜を大量にくれた。

 俺はその感謝もあって深く頭を下げた。

 するとともえさんは店先から出て来てから俺の顔を覗き込み「顔、少しやつれているわね」と言う。

 そして店先にあったキムチをガッと思いっきり掴み持って来た。


「これ。食べて活力だしんさい!」

「え、しかしお金が」

「あっはっは。要らないわよそんなの!とにかく元気だしない」


 そしてともえさんは爆笑する。

 俺は大量のキムチを見ながら「何から何までありがとうございます」と言う。

 そういえば。

 長崎雪路(ゆきじ)さんが居ない。


「あの、旦那様は」

「亡くなったわよ。5年前ね」


 その言葉に固まる俺。

 それから「そ、そうだったんですね」と複雑な顔をする。

 雪路さん亡くなったのか。

 野菜をいつもくれた人だった。


「癌の全身多臓器不全だったのよ。スキルスね」

「そうだったんですね……」

「でも雪穂くんが責任感を負う必要は無いわよ。今は元気に回復しなさい」


 それから笑みを浮かべるともえさん。

 涙が出そうになる。

 そして俺は顔を上げて頭を下げた。


 ☆


 キムチを頂いてから居酒屋に行った。

 そしてドアを開けると「いらっしゃ……おー!!!」と言われた。

 そこに居た店主の萩原智(はぎわらさとし)さんは「こっち帰って来たん!?久々やん!」と言いながらエプロンで手を拭きながらこっちにやって来る。

 萩原さんには東京に行く前に干し肉を頂いた。

 懐かしい記憶だ。

 黙って行き道を変えて東京行ったのは俺だけど。


「久々やね。大きくなったやん」

「25歳ですよ。もう成長止まってますって」

「まあまあ。そう言いなさんな。ささ。座って」


 それからキムチを見る萩原さん。

 そして「それで料理作ろうか!くれたのともえさんやろ?」と言ってくる。

 俺はその言葉に「はい」と返事をする。

 そうしてキムチを託した。


「お兄ちゃん。良かったね」

「そうだな」


 そして椅子に座る俺達。

 すると叔父さんが「雪穂くん。ビール飲める?」と言ってくる。

 俺は「はい。もう20過ぎたんで」と話す。

 叔父さんは「そうかそうか。なら大将!ビール2本!」と言った。


「あいよー。あー、そうそう。俺も飲むから!」


 そんな声がする。

 仕事は良いのか、と思ったが萩原さんはノリノリだった。

 するとドアがガラッと音を立てて開いた。

 そして「いやー。雪穂くんの顔見たから八百屋を今から閉めちゃった」とともえさんがてへぺろと言わんばかりの感じで現れる。


「これ。新鮮野菜ね」

「あれー。ありがとうね。ともえさん」

「気にしないの。今日はお祝い。あっはっは」


 そしてともえさんは椅子を引いて俺達の席に来る。

 叔母さんが「もー。ともえさん。閉めちゃったって」と言う。

 ともえさんは「今日はお祝いなの。今日ぐらいサボって閉めても構わないよ」と笑顔になる。

 まだ注文してないのにビールとお通しが来た。


「お兄さん。はい」

「あ!ずるい。私も」


 キンキンに冷えたビールをキンキンに冷えているグラスに注ぐ未来。

 俺は「オイオイ」と苦笑しながら2人を見る。

 叔父さんにも注ぐ美弥。

 そして「じゃあ乾杯だな」と俺に向いてくる。

 俺はその言葉にグラスを持った。


「雪穂くんの帰還に乾杯!」

「よっしゃー!」


 それから俺はビールを飲む。

 何というか約3か月ぶりのビールは苦い良い味がした。

 そして俺はジュースを飲んでいる美弥と美玖を見てから笑みを浮かべた。


 ☆


 丁度、ともえさんは沖縄出身だ。

 三味線が得意であったので歌と共に三味線を弾いてくれた。

 店は貸し切り状態だった。

 俺は苦笑いで三味線の音色を聞いていると「お兄ちゃん」と美弥が言った。

 顔を上げて美弥を見る。


「どうしたんだ?」

「お兄ちゃんが帰って来てくれて良かった」

「何がだ?」

「お兄ちゃんに会いたかったから。このまま帰って来なければ私が愛に行くつもりだった」


 その言葉に俺は「東京は危険がいっぱいだぞ」と苦笑いを浮かべる。

 すると「うん。それでも」と柔和になる美弥は言う。

 俺はその姿に苦笑しながらつまみを食べた。

 そうして居ると美弥が寄り添って来た。


「ちょ」

「お兄ちゃん。本当に寂しかったんだから」

「お前な。もう18歳だろ」

「関係ない」


 すると「ずるいなぁ」と美玖もやって来る。

 未来は俺の腕を取ってから笑顔になる。

 そして腕を巻き付けてきた。


「えへ。私も待ってたんですから」

「み、未来。お前な」

「ウフフ」


 そんな光景を見ていた酔っぱらった萩原さんが「全くな!どうして7年も帰って来なかったのかぁ」と目を==にして聞いてくる。

 叔父さんも酔っていた。

 俺は苦笑いで2人を見ていると電話がかかってきた。

 それはうちの親だった。

 連絡してなかった。


「すいません。ちょっと電話してきます」


 それから俺はのれんをくぐり店の表に出る。

 そして夜になり人が少なくなっている商店街の空き店舗の柱に寄りかかり電話をしてからアーケードから空を見上げていた。

 すると「お兄ちゃん」と声がした。


「ああ。なんだ。美弥か」

「うん。どうだった?」


 俺は美弥に「子供じゃないんだからな。親も理解してくれたさ。お前も子供じゃないんだから俺は」と説明する。

 すると美弥は「そっか」と言いながら俺と一緒に空を見上げる。

 星々が輝いていた。

 アーケードの明かりしかないし。


「お兄ちゃん」

「何だ?み……」


 そこまで言った時。

 美弥が俺に寄り添って来た。

 というか正確には勢いよく俺に抱き着いて来た。

 俺は「オイ!?」と慌てる。


「えへへ。お兄ちゃんの香りだ♪」

「お前な」

「えへ」


 胸の谷間が見える。

 俺は首を振りながら何とか耐えながら美弥を引き剥がそうとする。

 だが美弥は物凄い力で俺に抱き着く。

 離さない、という感じで、だ。

 俺は「み、美弥?オイオイ」と聞く。

 すると。


「お願い。もう何処にも、本当に、無断で行かないで……」


 美弥はそう呟きゆっくり泣いていた。

 涙を滲ませて俺の服に顔を埋めながら。

 その見えない顔に何も言えなくなる。

 俺は美弥の頭を撫でた。

 それぐらいしか出来なかった。

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