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当時小学5年の3人のクソガキ女児どもと別れ東京の会社に就職した。7年後、重いうつ病になり体調を崩し地元に帰るととんでもない事になっていた(転載中)  作者: 楽
第一章 7年

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2、暖かみ

 近所にある(元)クソガキの家。

 つまりは美弥の家に向かう。

 若干日差しが照りつける中、歩く。

 すると「お兄ちゃん」と美弥が言った。


「何だ。美弥」

「みんな待ってる」

「みんなって。おま。高校になったのに秋元未来(あきもとみく)とか湘南唯華(しょうなんゆいか)まで出て行かずにこの町に居るのか?」

「みんなお兄ちゃんの帰りを待っていた」


 そして美弥は悲しげな顔をする。

 初夏の道で俺達は立ち止まる。

 汗が滲む事は無いが暑い。

 そう考えながら俺は自販機を見てから「美弥。少し待ってろ」と言う。

 そして自販機にあるソーダを買った。


「ほれ」

「お兄ちゃん?」

「冷たいぞ。ソーダ」

「ソーダで私を釣ろうとしても無駄だよ」

「ぐぅ」


 俺は美弥にそう言う。

 だが美弥は嬉しそうにソーダを受け取る。

 そしてかしゅっと音を立てて缶を開けてから飲む。

 俺はその姿を確認してから同じ様に開ける。

 それから飲んだ。

 いやはや田舎だから仕方が無いがマズイなこのソーダは。

 訳が分からんメーカーのソーダだ。

 7年前から何も変わらない。


「訳が分からないぐらいに炭酸薄いしマズイね」

「だろ」

「でも不思議。お兄ちゃんと一緒なら美味しい」

「そんな馬鹿な」


 そんな事を話しながら歩く。

 歩いていると駐在所が見えてきた。

 そしてお爺さんが駐在所から出て来てから俺を見て目を丸くする。

 自転車を置いてからつばのある帽子を脱ぐ。


「雪穂くんかい?久々だね」

「え。もしかして鈴木さんですか?」

「そうそう。警察官だったけどね。今は引退して猟友会だ」

「!」


 そうか。

 そんなに時間が経過しているんだな。

 思いながら鈴木さんを見る。

 鈴木さんは俺の師匠の様な男性だ。

 野菜の育て方などを教えてくれたのだ。


「どうしたんだい?7年ぶりだね」

「あ、はい。実はうつ病になって帰って来ました」

「そうだったのか。大変だったね」

「そうでもないです」


 お爺さんになったな鈴木さん。

 そう考えながら鈴木さんは「でもそうか。雪穂くんが帰って来たんだ」と笑みを浮かべながら俺を見る。

 俺は「ありがとうございます」と柔和になった。

 すると鈴木さんは「そうだ」と手を叩いた。


「もう直ぐしたら祭りがある。その手伝いをお願い出来ないかな」

「祭りですか?」

「そうだ。設営とかのお願いだね。なんせこの地区も少子高齢化がねぇ」

「構いません」


 俺はそう返事をしながら鈴木さんを見る。

 鈴木さんは「そうか」と笑みを浮かべてから「しかしビックリしたな。大きくなったね」と言ってくれる。

 そして鈴木さんは「そうだ、そうだ。再会記念だ。これ持って行きなよ」と言う。

 俺は鈴木さんから渡されたものを見る。

 トマト、キュウリ。


「美味しいよ」

「え。しかし。良いんですか?」

「良いに決まっているさ。ね?美弥ちゃん」

「ですね」


 それから俺は袋に入ったトマトとキュウリを受け取りながら「ありがとうございます」と笑みを浮かべた。

 すると鈴木さんはニコッとしてから「じゃあちょっと今から健康マージャンの時間だから言って来るよ」と自転車にまたがる。

 そして帽子を被ってから会釈をしてから「じゃあまた」と言ってから漕いだ。


「鈴木さん。ありがとうございます」

「良いの良いの!じゃあね」


 そして鈴木さんは自転車を漕いでから手を挙げて曲がり角を去って行った。

 俺は美弥を見る。

 美弥は俺に笑みを浮かべてから「行こうか」と言う。

 それから俺はキュウリとトマトを持って美弥の家に向かう。


 ☆


「本当に久々ね!」


 美弥の家に行くなり叔父さんの達治さんと叔母さんの春子さんに感涙された。

 俺は「大袈裟ですよ」と苦笑いを浮かべるが。

 2人は「本当に久々で嬉しい。うちに入って入って」と言う。

 お言葉に甘えて俺はお世話になる。


「美弥も泣いていたろ?」

「もー!お父さん。恥ずかしい」

「そう言うなら泣いていたんだな?はっはっは」


 そしてリビングに案内されて入る。

 配置は変わっていた。

 少しリフォームもしたらしい。

 何か色々と異なっていた。

 まさに7年の月日だった。


「お兄ちゃん。早く早く」

「ああ。分かってる」


 それから俺は中にお邪魔するとそこにリンダが居た。

 リンダというのはミックス犬の子犬だった犬だ。

 当時は生後だったのだが。

 今は7歳ぐらいか。


「ワンワン!」


 リンダは俺を見るなりそう鳴いた。

 美弥は「リンダ。覚えてる?お兄ちゃんだよ」と笑顔になる。

 生後間もなかった。

 無理だろう、とは思ったがリンダは俺の手を嗅いだ。

 そして警戒していたがしっぽを振る。

 という事はまさか。


「覚えていたみたいね」


 叔母さんがそう言う。

 7年も経っているのにか?

 まさかの事だな。

 犬は世界がモノクロにしか見えない代わりに頭が良いとは聞くがここまでとはな。

 耳も変わらず良いみたいだ。

 すり寄って来る。


「こういう事。みんな待ってたんだよ」


 その呟きにハッとしてから俺は美弥を見る。

 美弥は笑みを浮かべて俺を見ていた。

 俺は無言になってからリンダを撫でてから優しく「ただいま」と言う。


 リンダはしっぽを振りながら俺にぶつけるぐらいに頭を擦りつけてきた。

 何だか感慨深いな。

 無くなるものがあってもこうして無くなってないものがあるのは嬉しい。

 そう思っていると後ろから抱きしめられた。


「お兄ちゃん。リンダばかりじゃなくて私も見て」

「あのな。美弥。その」

「何?」

「お前、あちこちが成長しているから、きょにゅ、む、胸が当たっているからな」

「!」


 胸を隠す仕草をする美弥。

 そして赤面してから「えっち」と言う美弥。

 俺のせいなのかこれは。

 そう思いながら叔父さんを見てから叔母さんを見る。


 叔母さんは笑い叔父さんは笑っていたが……叔父さんは目がストロングだ。

 マジな目をしていた。

 何というか(わが娘に主は)という恐怖を感じた。

 苦笑いを浮かべる。

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